高円寺/佐藤裕亮|文系ポスドクの生活

しがない文系ポスドクです。映画とか小説とかの感想、生活について書きます。よろしくお願い…

高円寺/佐藤裕亮|文系ポスドクの生活

しがない文系ポスドクです。映画とか小説とかの感想、生活について書きます。よろしくお願いします。 研究プロフィールは https://researchmap.jp/y-s-a-t-o

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選択と偶然:サイコロ振ったら文系博士

マイナビ×noteの #あの選択をしたから という企画への記事です。 たぶん文系博士の記事は少数だと思うのと、「文系ポスドクの生活」というブログの趣旨とも合うので、投稿しようと思います。 たまたま博士になりました 2021年3月、僕は立教大学大学院社会学研究科で博士号を取得した。現在は立教大学の社会情報教育研究センター(長い!)の事務局で勤務している、いちおう、現役の研究者だ。 このような自己紹介をすると「勉強が好きなんですね」とか「頭いいんですね」と言われることが、よく

    • 【お知らせ】『看護展望』2023年9月号に寄稿しました

      続けてのお知らせです。 拙稿ながら、看護管理者・看護教育者に向けた総合雑誌『看護展望』(メヂカルフレンド社)2023年9月号に論考が掲載されております。 「特集 次世代の看護管理者が育つ組織へ安心して学び合える「学習する組織」への道のり」内の「PART 3「学習する看護組織」をつくるための アプローチの理論的背景・解説」という文章が、拙稿になります。 今号の編集協力を担当されている平林慶史(有限会社ノトコード 代表取締役)さんからご紹介いただき、掲載の運びとなりました。 実は

      • 【お知らせ】私設図書館をオープンします

        ご無沙汰しております。佐藤です。 最近は新型コロナウイルス感染症にかかり、てんやわんやの日々を過ごしております。。 さて、本日もお知らせです。 このたび、埼玉県飯能駅前に私設シェア型図書館をオープンすることになりました! すでに本棚の搬入は終わり、現在はクラウドファンディングで本棚オーナーの方やご支援してくださる方を募集しております。 共有・拡散・ご支援の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。 https://camp-fire.jp/projects/view/689601

        • 近藤秀将『アインが見た、碧い空。』書評

          行政書士の小説 アインが見た、碧い空。: あなたの知らないベトナム技能実習生の物語  本書は、博士課程時代の私の「後輩」であり、現在は研究面でもお世話になっている行政書士法人KIS近藤法務事務所の代表、近藤秀将氏が執筆した、「ビジネス・ライトノベル」だ。  行政書士とは、様々な「許認可申請」の専門家である。例えば私が何らかの事業(何らかの製造業、自動車整備業、レンタカー業、古物営業等々)を始めたいとしよう。その場合、私はその事業を法律に適した形で行える資格があるか審査を受

        選択と偶然:サイコロ振ったら文系博士

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          9本
        • 読書会のこと
          5本

        記事

          【お知らせ】本を通じた出会いの場を作る:「本の長屋」プロジェクト

           東京・高円寺にある「コクテイル書房」の店主・狩野さんが発起人となって行っているクラウドファンディング「本の長屋」プロジェクトへの私の応援記事が掲載されました。  こちらのプロジェクトは高円寺にある古民家を舞台に、本を通じた出会いと交流と憩いの場を作ることが目的になっています。  当ブログで度々お知らせしているように、私はコクテイルさんで1年以上前から「社会学を学ぶための読書会」を行っており、本を通じたつながりの面白さを日々、感じています。  お時間のある時にぜひ、プロジェク

          【お知らせ】本を通じた出会いの場を作る:「本の長屋」プロジェクト

          イソップのコウモリと、「社会学は弱者の味方」という誤解

          よくある感想 2年前から縁あってとある私立大学で社会学の入門・概説的な講義を行っている。その際、E.デュルケームやR.コリンズなどを参照しながら、もはや社会学的思考の常套句となっている「社会の”当たり前”を疑う」とか「社会の半分”外”に立つ」という話をしています。 このような話をすると、必ず「(社会の)多数派だけでなく、少数派に目を向けることも大事なのだと思った」とか、「社会学は弱者の味方に立つ学問なのだと感じた」という感想が結構な数、出てきます(中には「社会学者はみんな左

          イソップのコウモリと、「社会学は弱者の味方」という誤解

          アジールとコミュニティ:読書会を振り返る

          皆さま、こんにちは。佐藤です。 先日、「社会学を学ぶ」読書会の最終回1回前がありました。次回はいよいよ最終回。奥村隆『社会学の歴史Ⅰ』全体を振り返る回になります。 今日は今までの読書会を振り返ってみたいと思います。 読書会をはじめたきっかけ まずは読書会を始めたきっかけを振り返りたいと思います。 上記の記事でも書いたように、私が読書会を始めた動機は大きく分けて二つありました。 一つは、①「生きがい」としての学問の可能性を探る場所を作りたいというものです。専門の研究者では

          アジールとコミュニティ:読書会を振り返る

          【お知らせ】コラムを寄稿しました

          テクノロジーと身体についてのコラムを寄稿 こんにちは。佐藤です。 掲題にありますように、コラムを寄稿しました。 Fashion Tech Newsは株式会社ZOZO NEXTが運営するオウンドメディアで、今回は「リレーコラム Fashion / Technology」に後輩の関駿平さん・庄子諒さんからバトンを受け、寄稿することとなりました。 リレーコラム自体のテーマは下記のとおりです。 作田啓一による三島由紀夫『美しい星』論(およびUFO論)を参照点としながら、内閣府の

