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性悪説が蔓延る組織は衰退するしかないのか。

リーダーに必要な資質のひとつとして「部下を信じること」があります。

このことが、最近読んだ本に共通して書かれていました。

ひとつは、ライフネット生命を立ち上げた出口治明さんの著書、『座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」』です。

とっつきにくい印象のある中国古典のひとつ、「貞観政要」をわかりやくす解説してくれるこの著作。

その中に、以下の原文を解説する記述があります。

「蓋し之を信ずれば、則ち信ず可からず者無し。之を疑へば、則ち信ず可き者無し」

これを出口さんは以下のように解説をしています。

「部下が自分のことを信頼してくれているから、自分も部下を信頼するのではありません。順番が逆です。上司が部下を信頼してから、部下は上司を信頼してくれるのです。」

「僕は基本的には、どんな部下でも信頼した方が得だと考えています。仮に裏切られたとしても、信頼したこちらが悪いと割り切ればいいのです。」


ふたつ目の著書は、前にも投稿した『JALの奇跡 - 稲盛和夫の善き思いがもたらしたもの - 』(大田嘉仁 著)です。

大田嘉仁さんは、稲盛さんに長年使えた腹心の方ですが、稲盛さんのエピソードとして、以下のくだりがこの本に紹介をされています。

私が「社員の言うことを何もかも信用していたら組織が無茶苦茶になるのではないですか」と質問をした。すると稲盛さんはこう答えられた。
「俺を騙すのは簡単かもしれない。しかし、騙されても、騙されても俺は社員を信じるしかないんだ」

これはかなりのインパクトがありました。

騙されても騙されても社員を信じる……

これを体現できるのは、並大抵の覚悟ではできないと思います。ましてや、経営トップにもなれば、現場の全容を把握するのはほぼ不可能。

限られた情報の中で判断を求められる場面が殆どだとは思いますが、ここまで言い切れる経営者はなかなかおられないかと思います。


果たして、自分の勤める会社がどういう状態かと言うと…残念ながら性悪説が蔓延しています。

最も残念なのはトップのメッセージからもそれを感じてしまうこと。トップが現場を信じなければ、現場を任されるミドルマネジメントも直属部下を信じなくなります。

その結果どう言うことが起こるかと言うと…上司と部下の間でポジションを超えた「対話」が行われません。現場の実態が上に伝わらないどころか、下からの諫言なんかとても受け入れらる土壌ではありません。

こんな組織では、たくさんの「裸の王様」と「面従腹背の部下」が出来上がります。

この深刻さが、上に紹介した著書を読むことでより強い危機感を伴って伝わってきました。

こんな状態に陥ってしまった組織はもはや衰退しかありえないような気もします。

よほどトップがドラスティックに変わらない限りは。。

同じような文脈で、「不機嫌の伝搬」という現象もあります。これも負の連鎖を断ち切るのが難しい問題のひとつです。

こちらについては、またの機会にしたいと思います。

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