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コノシロなれずしの作り方【漬け編】 〜三重県伊賀市音羽 佐々神社の神饌〜

2023年11月19日(日)、三重県伊賀市音羽の佐々神社に伝わる例祭「このしろまつり」の神饌、コノシロのなれずしの仕込みを見学してきました。時間が経つと忘れちゃうので仕込みの工程だけザザッと書いておきます。

まずは神社にご挨拶

作業場に伺う前に
お邪魔します、お世話になりますのご挨拶
はき清められていて大事にされているとわかる
作業場に到着
神社の近くのFさん宅が今年の作業場
43世帯のうち5世帯が集まりコノシロを漬ける
順番に当番が回ってきてFさんチームは9年ぶりだそう

8:00〜 複数の作業を分担して行う

大量の柚子を輪切りにして種を取り除く

地域の方の畑や庭に生っている柚子を使う
前日に実と葉を収穫しておく
一帯が柚子の香りに包まれていて幸せな気分に
種は使わないので取り除く

柚子の果汁を絞る

輪切りとは別に果汁も絞る
この絞り機を投入後、果汁絞りの効率がかなり上がったらしい
9リットルくらい絞った

柚子の葉を洗い乾かす

美しい柚子の葉
水道水であらう
柚のトゲは取り除く
実に近いところにトゲが密集しており
収穫する時めちゃ刺さるらしい
網戸に広げ乾かす
風が強かったので小屋の中で広げる
乾く気配がないのでサラダスピナー登場
サラダスピナーも力及ばず
網戸と網戸でサンドイッチにして風に飛ばされないようにし
日光とブロワーで乾かすというナイスアイデアが生まれた
ただしやりすぎると葉がカリカリになるので注意

コノシロを洗う

100匹漬ける
今年のはサイズが大きいらしく
沖島のニゴロブナと同じくらいの大きさ
地域の料理屋さんが塩漬け・冷凍してくれる
背開きして内臓はとってある
腰を屈めながら洗う、大変な作業
エラが残ると臭くなるため丁寧に取り除く
歯ブラシで血身や黒い部分をおとす

洗ったコノシロをタオルで拭いて乾かす

キッチンペーパーよりタオルの方がよく拭けて良いらしい
画像では新聞紙の上に拭いたコノシロを並べているが
新聞紙はお勧めしない
コノシロに新聞紙が張り付き、柄が似ているため気付きにくい
張り付いた新聞紙を取るのも手間がかかる
何も敷かないか、乾いた布巾の方が良いと思う

一斗五升の米を炊く

ガス釜で炊く
以前は各家庭の炊飯ジャーで炊いて持ち寄っていたそう
無事に炊けてFさんはホッとされていた
炊き具合にこだわりはあまりなさそう
今日のは少し柔らかめで軽く握るだけで簡単に団子になる
お米は米を作っている家庭からの持ち寄り
乾燥しないように濡布巾をかけ冷ます

「つと」を作る

「つと」とは
コノシロ持ち帰り用のスシポーチのこと
稲藁を15本束にして、折って結んで編む
こんな感じにする
これは総代の方が作った工芸品レベルのつと
祭りまでにぼちぼち作る
「まあ、誰もこれに入れて持ち帰らんけどな!」
私は入れてみたいぞ

12:00〜 お昼休憩

おばあちゃんが握ってくれた。うまー!!

13:00〜 午後の部スタート

箸を作る

軽トラで近くの原っぱまで行き
箸の材料になる葦を採集する
太すぎないのを選ぶ
葉をおとして、茎を箸の長さにカットして洗う
「実際は使わんけどな。折れやすいし、割り箸使うし」
つと・箸作りチームの作業は黙々と続く…

