「COLORS」という考え方

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今日はクライミングジムのルートセットについて考えてみます。

クライミングジムとよばれる人口壁が日本で初めて登場してから32年(*注1)、今ではルートセッターというコースをつくるのが専門のプロフェッショナルの存在も知られるようになってきましたが、もともとは壁にいろんなホールドをつけていって後からスタッフやお客さんたちで登るコースを作っていました。

ホールドをつけて完成した壁の写真を撮影してPCでマップとよばれるシートに作った課題を書き込んだり、課題ごとにカラ―テープを貼ったり、記号や数字を描いて区別するなど様々な工夫がされてきました。

10数年ほど前から、海外や競技会の影響であらかじめ課題ごとにホールドを選定し色を統一してコースを作るのが流行し、ラインセットとよばれています(*注2)

今では大手のジムではカラーテープを貼らずにホールドの色だけで課題をつくっている所も少なくありません。一見すると確かにコンペの壁のようにすっきりしていて、見栄えが良くお洒落に見えます。

しかし、営業ジムではコンペのように一つの壁に1課題しか作らないわけではなく、ここに大きな落とし穴がありました。ホールドを色分けしてセットしても例えば赤色のホールドの課題のそばにピンク色や紫色などの課題が近接してつくってあると判別が難しくなります。ましてその上にチョークがのればなおさら見分けがつかなくなります。

さて、ここからが本題です。

現在、僕のジムでは常設の基本課題とマンスリーリミテッドと呼んでいる期間限定課題があります。出来るだけホールドのカラーを揃えて課題は作っていますが、マンスリーはホールドの色がばらばらのMix課題もあり、比較的自由に作っています。

そこで、今までの手足限定や足自由といった既成の概念にとらわれずハンドホールドと同系色(暖色系、寒色系)ならフットホールドにつかっていいよという新しい考え方(COLORS)を取り入れてみました。

今まで、足自由しかやったことがない人はフットホールドにもっと集中して考えるようになり、やがて手足限定に移行するためのトレーニングにもなります。このシステムを初めてから約1年、最近ではお客さんからの戸惑いの声も少なくなりました。

色の問題はもっと掘り下げて、また書いてみたいと思います。


*注1  OCS(シテイロックジム)日本初のクライミングジム 1989年開業

*注2 まぶし壁(全付けを含む)

まぶしセットとはホールドがまぶされている壁のことを指します。板に開けられたすべての穴にホールドをつけるのを全付けと言います。トレーニングボードやシステムボードもそれにあたります。もともとセットされている課題分以外のホールドもついていてホールドを付けてから課題を作るセット方法で、色やホールドの種類はバラバラです。

*注3 ラインセット

課題を作りながらホールドを付けていくセット方法で、基本は課題ごとに色やホールドの種類が統一されています。ホールドに課題ごとにカラ―テープを貼ったり、全然テープが貼ってないジムもあります。



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