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楽しいときも苦しいときも、一度しかない「その瞬間」を楽しもう(『荘子』譲王篇)

今回取り上げるのは『荘子』譲王篇からの言葉。

窮するも亦楽しみ、通ずるも亦楽しむ
(読み:キュウするもマタタノしみ、ツウずるもマタタノしむ)

『荘子』譲王篇

困窮しているときも楽しみ、順調なときも楽しむ、という意味。

人生が順調なときも逆境にあるときも、常に悠々としてその瞬間を楽しむべきだ、ということですね。

『荘子』の説話では、

  • 順調とか逆境というものは季節の移り変わりのようなもの。

  • 一つ一つに心を惑わされるのではなく、その時々を楽しみなさい。

とされています。

「今、ここ」に集中するという、マインドフルネスに通じる考え方ですね。


人生には好不調の波のようなものがあります。

私は以前、心を壊して休職し、そのまま退職したことがあります。

当時は何もやる気が起きず、希望も夢もなく、灰色の世界を生きていました。

毎日が「無」に支配されているような感覚で、当時はとても辛かったです。

ただ、今思い返してみると、当時療養していたときにも、ちょっとした幸せはあった気がするのです。

  • 調子が良い日の散歩中に見かけた桜。

  • マンションですれ違った人から言われた「おはようございます」

  • ドキドキしながら買い物に行った際、レジの方から言われた「ありがとうございます!」

思い返してみると、小さな幸せは色々とあったのです。

当時はその幸せに気付く余裕はなかったのですが、荘子の言うように「その瞬間を楽しむ」ようにしていれば、もう少し前向きな日々を送れた気がします。

窮するも亦楽しみ、通ずるも亦楽しむ
(読み:キュウするもマタタノしみ、ツウずるもマタタノしむ)

『荘子』譲王篇

人生が順調なときも逆境にあるときも、常に悠々としてその瞬間を楽しむ、ということ。

今もメンタルは弱いのですが、辛いときでも、日々の生活の中にある小さな幸せを見つけるように心がけています。

そのおかげか、以前よりも毎日を楽しめるようになりました。

日々楽しいことも辛いこともありますが、一度しかない「その瞬間」を楽しみながら、前向きに生きていきたいなと思います。


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