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読書感想文【富の福音】アンドリュー・カーネギー著

こんにちはコウカワシンです。

今回は、アンドリュー・カーネギーさんの書かれた【富の福音】を読み学んだ大切なことを書かせていただきます。

この本もMLB大谷翔平(おおたに・しょうへい)選手の愛読書の一つです。

そして、あのビル・ゲイツ氏、ウォーレン・バフェット氏の愛読書と言われ、キリスト教徒以外でも欧米の富裕層は必ず読むとすら言われているそうです。

アンドリュー・カーネギーという人

鉄鋼王として名高いアンドリュー・カーネギーさんは、1835年スコットランド生まれ。1848年に一家で米ペンシルベニア州ピッツバーグに移住してきました。

12歳のときには紡績工場で働き始め、14歳のときに電報配達員、16歳で通信技師、18歳でペンシルベニア鉄道の秘書兼通信士と職を変えます。

24歳のときにはペンシルベニア鉄道ピッツバーグ線区の責任者とまでなりました。

1861年、カーネギーさんが26歳のときにアメリカでは南北戦争が始まり、カーネギーさんは南軍で軍事輸送の指揮を取ります。

27歳のとき、それまで鉄道用の橋は木製が多かったのですが、カーネギーさんは必ず将来、鋼鉄橋の時代が来ると予想し鉄橋の製造会社を設立します。

製造業に関係したのはこれが初めてでしたが、この鉄橋製造事業がすべての基礎になりました。ペンシルベニア鉄道を退職し、カーネギーさんの実業家としての躍進のきっかけになったのでした。

やがてアメリカは世界一の鉄鋼産業を持つ国となりましたが、カーネギーさんの経営者としての時代を読み取る積極果断な性格とこれまでに培った慎重さの組み合わせが躍進の原動力となったのです。

これにより巨万の富を持つようになったカーネギーさんですが、彼には富を持つことのポリシーがありました。

それが「富を持って死ぬものは、真に不名誉である」です。

「富を持って死ぬものは、真に不名誉である」

カーネギーさんには「脳力のある者が富を築くことは社会の進歩に役に立つ」「巨富を得た者はそれを社会に有効に還元すべき」という考えがあります。

そのため、社会に貧富の差があるということは、社会が進歩する必要条件だとも言います。

才能と幸運に恵まれ、努力と忍耐を惜しまなかった人が富豪の地位を得て、より高い水準の生活を楽しむのはしごく当然です。

人間には能力の差があり、出世あるいは富を得たいという人間の欲望が、社会を動かす原動力になるからです。

しかし、カーネギーさんは富を独り占めすることには反対です。

富豪と呼ばれる人が、自発的に自分の富を社会のために提供することは、富の不公平な分配を、少しでも公平な方向に近づけることになります。

そして提供された富は公共の利益のために用いられ、社会組織は急速に発展していくのです。

富は天国には持って行けません。

自分の死後、他者から敬われる富の使い方として財産の大部分を公共のために遺贈する行為は、賞揚されることはあっても笑われることはないでしょう。

それができないとするのであれば、その人に対し、「富を持って死ぬものは、真に不名誉である」と、弔辞を贈るほかありません。

富は脳力(能力)ある者に集めよ

カーネギーさんは、「富は脳力ある者に集めよ」と言います。

それには次のような理由があります。

  • 脳力ある者は先を読み社会にとって利益になることを生み出してくれる

  • 平等をうたう共産主義は世界的にうまく運営できていない

  • 巨万の富を持つ者は慈善事業に熱心である

先ほど、「社会に貧富の差があるということは、社会が進歩する必要条件だ」と言いましたが、まさにその通りで、人には脳力(能力)に差があり、どうしても稼ぐ力に差が出てきます。

でもむしろこれは歓迎すべきことです。

みんなが平等でなければいけないという考えの共産主義は、社会的発展がうまくいかず運営自体にもひずみが出てきている国がほとんどですし、その共産主義ですら貧富の差はあるのだそうです。

巨万の富を持つ者は慈善事業に熱心であるとするのも、カーネギーさんを始め、マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏、アマゾン創業者ジェフ・ぺゾフ氏、スペースXのイーロン・マスク氏など、そうそうたる人物が浮かんできます。

まあ、脳力のある人のもとにどうしても富が集まってきてしまうともいえるのですが、巨万の富こそ大きな社会事業を行う上で必要であり、これにより富のない人に還元されるのです。

こういったことを公平な目で見れる人間こそが社会の不平等さを恨んだりせずに幸せな人生を過ごせるといえますね。

富を持つ者が守るべきこと

巨万の富を持つ者に対してもカーネギーさんは厳しく律することを問います。

たとえば次のようなことです。

  • 経営者の評価は努力ではなく結果であると認識すること

  • 「富を持って死ぬ者は不名誉である」と知ること

  • 労働者との関係を良好にすること

経営者というのは先々を見通す力が必要です。ですので成果の上がらないことに努力するよりも目先を利かせ結果重視の事業運営をしなくてはいけません。

さもなければ、協力してくれる従業員の生活を守ることができません。

従業員、つまり労働者ということですが、つねに関係は良好にし、労働組合活動にも一定の理解をするべきです。

ここでも富の分配に気を配るべきだということがいえるでしょうね。

富を持つ者が社会貢献のためにやるべきこと

カーネギーさんは、冨を持つ者の務めとして社会貢献をするべきだと言います。

そのために以下のことを守りたいものです。

  • 富の大半を努力している者に対してその努力に応じた援助をする

  • 富を一族で蓄えない

  • 職工(労働)組合を承認する

何を意味するかというと、「富を独占しない」ということです。

自分の子孫に財産を残すこともカーネギーさんはよしとはしません。

そのようなことよりも努力している者、向上心のある者に対してその努力に応じた援助をすることが大切だとしているのです。

どのような援助かというと、努力する人が充分な教育が受けられるように奨学金を出すとか、図書館や美術館、コンサートホールなどに資産を投じれば、それらに助けられる人がたくさんいることでしょう。

このような行動こそが、社会貢献となり、富を持つ人がカーネギーさんを敬い真似をし社会発展していく基盤となっていくということです。

100年後も読み継がれるカーネギー氏の「成功ノウハウ」

本書は、カーネギーさんの体験の中からつかんだ「成功ノウハウ」を記しています。

何も持たない者が異国の地で成功をつかみ大富豪になるというのは、一見して誰もが真似できない再現性のないものに思えるかもしれません。

ですが、要所要所でカーネギーさんの放つ言葉は、見方によると情け容赦ない辛辣な言葉に思えますが、事実をそのまま表した言葉であります。

決して人を貶めるためではなく、人類の幸せ、社会の発展のためにはこうするしかないという至言であると感じます。

本書を読んでの受け取り方は人それぞれ違うでしょうけど、自分にとっての「成功とは?」を考えるきっかけにもなる一冊ではないでしょうか。


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