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ボルダリングスタジオ ボラーレ・エスカラーダ店長 日本フリークライミング協会会員 日本…

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ボルダリングスタジオ ボラーレ・エスカラーダ店長 日本フリークライミング協会会員 日本山岳協会 国内ルートセッター 上級指導員(フリークライミング) 日本山岳ガイド協会スポーツクライミングインストラクター

最近の記事

終了点の話

ここにある岩場の終了点の写真があります。2本のチェーン、錆びたマイロン(クイックリンク)Oリング、2枚のカラビナがゲートが互い違いの向きになるようにセットされています。 この一枚の写真から皆さんは何か違和感を感じるでしょうか?チェーンの末端には錆びた針金が巻き付いていることから、おそらく当初は2本のチェーンにカラビナがかかっているだけだったんじゃないでしょうか? そこで、『善意の第3者』が利便性のためにクイックリンク(マイロン)とOリング、カラビナを設置したと考えられます。

    • チッピングについて考える

      フリーファン087号が届いた。 このテーマで話を書くのはとても気が重いが、機関誌がきた今しかないだろう。 今夏は記録に残る猛暑で、六甲北にある某エリア(未発表)を訪れたクライマーが少なくなかったらしい。 もうこの岩場の存在が知られてから、かなりの年月が経っているので、ほぼ全てのルートがチッピングで開拓されているという事実を知らないクライマーの方が多いかもしれない。いや、知ってても「NO! Chipping!」の議論が巻き起こったのは四半世紀前だから忘れていてもしかたがない。

      • 続・堡塁岩再生

        今日は梅雨の合間をぬって、いろんな終了点の偵察に行ってきた。 前回、書いたように堡塁岩の終了点の位置は独特だ。 中でも一番評判が悪いのは、「コズミックライン」である。テラスのど真ん中の足元にあり、1800mmのスリングを数本持っていないとトップロープの支点を作るのも難しい。登り終わって両手を離して立てる位置というマルチピッチの標準的な条件は満たしているがリード&フォローでも座り込んでビレイしないといけないし、そこからさらに立ち木のある安全なテラス迄あと5Mほど岩を登らないとい

        • 保塁岩再生

          六甲山・保塁岩は日本では最も古くから登られている岩場のひとつです。 大正13年に藤木九三らによってRCCが創立され、近代アルピニズム発祥の地として多くのクライマーが育っていきました。 この岩場には、『RCCグレード』と『デシマルグレード』という異なるふたつのグレード体系が共存しています。 RCCグレードがついた既存ルートは、70年代にはほとんど出来上がっていて、80年代に入ってからヨセミテ帰りのクライマーによってクラック課題が量産されひとつの岩場にデシマルグレードとRCCグ

        終了点の話

          先輩のつくったルート

          ある日、電話がかかってきた。 「あるルートなんだけど、初登者が故人なので誰に話を通せばいいか教えてほしい」 詳しく聞けば、そのエリアは僕の先輩が開拓していたが、今は誰も登っていず寂れてしまい、しかもかなり状態が悪いらしい。 岩場の再生のためにボルトを打ち換えるだけでなく、位置変更も必要になるかも知れない。 山岳会の会長から返事が来た。「みんなで話し合ったけど、君に判断を一任しようという事になった。」 「ええ~」 という感じで岩場のリボルトはかなりめんどくさい。 それは初登者優

          先輩のつくったルート

          オンサイトについて考える

          Jack and the Beanstalk On-Site by Sho Aita / 盲目のクライマー會田祥さんの「ジャックと豆の木」オンサイトトライを見た。 25:58の動画~僕にはあっという間だった。 オンサイトとはそのルートの一切の情報を得ず、初見で落ちずに登りきること 隣のカサブランカを登っている映像もあったので、この岩場(花崗岩)の岩質やクラックの癖などは学習済み、インストラクターの田中さんが「オンサイトでトライしてみる?」と声をかけていることから、10C

          オンサイトについて考える

          トラッドへようこそ その4

          今日はスモールカムについて~ その3でBD社のキャメロットを使って、SLCDの基本的なセットをお話しました。 最初に1番を買えば2番,3番と大きいのを揃えていき、次は0.75や0.5と小さいカムが欲しくなります。しかし、僕は0.4までしか持っていません。 前回、キャメロットの長所をお話ししましたが、小さいサイズではダブルアスクル(2軸)がヘッドが大きくなるために逆に短所になります。スモールカムは最新カムのキャメロットZ4を始めほとんどのメーカーがシングルアスクル(1軸)を

