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ライター→講師・コンサルタント→プロ資格マニアの報酬事情 【プロ資格マニアの軌跡】

起業してから今までの報酬事情を振り返ってみる。トータルでの収入はちょっと勘弁していただいて、案件ごとにどのくらいいただいていたのかを記しておくことにする。

起業後すぐ

現在でいうオウンドメディアに近いWebサイトを作るので、その文章を書いてほしいとの依頼が、私の初めての仕事。1ページ500文字程度、20ページという条件で、5万円ほどいただいた。当時、Web原稿でこのお値段は、かなり良心的だったと思われる。

仕事を探すフリーランスと依頼者をつなぐ人材マッチングサイトを利用して得た執筆の仕事は、単価がめちゃくちゃ安かった。1文字0.1円~0.2円といった恐ろしいものもあった。相場に関する知識がなかった私は、そういう仕事もまじめにしていた。まじめにやるうちに、次のステップへとつながったものもある。

知人からの依頼で住所録データの入力をしたこともある。データの内容により1件あたりの価格が変わった。「名前 / 郵便番号 / 住所 / 電話番号」の組み合わせなら1件あたり10円程度。時には「時給1000円」などで計算してもらうこともあった。

起業半年後くらい

人材マッチングサイトで求人に応募するのではなく、企業の公式サイトを見て、人材募集があれば応募するようになった。

そうして得た仕事は、初めは原稿料が安かったが、まじめに取り組むうちに「1か月あたり10万円」での契約をしていただけるようになった。

また、私が3級FP技能士資格を持っていたので、資産運用や投資・投機に関する原稿をご依頼いただけるようになった。この種のWeb原稿は、1500文字くらい書いて6000円~8000円くらいをいただくことができた。

当時のWeb原稿は、1000文字以下のものが主流だったので、1500文字という文字数でも、けっこう長めの原稿と感じられた。また、顔出し・名前だしで書かせてくれるクライアントはめったにいなかった。

イレギュラーな仕事として、資格試験の過去問を出題分野ごとに整理したデータを提出するというものもあった。自分が持っている資格が役立った。こちらは1800問くらいを分類して、報酬は確か3万円とかだったかな。。。

起業後半年~3年くらいの間

長引く不況の影響もあり、また投機で儲けた人たちが追徴課税される報道が相次いだこともあり「資産運用」の記事需要が高まる。また「家計を楽にするには、毎月支払う固定費を削減すべきである」という考えも浸透するようになり、住宅ローンや保険の見直し、ライフプランニングなどの記事依頼が増える。

Web原稿が中心であり、1500文字から2000文字くらいを書き、簡単な図表を用意する仕事で8000円~3万円程度の収入を得ることができた。

3年を過ぎてから

紙媒体が徐々に売れなくなり、Web原稿の依頼が中心になる。また、顔出し・名前だし・資格ありで原稿を書くことができる人は、安定して仕事がもらえるようになる。

また、知り合いのお店の人から「お客様に季節のお便りを出したいから、制作を手伝ってほしい」という依頼を受け始める。簡単なニュースレターなら1本を執筆・レイアウトまで取り組んで、当時は1万円程度でお引き受けしていた。

Webサイトの読みやすさや、改善すべき点について診断してほしいというご依頼もいただくようになり、1ページの診断なら3000円から、複数ページの導線までチェックするならページ数に応じて5000円からという形でお受けしていた。

この時期の反省点として、「自分がどういう仕事に取り組みたいのか」「事業全体として何をやりたいのか」を考えていなかったことがある。Web原稿ならこう書けばいい、ニュースレターを制作するならこうすればいい、Webサイトの診断や改善ではどこを見ればいい、というテクニックは確かに身に着いた。でも、テクニックを使って作業を続けているだけの時期を4年ほど続けてしまったのは、大いに反省している。

7年を過ぎてから

素人でも電子書籍が出版できるシステムが提供されるようになったので、使ってみたいと思うようになった。この頃から、自分で作った電子書籍をAmazonで売るようになる。

当時の電子書籍は、100円、200円といった低価なものが好まれており、著者印税も数十円単位だ。よほど多くの人に購入してもらわないと、印税だけで生活するのは難しかった。

