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行動が変わる研修ってどう企画するの?

 研修を企画する担当者の方々が、最近特に関心のあることはなんだと思いますか?それは、当然と言えば当然なのですが、研修で学んだことを社員の皆さんがそのままにせずに、確実に職場で活用してもらうことです。

 これを専門用語で「研修転移」といいます。ここでは、行動変容という言葉で説明します。

 行動が変わる研修を企画するために、ここでは、担当者の具体的な悩みとその解決の方向性をお伝えします。

<担当者の悩み>
1.研修企画が現場から反発されないようにするには?

 まず、参加者の行動変容を促すためには、上司の研修前後の部下への関与が高いと行動変容が促進されやすくなるという考え方があります。例えば、研修前に上司が部下に研修参加の主旨を説明するとか、研修後に参加者の研修内容の実践の支援をするなどです。

 主催者は、よかれと思って上司向けの研修のご協力依頼を出します。例えば、上司が部下の特徴をシートに記載する協力の打診をするとします。すると現場からは、これ以上、研修関連で現場に負荷をかけるなという反応が帰ってくることがあります。

 行動変容を促すためには、現場にある程度、負荷をかけることになるので、負荷を感じさせないようにする工夫が大切です。たとえば、事前課題などで上司に直接答えてもらうようなものがある場合は、研修主幹部門から上司に依頼するのでなく、参加者本人が上司にヒアリングにいくことが大切です。上司も部下自身が成長を望んでいることに対してあまり悪くは言えないからです。

2.職場経験がない状態の新人に行動変容を促すには?

新人研修の場合は、4月〜5月にとにかくいっぺんに情報を詰め込むスタイルが長らく採用されております。今年度は、その期間がより長くなってしまいました。私は、このスタイルを大きく変える必要があると思っています。

簡単に言うならば、集中して大量に知識を埋め込む研修を、年間を通じて分散し、現場経験と研修を交互に行うことで、現場がイメージできた上で研修で学ぶことができ行動変容が促進されます。

また、現場に揉まれる中で、新人も悩ましい課題を抱えることもあるでしょう。年間を通じて、数時間の分散した定期的なフォロー研修があれば、都度、リフレクションができ、行動促進へ弾みがつくことでしょう。


3.行動変容しやすい仕事環境とはどのようなものなのか?

そもそも、研修で学んだものを職場で活用できる仕事がそもそもあるのか、アサインされるのかという問題があります。

また、上司をはじめ同僚が積極的にその学習した内容の活用を支援をするかという側面もあります。

よくある例では、コーチング研修に出た部下が、それを職場で活用しようとしたら、上司が「そんなまどろっこしいことしないで、ジャンジャン叱って、バンバン指示出して、1件でも多く契約とってこい!」と怒鳴られてしまうケースがあります。このような上司がいる職場は、行動変容がしづらい職場だといえます。

また、研修中は上司が職場の仲間が、学習に集中させてくれるような環境づくりが大切です。

せっかく研修に参加しているのに、上司から何度も電話がかかってきたり、メールをチェックしろだの、業務を優先しろと言わんばかりの対応をとるような上司もいるので、このような環境だと行動変容が難しいと言わざるをえません。

4.スキル系ではなく、マインド系の行動変容は可能か?

そもそも、マインド系の研修ゴールをどう置くのか?が肝になります。あくまで、行動変容を前提とするならば、マインドが変わることによって、どう行動を変化させたいのか決める必要があります。

例えば、学生意識から社会人意識へとマインドを変えたいという場合があるとします。この場合は、時間を守らないという課題行動から、「時間前の行動」、「時間厳守の行動」を取れるようになるというのが、行動目標の一つになるわけです。

5.行動変容が起こるような研修設計の仕方は?

研修転移が起こる効果的な研修設計は、いくつか方法はあるのですが、効果が高いアプローチを一つご紹介させていただきます。それは、部門の課題解決を図るための研修アプローチが有効です。

例えば、営業部門に管理部門からの異動者が多く、プレゼンテーションが苦手な人が多いというケースがあります。そのため、営業部全体として受注率が低下しているという課題があり、所属長が大変高い問題意識を持っているというケースです。

その場合、責任者が高い問題意識を持っているので、当然、部下も学習したことを実践せねば、成果を出せねばという意識が高くなります。

そして、研修実施後に、責任者の前でプレゼンする機会が用意されている場合、そこでチェックされるという強制力が働くため、研修転移が促進されやすくなります。

学んだことが活用する場が必ずあり、かつ、それを上長に示さねばならないという設計です。このようなアプローチが行動変容を促進する効果的な設計の一つになります。

また、それが一過性のもので終わってはいけないというのも大変重要なポイントです。行動変容(研修転移)は、その行動が現場レベルで持続して行われてはじめて行動変容と呼べるのです。

まとめ

あなたが企画した研修に参加される方は、どの程度の人が実際に行動されているでしょうか?そこをまずはしっかりと把握してみてください。その上で、上記を参考に行動が変わる研修を企画してみてください。


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