変容する輪郭

じっとりと周囲に張り巡らした線の輪郭は私そのもので、それは特に意識することもなく、意識するものとしてではなくずっとそこに存在していたもの。薄く小さく出入り自由。私は無防備に私の心の内を晒しながら、晒すことでどうなるのかを学んでいった。そもそも人との関わり方を知らなかったから周囲にいる人の見様見真似、なにが自分に合うのかを見つけていく期間。

そんな期間から随分と時間が経つと。

そのもの自体は変わらないけれどその輪郭はすっかり私のものになった。

厚く大きく出入り不可。

無防備に人と接するとどういうことになるのか、どんな人と付き合えばいいのか。そもそも人に合わせる必要はあったのか。親しみを感じること、恋をすること、執着すること、されること。まるで自分のもののように扱われること、距離を見間違ったときの代償。

私の輪郭は私からは見えない。

でも他人の輪郭は見える。
ああ、この人には近づけない。
魅力的に思う人にほどそう思うのは、そのくっきりとした輪郭に気圧されるから。


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