          トラッドへようこそ その4

          トラッドへようこそ その3

          今日はSLCD(カム)のセットのお話です。よく初めて買うのなら何番のサイズがいいですか?という質問を受けます。この質問の回答は後回しにして、今日はカムの中でも最も使われているブラックダイヤモンド社のキャメロットでお話を進めていきます。キャメロットが普及したのには理由があってダブルアスクル(2軸)でありながらシングルステムでワイドレンジとしなやかさを両立させたところにあります。このライトウエイトモデルでさらに25%軽量化し、完成度が高くなりました。 この写真は#2番、左からカ

          トラッドへようこそ その3

          トラッドへようこそ その2

          今日はご質問をいただきましたので、SLCDの基本編~ギアラックからの外し方です。 まず、クイックドローと同じようにギアラックから取り外すとこのようになります。このままクラックにセットしようとすると上下逆なので、両手か口を使って持ち替えなくてはなりません。 僕は今まで自己流で持ち替えていたのですがメーカーのサイトに正しい外し方がのっていました。 まず、カムをギアラックにつけたまま、サムループに親指を根元まで入れます。 次に人差し指と中指でトリガーを掴みます。 しっかりカ

          トラッドへようこそ その2

          スタイルのお話し

          ROCK&SNOW最新号(#092)の特集「私のとっておきGEAR」はもう読まれたでしょうか?大先輩の方々がこれはといった逸品を紹介するコーナーだったはず?ですが、中には何故これを選んだのと首をかしげる一品もあったのではないでしょうか? 僕が一番感銘を受けたのは北海道のクライマー奈良誠之氏のカヤックでした。さらっとカヤックの機能性のみ述べておられるのですが、そこに至るまでの何故アイスクライミングなのか? 海からアプローチして氷瀑を登ってまた海から帰るというスタイルにどうして帰

          スタイルのお話し

          トラッドへようこそ

          最近、またクラックやトラッドクライミングをやってみたいというお話をいただきます。 もともとフェースのスポートクライミングの前、人工登攀の時代よりも以前は、コーナーやクラックなど岩の弱点を繋いだラインを登っていました。ぐるっと回って以前のクライミングに戻ってきただけなのです。 トラッドクライミングをはじめるといい点☆自分の好きなところに好きなだけ支点がとれる。ボルトルートのように他   人の作ったボルト間隔に縛られず、自分のクライミングに集中できる。 ☆結果、岩質やプロテ

          トラッドへようこそ

          みんな違って、みんないい

          クライミングジムで一番よく聞かれるのが「この課題の正解ムーブ教えてください」って質問です。「実は正解ってないんですよ」 「・・・・」 「設定ムーブっていうのはあるんですが、好きなムーブで登ってもらっていいですよ」って答えるとみんな面食らった顔をされます。 そもそもクライミングって、小さな子供から、大きなオトナまで、同じ壁、同じ条件で遊べる稀有なスポーツなんです。ですから、みんな同じように登れるわけないし、みんな違っていいんです。 かつて昔の職場で課題セットしていた時は

          みんな違って、みんないい

          軽量カラビナについての考察

          昔同じタイトルでブログに記事を書いてから、10年たったので現在の状況を調べてみました。ここでいう軽量カラビナとは・・・ 1.クライミング用に限る 2.30g以下である 3.充分な強度がある 4. ハンドリングがいい(クリップがしやすい&回収がしやすい) 結論から言うとCT(クライミングテクノロジー)のフライウエイトEVOがメジャーアクシス25KNでトップになりました。軽さではカンプのナノ22が名前のとおり22gで最軽量です。 前回1位だったDMM社のファントムもそんなに古

          軽量カラビナについての考察

          「COLORS」という考え方

          今日はクライミングジムのルートセットについて考えてみます。クライミングジムとよばれる人口壁が日本で初めて登場してから32年(*注1)、今ではルートセッターというコースをつくるのが専門のプロフェッショナルの存在も知られるようになってきましたが、もともとは壁にいろんなホールドをつけていって後からスタッフやお客さんたちで登るコースを作っていました。 ホールドをつけて完成した壁の写真を撮影してPCでマップとよばれるシートに作った課題を書き込んだり、課題ごとにカラ―テープを貼った

          「COLORS」という考え方

          岩と雪目次120号~71号

          岩と雪目次120号~71号

          岩と雪目次169号~121号

          岩と雪目次169号~121号