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内定辞退の電話をかけた日【23卒・文系】

こんにちは。高校5年生です。

部屋の整理をしていたら、内定を辞退する電話をかけたときの台本が見つかりました。何度も書いて消された乱雑な文字から、あのときの必死さと緊張感が思い起こされました。
というわけで今回は、私が内定辞退の電話で話した内容をお伝えします。

ご紹介するのは4月に内定をいただいた企業さんに、辞退させていただく旨をお伝えしたときの台本です。辞退をお伝えしたときは6月でした。

私が喋ったセリフは「私」、電話に出られた人事部の方が話されたセリフは「人事」と表記します。
台本の途中でコメントを挟むときは、文頭に「→」を入れております。

プルルル……
人事:はい。○○社人事部の○○です。
:こんにちは。お世話になっております。4月に内定をいただきました、○○大学○○学部4年の○○○○です。

→何度も繰り返し練習してから電話をかけましたが、息継ぎなく早口になってしまいました。緊張しているので仕方ないです。

人事:○○さんですか。どうしました?
:先日は採用のご通知をいただきまして、ありがとうございました。また、承諾書提出をお待ちいただき、ありがとうございます。
人事:あ、ああ。

→私は、最終面接で内定を出すことを告げられていたのですが、「他にも受けている企業があるので、その結果が出揃ってからお返事させてください」とお願いしておりました。
このときの「ああ」が、最初に電話に出たときのお声と違ったのがさらに緊張を高めました。「今から自分はこの方にとって良くないことを言うんだ」という罪悪感と後ろめたさが、最高潮に達しました。

:身勝手で恐縮ですが、内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。
人事:そう……ですか。それは、どうしてですかね?
:はい。採用のご通知をいただいた際に、6月いっぱい就職活動を行うということで、入社承諾書の提出期限を6月末に遅らせていただきました。しかし、私がお返事を保留し続けることでご迷惑をおかけすることが心苦しいので、辞退のご連絡をさせていただきました。

→最終面接で「結果が出揃うのはいつ?」と訊かれていた私。4月の時点ではいつまで続くかはっきりとは分からなかったので(希望の企業さんから内定をいただけたらその時点で終わりますし、いただけなかったら採用が続いている限り受け続けるつもりでした)、とりあえず目安をお伝えしなければと「6月末です」と答えました。
当時は2ヶ月先なんて遠い未来だと思っていたのですが、6月末はあっという間にやってきましたね。

人事:う~ん……別に6月末までに出してもらわなくても良いんだけどなぁ……もうちょっと待ちますよ。考え直してもらえませんかねぇ。

→がっかりされたり、きつい言葉をかけられたりするものと想像していた私は、まさか引き止められると思わず、ここでものすごく焦りました。引き止められた場合の台本を用意していなかったのです。

:内々定をいただいてから自身の適性ややりたいことを改めて考えました。○○社の皆様には面接でも温かく迎えてくださって、本当に迷ったのですが、今後心変わりすることはありません。本来であれば直接お詫びに伺うところではございますが、できるだけ早くお電話でと思いまして、ご連絡いたしました。

→ここは台本に合った言葉を繋ぎ合わせながら、アドリブで喋りました。曖昧な言い回しだと「強く言えば考え直してくれるかも?」と期待させてしまうので、「心変わりすることはありません」と言い切ったのが私なりのこだわりポイントです。

人事:う~ん……え~~~……。あ~~……、そうかぁ~……。

→顔は見えませんが、電話でも悔しそうな表情を浮かべていらっしゃるのがよく分かりました。人事部の方はしばらく、「あ~」や「え~」など、言葉にならない言葉を言っていらっしゃって、本当に心苦しかったです。相当な採用コストをかけて選考しているのですから、当然ですよね。「すみません……」としか言えませんでした。

人事:……分かりました。(気持ちは)変わらないんですね。
:はい。
人事:分かりました。
:誠に申し訳ございませんでした。失礼いたします。

これらが、初めて内定辞退の電話をかけたときの会話です。8ヶ月が経った今でも、あの日の緊張が鮮明によみがえります。電話をかけるときもすぐにはかけられず、台本のセリフを何度も口に出したり、姿勢を正したり、手が届く範囲にスケジュール手帳や就活で使ったノート、筆記用具を並べたりとバタバタしました。電話を切ってみればほんの短い時間でしたが、その前の緊張は相当なものでした。

それだけ緊張するのは、自分を選んでくださった企業さんに迷惑をかけてしまうこと、私が想像する以上に内定を辞退することで企業さんに影響を及ぼしてしまうことが分かっているからです。先程はさらっと“採用コスト”と言いましたが、時間、お金、労力など様々です。私が内定を辞退することで、その企業さんはまた1から追加採用をしなければならないかもしれません。電話口で人事部の方が言葉にならない言葉を漏らしていたのも、代わりの内定者をまた探さなければならないという大変さが降りかかってきたからではないでしょうか。本当に、私は大変なことをしているんだと責任を感じました。

これから内定辞退の電話をかける、就活生の皆さんへ。辞退すること自体は悪いことではありません。自分の未来を自分で決める、大事な決断です。緊張されると思いますが、臆せず電話をかけてください。
けれどもそのときはぜひ、辞退することで少なからず企業さんに影響を及ぼしているんだということを心の片隅に置いていてください。「ごめんなさい」という気持ちと、ご自身を選んでくださった企業さんへの感謝の気持ちを持って、真摯に向き合う学生さんを責める人はいないはずです。

以上、「初めて内定辞退の電話をかけた日【23卒・文系】」でした。
最後までお付き合いくださいましてありがとうございました。
次の投稿でまた、お会いしましょう!