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【物語にも設計図がある!】全体像をつかんでストーリーに落とし込もう(2017年3月号特集)


 家を建てるときは設計図を作ります。童話を書くときも、まず設定を決め、それをストーリー化し、全体像が固まってから書き出します。
 書く前に、設定と構想をしっかり決めましょう。

物語の枠組みを考えよう!

 題材がかたまってきたら、物語の枠組みを決めます。
 設定はあとでどんどん変わっていくこともありますが、大きな要素は先に決めましょう。

登場人物

 主要人物のキャラクターを考えます(それぞれ違う性格に)。読者対象と同じぐらいの年代にし、人数は必要最低限に(3〜5人)。プロフィールを書き出すなどして性格を把握しておく。単に「元気」ではなく、「元気過ぎて開けたドアを壊す」のように行動も合わせて考える。

人称

 人称は、一人称か三人称かを選び、途中で変更するのはNG。子どもの主人公の知覚だけで語りきれる内容なら一人称が書きやすい。子どもが言ったら不自然な説明を書く必要があるなら三人称を選ぶ。三人称は誰の知覚も通さずに説明することができますが、説明のしすぎに注意。

舞台・時代

 「いつ、どこ」を決めます。現代なのか、昭和なのか、江戸時代なのか、物語の要請に従って決める。場所はどこと明示しない場合もありますが、内容によってははっきりさせたほうが情景が浮かんで印象が変わる。異世界を描くときは仕組みやこの世と行き来する方法も考える。

文体

 文体は、敬体(です・ます)か、常体(である・だ)のどちらかを選び、途中で変更するのはNG。ただし、統一するのは地の文だけで、セリフは言ったままでよい。地の文を敬体で〈マサオは言いました。〉と書いても、セリフの文章は常体でも敬体でもかまいません。

グレード・枚数

 グレードは、「小学校低学年向け」「小学校中学年向け」「小学校高学年向け」といった読者対象。
 発達途中の子どもは1年生と6年生では、思考方法も社会とのかかわり方も違います。
 また、低学年では理解しにくい話、読み切れない枚数もあります。多少はいいですが、対象を大きく外さないようにしましょう。

[小学校低学年向け]

 人生経験も知識も乏しいのであまり凝ったことはできない。大人のように説明や描写を味わったりはせず、話がどんどん進むのを好む。なじみのある題材で、構成もシンプルに。

[小学校中学年向け]

 自我が芽生え、自分というものを意識しだす。心の痛みや悲しみにも敏感になる。まだまだ感覚的に理解できる話を好みますが、多少は複雑なストーリーでもOK。枚数は50〜100枚程度(またはそれ以下)。

[小学校高学年向け]

物事を論理的、客観的に見るようになる。自分だけでなく社会にも目を向ける。人間の生き方、真理についても考える。ウィットやユーモアも理解できる。性以外はほぼ大人と同じ。枚数は300枚でも大丈夫。

子どもの発達と脳

 子どもの脳は7歳から11歳にかけて直観的思考から論理的思考に変わると言われています。
 小学校1年生に「綿1トンと鉄1トンではどっちが重い?」と聞くと、ほとんどの子は直観で「鉄」と答えるはずです。

 一方、高学年になると、「綿1トンと鉄1トンは見た目こそ違うが、1トンと1トンだから重さは同じ」と論理的に考えます。
 このことから、低学年向けの話は直観で理解できるものがよく、高学年向けになると論理的に考えなければいけない話でもOKとなります。あまり神経質になる必要はありませんが、軽く意識しましょう。

ストーリーができたら構成を練ろう!
特集「自己流はもう卒業!童話の作り方」
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※本記事は「公募ガイド2017年3月号」の記事を再掲載したものです。