【第一回 あたらよ文学賞応募作品】 誘蛾灯
第一回 あたらよ文学賞応募作品になります。
残念ながら2次選考落ちとなってしまいました。
また次回、力をつけて挑戦しようと思います。
誘蛾灯
ばちん、と短い音がした。誘蛾灯に誘われた虫が弾ける音。呆気ないくらいに一瞬で終わってしまった命ははらはらと隆弘の足元へと落ちた。ちょうど店の外の掃き掃除をしていた隆弘は、それをそのまま箒で掃くと腕時計に目を落とした。時刻は深夜の二時を過ぎた頃だった。
「国木くん、ちょっと」
そのだみ声に隆弘は振り返る。声の主は柿田だった。ふた回り