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眠れない夜と午前

1日に自分が何人もいることに気づいた。
それはいつの間にか入れ違っていて、気づいたらさっきまでの自分がいなくて、その時間帯の自分がいるのだ。
彼女は自分のことをやっと理解できた気がしていた。

いつもいつもどうして夜になるとこんなに取り止めのないことを延々と考えて、悲しみ傷つき泣いたりしてしまうのだろうか。昨日の何気ない会話で放った自分の一言がもしかしたら相手を傷つけてしまう一言だったんじゃないか。日常の些細な振る舞いが夜になると急に顔をもたげて彼女の目の前にやってくるのだった。
1日出かけて楽しんだ日の夜でさえそんな夜を迎えることが不思議でたまらなかった。
楽しんでいた自分はいなくなって、いつも変わらず夜になると夜の自分がそこに現れてしまうからだった。

どんなにうんうんと悩んでも、眠って朝起きるとまるで何事もなかったかのように午前中の自分になっているのだった。
昨日の夜の話はすっかり色褪せて、瑣末なことになっている。
思考に連続性はないのかもしれない。私は昨日の夜の私ではないのだから。
でも今日もあっという間に夜になり、また夜の私がやってくるだろう。

そんなことを考えながら、
窓を開けて朝日を全身に浴びて珈琲を飲んでいると、どうでもよくなる。
今日も私がいる。光の頼もしさと空の青さにただただ満足する。

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