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短編小説

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#クトゥルフ

短編【震える脳】小説

短編【震える脳】小説

アンジェリカ・バキンズがブルックリンにやってきたのは六年前の事だった。
家政婦としてフィッシャー家へ奉公にきたのだ。
そのとき19歳だったアンジェリカは今は25歳になっていた。

フィッシャー家の主人、ミルトン・フィッシャーはブルックリンで劇場と酒場を経営する実業家だった。
元々、ミルトンは小説家になりたかったらしいのだが文才はなく、代わりに商才はずば抜けていたようで一代で富を築き上げた。

ミル

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短編【愛を創りし者】小説

短編【愛を創りし者】小説

お前の様な醜い顔の人間は誰からも愛されはしない。

何故そんな事を言うんだ母さん。
母さんも僕を愛してはくれないのかい?
そんな事はない!あんなに愛してくれたのに。
どうして、そんな事を言うんだ!母さん!
イア!イア!クルウルウーフンタング!

目が覚めると異常なほどの大量の汗で全身が濡れていた。
もう冬だというのに。
母が亡くなって半年が過ぎようとしている。

「お前の様な醜い顔の人間は誰からも

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短編【黒と白の闇の中で】小説

短編【黒と白の闇の中で】小説

今年81歳になるフィッシャーさんの家はブルックリンの中心からちょっと離れた場所にありました。
4分の1ブロックとまでは言わないけれど、その半分以上は占めている大邸宅です。

フィッシャーさんはこの広すぎる豪邸に一人ですんでいました。
アンジェリカ・フィッシャー。
それが彼女の名前です。

アンジェリカがこの家にやってきたのは彼女が19歳の頃だったそうです。
その頃はアンジェリカ・バキンズという名で

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