トラッドへようこそ その3

今日はSLCD(カム)のセットのお話です。よく初めて買うのなら何番のサイズがいいですか?という質問を受けます。この質問の回答は後回しにして、今日はカムの中でも最も使われているブラックダイヤモンド社のキャメロットでお話を進めていきます。

キャメロットが普及したのには理由があってダブルアスクル(2軸)でありながらシングルステムでワイドレンジとしなやかさを両立させたところにあります。このライトウエイトモデルでさらに25%軽量化し、完成度が高くなりました。

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この写真は#2番、左からカムが開いているのを0%、真ん中(カムの角度が90度)が50%、右の完全に閉じた状態を100%と考えてください。

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次の写真はちょうどハンドジャム(写真左上)のサイズのクラック(クラックの幅、実測44mm)があったのでここでテストしてみます。

まず、右上の#0.75 緑色は完全にカムが開ききっているので ×

右下の#2 △ 黄色は95%ぐらいカムが閉じているので、実際のクラックではスタックして回収が難しくなる場合があります。

左下の#1 赤色は50%ぐらいでハンドサイズには#1番がジャストサイズという事になります。ここで最初の質問、「初めて買うにはハンドジャムサイズの#1番赤色がいいですよ。」という答えになります。

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ここから、お話は少しマニアックになります。

上の図はメーカーが公開しているキャメロットC4のスペックですが、右上のレンジ幅に注目します。#1赤色ですが、30.2~52.1mmになっています。もう一度 #1赤色の写真を見てほしいのですが44mm幅のクラックで50%ぐらいの開き具合でした。52.1mmだとほぼカムが開ききってしまうのです。メーカーは50%~90%ぐらいのセットを推奨しているので、ここに公称値と矛盾が出てきます。僕は50%よりもさらにタイトなセットをするので(60%~90%、ウオーキングしてカムが開いてしまうと50%以下になってしまいます)さらに実際に使えるレンジ幅は狭くなります。

つまり、現行のシステムでは推奨角度で使用するには各サイズが完全にクロスオーバーしておらず、それがセットの難しさにつながっているのかもしれません。

次回はスモールカムについて考える。お楽しみに~


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