終了点の話


写真は国際山岳ガイドのK氏よりお借りしました

ここにある岩場の終了点の写真があります。2本のチェーン、錆びたマイロン(クイックリンク)Oリング、2枚のカラビナがゲートが互い違いの向きになるようにセットされています。
この一枚の写真から皆さんは何か違和感を感じるでしょうか?チェーンの末端には錆びた針金が巻き付いていることから、おそらく当初は2本のチェーンにカラビナがかかっているだけだったんじゃないでしょうか?
そこで、『善意の第3者』が利便性のためにクイックリンク(マイロン)とOリング、カラビナを設置したと考えられます。
これで下降の時にロープの結び替えが不要になりました。
問題はこの錆びたマイロンとOリング(当然クライミング用ではない)の強度が全然足りていず、かえって危険な状態になっている事です。
カラビナの残置にはメリットもあります。
本来、ラッペルステーションは名前のとうり、懸垂下降のためのものです。たとえステンレスのラッペルステーションでも、年数がたてば磨耗するので簡単に交換取り替えが出来るカラビナは便利には違いありません。

関西の某岩場、僕は気がつけばこまめにカラビナ(アルミ製)を交換するようにしていましたが人気ルートでは摩耗のスピードが速く1年も持たず、手持ちの交換用カラビナもそろそろ底をつきそうです。

そもそも、いつから終了点はラペル(懸垂下降)ではなく、ロワーダウンで降りるようになったのでしょう?やはりクライミングジムの台頭と無関係ではないでしょう。クライミングジムでは安全上の理由から、ラペルでの下降は禁止、当然結び替えの練習もできないところがほとんどなので、クライミングのスタンダードもここ20年程で大きく変わってしまいました。

そろそろクライマーの意識を根本的に見直す時期が来ているのかも知れません。
☆まずは残置の支点ではトップロープはしない。
☆自分の登りたいルートに責任を持つ、つまり自立したクライマーを育てていく
☆リーダーは登らせるだけでなく、ボルトや終了点の知識を正しく後継者に伝えていく
まず、そのあたりから始めてみましょう。






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