          【お知らせ】コラムを寄稿しました

          【読書会について】参加募集を一時停止します

          こんにちは。佐藤です。掲題の件につきまして、ご連絡です。 私が主宰している「読んで書く読書会――社会学を学ぶ」ですが、参加者が定員となりましたので、参加募集を一時停止することにしました。 とはいえ、一応、次回読書会の日程についてもお知らせいたします。 *** ・7月30日(土)15時~(2時間程度) ・会場:コクテイル書房2階 ・範囲:奥村隆『社会学の歴史Ⅰ』第6章(シカゴ学派とミード) 持ち物はテキスト、A4サイズのクリアファイル等、筆記用具です。 *** 終了後は、コクテ

          【読書会について】参加募集を一時停止します

          【お知らせ】エッセイを寄稿しました

          こんにちは。佐藤です。 蒸し暑い日々が続き、とてもしんどいですね。 さて、本日もお知らせです。 歴史学をはじめとした、人文・社会科学の学術出版社である有志舎さんが運営している『別冊 CROSS ROADS』というWebマガジンに、私が読書会をはじめることにしたきっかけと動機について述べた文章を寄稿しました。 タイトルの通り、若手研究者の皆さんに「非専門家」との読書会を主宰することをおすすめする文章ですが、現代日本社会における「知」や「教養」のあり方に関心がある方にも、読んでい

          【お知らせ】エッセイを寄稿しました

          読書会の愉しさと意義についてのメモ

          先日の4月2日(土)、自分が主宰している読書会が3回目を迎えた。その日は、奥村隆著『社会学の歴史I』(2014、有斐閣アルマ)のK・マルクスの章を読んだ。理論的な説明が多い章なので少し心配をしていたが、杞憂に終わった。年齢も職業も性別も異なる、少し前には初対面だった人たちが、「疎外」という概念からの連想や疑問を小一時間話し合うような様子は、非日常的な経験である。とても楽しい時間だった。 「言語ゲーム」という考え方読書会のレジュメの準備をする際、柄谷行人『マルクスその可能性の

          読書会の愉しさと意義についてのメモ

          【お知らせ】第2回読書会のお知らせ

          皆さま、こんにちは。佐藤です。 第2回読書会のお知らせ本年1月より私が主宰している「読んで書く読書会――社会学を学ぶ」ですが、1,2名程度、参加者の追加募集を行います。下記の連絡先までご連絡いただけると幸いです。 なお、読書会の様子は、記録及び遠距離からの参加ができるよう、Zoomで配信します。お顔はほぼ映りませんが、声は電波に乗ります。参加をご検討される方は、その点、ご了承ください。 では、改めて第2回読書会のお知らせです。 ・対象:一般の方を対象とします。 ・日時

          【お知らせ】第2回読書会のお知らせ

          【お知らせ】本が出ます。

          こんにちは、佐藤です。掲題にあるように、はじめての本が出ます。 題名は、『作田啓一の文学/社会学――捨て犬たちの生、儚い希望』です。以下が表紙の書影になります。 『花嫁のアメリカ』『記憶の光景・十人のヒロシマ』『生と死の時』などで知られる写真家の江成常夫さんからご提供いただいたカバー写真をもとに、安藤紫野さんに装幀を手がけていただきました。 晃洋書房さんのHPに、「まえがき」や「目次」があります。ご関心を持っていただいた方、ぜひご笑覧の上、手に取っていただけると幸いです

          【お知らせ】「読んで書く読書会」を主宰します

          大変、ごぶさたしております。佐藤です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。 さて、お久しぶりのところ恐縮ですが、昨年秋から温めていたある読書会の告知をしますね。 「読んで書く読書会」のお知らせこのたび、高円寺にあるコクテイル書房さんという居酒屋兼古書店にて、中学生、高校生、そして一般の方に向け「読んで書く読書会」と題した読書会を行うことにしました。 「読んで書く読書会」のねらい 文部科学省が出した新しい学習指導要綱には「生きる力、学びのその先へ」と掲げられ、具体的な

          【お知らせ】「読んで書く読書会」を主宰します

          文系ポスドクはどこへいくのか?

          ご無沙汰しております。レポートの採点や日常の仕事に追われ、ついつい更新が滞ってしまいました。高円寺改め、佐藤です。「別にこのブログを匿名でやっている意味もないのではないか?」と思い、本名でやることにしました。また、プロフィールに研究者プロフィールへのリンクも追加しました。先輩から連絡を頂くなど、実名でやることも大事だなと感じています。 今回は「文系ポスドクはどこへいくのか?」という題で、文系ポスドクの就職先について書こうと思います。「文系院生はなぜ生まれるのか?」が「文系院

          文系ポスドクはどこへいくのか?

          学部生に大学院進学を勧めない理由

          博士後期課程の頃から、学部生から大学院の博士前期課程(修士課程)への進学を相談されることが何度かありました。大学の図書館でレポートなどの学習相談に乗るバイトをしていたことが大きな理由です。私の所属は社会学研究科だったので、当然、社会学部の学部生が多かったです。 その際、私はほぼすべての相談に「大学院への進学はお勧めしないかなあ」と答えてきました。巷では、院生自身による大学院への進学を勧めるような記事が散見されます。しかし、私はそのような記事には、いわゆる「生存者バイアス」が

          学部生に大学院進学を勧めない理由