炊いた米を丸める

大きすぎるおにぎりぐらいの大きさに丸める
お酢を手水にする
まだほんのり温かいが大丈夫とのこと
丸めておくとコノシロや樽に詰めるときに楽になるらしい

コノシロにご飯を詰める

背中から詰める。顔にも詰まるように
後に詰めすぎたと判明…

14:50 いよいよ木樽に漬ける

漬ける順番は図の通り
コノシロ、柚の輪切り、柚の葉、ご飯を層にしていく
1段目:柚子の葉を底一面に敷き詰める
2段目:ご飯を投入
ご飯は平に均す
3段目:柚子の葉を敷き詰める
4段目:コノシロ13尾をなるべく重ならないよう、横向きに敷き詰める
コノシロが動かないよう
側面に土手を作るような感じでご飯を詰める
隙間にも詰めて表面をフラットにする
この段階から「ご飯足りないかも…」という懸念があったため、ご飯量はやや控えめ
ここでお酢投入。量は適当
本来お酢は入れないが
腐敗を防ぐための保険として入れるとの事
5段目:柚子の葉を敷き詰める
6段目:ご飯を薄く敷き詰める
7段目:柚子の輪切りを敷き詰める
柚子果汁ドボドボ!特に側面に注ぐ
続いてお酢もドボドボ!
おばあちゃんはしきりに「端っこ!端っこに!」と仰っていた
8段目:柚子の葉を敷き詰める
9段目:コノシロ15尾をなるべく重ならないよう、横向きに敷き詰める
ご飯を側面と隙間に詰めてフラットに
10段目:柚子の葉を敷き詰める
11段目:ご飯を薄く敷き詰める
12段目:柚子の輪切りを敷き詰める
柚子果汁ドボドボ
13段目:柚子の葉を敷き詰める
14段目:コノシロをなるべく重ならないよう横向きに敷き詰める(確か18尾…)
ご飯を側面と隙間に詰めてフラットに
おばあちゃんも撮影
ブログをやっているんですって!
15段目:柚の葉を敷き詰める
16段目:ご飯を薄く敷き詰める
17段目:柚子の輪切りを敷き詰める
18段目:柚の葉を敷き詰める
19段目:コノシロ(多分20尾)を敷き詰め
側面と隙間にご飯を詰めてフラットに
柚の果汁ドボドボ
(この辺、中座しており撮影が不十分)
20段目:柚の葉を敷き詰める
21段目:ご飯を薄く敷き詰める
この頃からご飯節約モードが全開になっていたためご飯がまばらになっているが、本来は葉が隠れるくらいに敷くと思われる
22段目:柚の輪切りを敷き詰める
柚の果汁ドボドボ
23段目:柚の葉を敷き詰める
24段目:コノシロを敷き詰める
何尾か忘れてしまったが、樽は上に行くほど口径が大きくなるので多分20尾
もう結構満杯に近いのにまだまだ工程は続く
「間違いなく溢れるなこりゃ」
側面と隙間にご飯を詰めてフラットにして
25段目:柚の葉を敷き詰める
26段目:ご飯を薄く敷く
27段目:柚の輪切りを敷き詰める
柚子果汁ドボドボ
28段目:柚の葉を敷き詰める
29段目:コノシロを敷き詰める
お酢ドボドボ!
はみ出すにも程がある(笑)
またお酢ドボドボ!!
これはもはや普通の寿司では…?という声
コノシロの隙間にご飯を詰める
30段目:柚の葉を乗せる
都度上から体重をかけて押し込んでいるものの
もうどうしようもなくはみ出ている
31段目:残り少ないご飯を乗せる
とにかくコノシロが露出しないように!
32段目:柚の輪切りを敷き詰める
端っこは柚子が落ちてしまうため、どうしてもご飯が露出する
柚子果汁ドボドボ
さあ、これで最後だ!
33段目:柚の葉を敷き詰める
端っこは葉っぱが落ちてしまい乗せられない
特にビニール袋などで覆うことはせず、
葉っぱの上に直に重りを乗せていく
最終的にこのような形に
30kgの米袋を3袋+10kgのバーベルの重りを乗せて
合計100kgでしっかり空気を抜いていく
両端のテーブルは重りが傾かないようにするためのもの
端っこのご飯や柚子は露出している
本来は葉っぱだけが見えるのだろう
15:47漬けの仕込み作業終了、大体1時間で漬け終わる
この後は一切触らずこのまま、12/9まで寝かせておく
片付けて解散
次は12/10のこのしろ祭で会おうと約束し、帰路につく

コノシロのサイズが例年より大きく、樽からはみ出してしまうというハプニングもありましたが、臨機応変に工夫して無事漬け終わりました。皆さんの手早さに脱帽です。

毎年スシの味は異なるといいます。気候や樽の置き場所、人による果汁や酢のサジ加減などの違いによって、かなり違いが出そうですね。発酵期間も約20日間と短いため「発酵してないんじゃないかなー」とおっしゃる方も。その辺は実食して確かめてみたい。楽しみだな!

何者かよく分からない私を快く迎えてくれたFさんはじめ音羽地域の皆さん、いっぱい遊んでくれたYちゃん
本当にありがとうございました!

次回は樽開きと、このしろまつりをレポートします。最後まで追いかけます。お楽しみに。


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