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1. 褒めることについて(平均への回帰とか)

チームメンバーに対して、褒めるのと叱るのではどちらがうまくプロジェクトが進むのでしょうか。

今回は様々な本に掲載されている方法論をもとに、自分なりに考えをまとめてみます。

褒めても叱っても同じ:平均への回帰

ファスト&スローの第17章「平均への回帰」でこのような事例が紹介されています。

著者のダニエルカーネマンがイスラエルの空軍の訓練教官に心理学の指導をしていたときに、あるイスラエルの教官に『とにかく叱るべきだ』と言われました。

この教官の言い分としては、まずい操縦をした訓練性はマイクを通じて怒鳴りつけると大抵次はうまくいくと言うことになるらしい。教官たちは「だから叱るべきだ」と主張します。

しかしカーネマンはこれについて、「不出来だったあとはよくなるし、上出来だったあとはまずくなるのであって、これは誉め言葉や叱責とは関係がない」と述べているます。

これが平均への回帰です。

教官が訓練生を褒めるのは、訓練生が標準よりかなり上回る出来を見せた時だけです。たぶんそのときたまたま上手にできただけなので、教官に褒められようがどうしようが次はうまくいかない可能性が高いです。逆に叱られるのは調子が悪かったときなので、その次はうまくいく可能性が高いというだけのこと。

ということで、褒めても叱っても結果は同じということのようです。

褒めることは麻薬

褒められても叱られても同じということであれば、常に褒めた方が良いような気がします。なぜなら誰しも叱られるのは嫌だし、褒められると気持ち良くなります。

しかしながら、褒めすぎることも危険だと森岡毅さんの『誰もが人を動かせる!』で書いてあります。

『褒めることのリスク』というセクションには以下のような記述があります。

やることなすこと褒めちぎり、褒めまくる頻度を高く継続していく先にあるのは、人に褒められないとモティベーションが湧かない人、つまり動機付けの源泉を他人に握られて自立できない人を作ることになります。・・・(中略)・・・褒めるという行為は、非常に即効性がありますが、大切な仲間たちをあなたの奴隷にしてしまうリスクを孕んでいるのです。
(引用:誰もが人を動かせる!

もちろん良い成果を出したり、素晴らしい結果を出した場合は手放しで褒めることが大切だと思います。しからし、単純なタスクをしただけでも大袈裟に褒めてしまうと、それが当然となり、むしろ褒めることが邪魔になってしまうこともあるようです。また、褒めることで上下関係ができてしまうので、それがチームにとって良いか悪いかの見極めは重要になると思います。

「あたりまえ」の基準をできるだけ高く保つ

褒めることのリスクについては、安藤 広大さんの著書『リーダーの仮面』にも書いてありました。

ちなみに、私自身は部下を褒めることはほとんどありません。それは、期限内に任務を遂行するのは「あたりまえ」のことだからです。
「あたりまえ」の基準をできるだけ高く保つことが、私の役目だと考えています。
人間の意識構造上、褒められたときに、「その少し下のところ」が「あたりまえ」の基準になります。

例えば80点とった人を褒めると基準が「70点」になってしまいます。褒めすぎることにより全体の基準が下がることは避けなければならないので、褒めるという行為はあまり有効ではないことがわかります。

感情ではなく成果で判断する

では具体的にどうするのが良いか。

簡単にまとめると、過剰に褒めることも叱ることも不要、ということだと思います。そして、感情ではなく成果で判断することです。

例えば『来週月曜日までにこのAタスクを完了させる』という場合が達成した場合は、『タスク完了できましたね、お疲れ様でした。』となり、

達成しなかった場合は『達成できませんでしたね、次はどうしますか?』のように次の行動を考えさせる、のみとし、過剰に『ありがとうございます!すごい!』とか『どうしてできなかったんだ!?』のような感情を抜きで話すことが大事となります。

この辺りもリーダーの仮面に書かれていますので、ぜひ読んでみてください。

まとめ

今回は褒めることについてまとめてみました。

リーダー側からすると、褒めるというのは楽な行為なんですよね。褒めておけばなんとなくうまくいっているように思えますし。ただし、褒める行為が行き過ぎるとチームとしては悪い方向に動いてしまうので、褒めることに安易に逃げることは避けないといけないな、と非常に勉強になりました。

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