2020年現在は、800円や1300円といった電子書籍も売れるようになっている。ロイヤリティの設定を考え、プロモーションをきちんと行えば、私が初めて電子書籍を売り出した時期よりはずっと、売上が伸びていくだろうと思う。私自身も、ろくにプロモーションをしていない自分のKindle本が、毎月ある程度のロイヤリティをもたらしてくれるのを、ありがたいと思っている。

さらに、紙製の書籍を個人が出版するハードルも、すっかり低くなった。5000円を切る初期投資で個人出版ができるだけでも驚いたものだが、現在では初期投資0円でできる方法もあるのだ。私も本を出していて、自分の名刺代わりに人に配ると、喜ばれることも多い。

やがて、個人事業主・経営者の方から直接、執筆やWebサイト診断の依頼をいただくようにもなった。そこで、Webサイトなどで料金表を作って、公開している。自分自身が価格交渉の場で混乱しないためにも「この仕事ならこのくらいの料金で」を明確にしておくのはよいことだ。また、ライターに直接依頼をするのが初めてという人にも、料金表があることでコストのイメージがつかみやすくなってよかったとお褒めいただいた。

講師・コンサルタント業を始めてから

自主セミナーで得られる利益は、受講料×人数分。そこから会議室の使用料や広告宣伝費、告知サイトの利用料などを差し引いた分が講師の収入だ。うまくすれば1度のセミナーで何万円も利益があがることもある。逆にすべることもある。

コンサルタント業務は、高額の報酬を設定することもできるが、私が初め行っていた「起業したい人向けのコンサルティング」では、まだ資金力がない人に、多額のお金を払ってもらうことをしたくない、という思いがあった。だから5000円から1万円という料金設定をしている。

いっぽうで、コンサルティングばかり続けて、いつまでも起業できない状態になっても困る。だから「料金は安く、相談期間は短めに済ませる」ことも心がけている。

今も「資金力がない人から、ぼったくるようなことはしたくない」と思っているが、いっぽうで「長く落ち着いて相談に乗っていただきたい」という人のご依頼もいただくようになった。その人の状況をお聞きして、見積りを出してからお悩みの解決に取り組んでいる。

半年以上の一定期間、メールによるコーチングやカウンセリングを続ける形で15万円以上の契約をしていただいたこともある。

また、特定の目標に向かって(ネットショップを立ち上げたい、資格を取りたいなど)、タイムキーパーを務めながら、問題が起こった時は解決法を考えるという方法で、10万円の報酬をいただいたことも。

初めは「お金をいただいてもいいのだろうか?」と不安だったが、お金をいただくことで、一時的にお客様を慰めたり、気分が良くなるだけのことを言うのではなく、
「本当にお客様のためになるかどうか?」
を考え、時には厳しい発言も含めて行うことが、できるようになった。

また、お客様にこれ以上のコンサルティングが必要ないと思ったときは、たとえ「相談に乗って欲しい」と言われても、お断りする。無駄なお金を使っていただくよりは、いったんお金を留保していただいて、必要なタイミングで使っていただきたいからだ。あるいは、私のコンサルティングよりも、チラシ印刷やポスティングにお金を使っていただきたいときは、そのように申し上げる。

まとめ

単価が安くても、1つ1つの仕事を丁寧に仕上げていると、きちんと評価してもらえて、次のステップにつながることも多いのは事実だ。しかしながら、クライアントへの義理やお願いなどに負けて、あまりにも相場より低い、生活に支障をきたすような報酬で、仕事を受けるのはよくない。
そのための判断材料として、この記事を役立てていただけたら幸いである。

プロ資格マニアとしての私は、これから「好きなことを仕事に変えたい」と考える人に、なんらかの手助けができるようになりたいと思う。「資格マニアを仕事にする」を実現した経験をもとに、「こんなことがビジネスになるの?」と疑問を抱く人に、それを収入につなげるような方法をご提案することができるかなと。

楽器演奏やアクセサリー作り、料理、外国語会話など、人には何か好きなことがあるものだ。それを活かした仕事をしたり、現在の仕事に好きなことを活かす方法を、ご相談者様と一緒に考えていこうと思っている。

河野陽炎の本とコンサルティング


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