変えてもいいルールとルールより重いマナーがあると気づかせてくれたゲーム

私が子供のころ、ファミコンはまだ登場しておらず、「ゲーム」といえば「人生ゲーム」のようなボードゲームや、「ドンジャラ」のような卓上ゲーム、トランプなどでした。

子供は遊びの天才と言われることがありますが、私たちも「ゲームをより楽しいものにする」ために、既存のルールにいろいろな制約を付け加えたり、逆に制約を緩めたりして楽しんでいました。「人生ゲーム」のような細かいルールが決まっているものですら、独自ルールを付け加えてややこしくしては、楽しんでいたものです。

そのような遊びを通して「ルールは時と場合によっては変えてもよいものだ」という認識を育てることができたのです。

とはいえ、なんでもかんでも変えていいのではなく、「絶対にやってはいけないこと」もあります。ゲームに興奮して手が出る幼い子や、ものを投げる、捨てるなどの行動に出る子もいました。
そういうときは、年長の子が注意したり、時には親を巻き込んだりして、「これだけはやってはいけない」ということを学んできました。

いっぽうで「ルール違反かどうかと言われたらそうではないが、人としてやってはいけないこと」もあります。人の心をえぐるようなことを言ってはいけないとか、負けた子をいつまでもからかってはいけないとか、遊んだ道具をぐちゃぐちゃに仕舞ってはいけないとか。

これらは、どちらかというと「マナー」「思いやり」に属するものです。マナーを守らなくても、思いやりがなかったとしても、それは法律違反ではありませんが、人として失ってはいけない何かがあるということでしょう。

そのような学びがあったことを、成長するにつれて忘れていたのですが、大人になってからこのことを思い出しました。
それは、私の知人が冠婚葬祭に関して失言をしてしまい、あまりの言葉にその場が凍り付くようなことがあったときです。

冠婚葬祭にはさまざまなマナーがあって、それは主催者への思いやりを形にしたものだと私は思います。マナーを守らなかったから、知らなかったからといって、処罰を受けるかというとそうではないので、ルールとはまた違うかもしれません。でも、ルールより重いマナーもあるんだなと、このとき感じたのです。

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