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山を歩きたくなった_FUJIFILMで撮る、夏の緑

7月の終わり、快晴の休日。ぽっかりと時間が空いて、何をしようかなあ、都内よりは、自然を感じる場所に行きたいなあと考えていた時に「そういえば、前から山に登りたいと思っていた」と思い出して、行くことに決めた。快適なのは秋だけど、この緑が生い茂る季節に歩きたいと思っていた。

決めたのは午前11時。登山の出発には少し遅いけど、秦野に標高200m程の小さな山が連なった2~3時間くらいの登山コースがあったので、そこに行くことに。急いでお昼用のおにぎりを握って身支度をして電車に乗った。

そんな日の記録。もしよければ、この曲を聴きながら読んでいただけたら嬉しいです。


いつもかぶっているウィッグを今日はつけず、この夏のために買った涼しい帽子をかぶって出掛ける。治療が終わってからほとんど初めてのことかもしれない。その身軽さに、快適さに驚く。

自然に決断出来たので、山に1人では誰の目線も気にならないんだなあと思った。海だとこうはいかなかったろうな。どちらも好きだけど、同じ自然でも文化や人の雰囲気は全然違う。

山に入る。快晴なので、木漏れ日がとても綺麗。持ってきたFUJIFILMのX100Fで写真を撮りながら、アップダウンの少ない山道を景色を楽しみながらと歩く。もう既にたのしくて、きてよかったなあと思う。

最高気温は31℃。この街の夏の平均気温は、都心に比べて3~5℃ほど低い。それでも十分に暑い日だったけれど、山道には木々がずっと生えていて、涼しい風も吹いていたので、山に入ってからは心地の良く歩くことが出来た。

たまに立ち止まって、風や音、匂いを感じる。山に登る上でとても好きな時間のひとつ。「何だかカブトムシの匂いがする。カブトムシの匂いって、ゼリーの匂いの印象が強かったけど、夏の土の匂いだったりするのかな。」などと考えながら歩く。

最初の山の頂上にベンチがあったので一休みをしながらお昼を食べる。いつもより塩っぱく作った鮭おにぎり。染み渡る美味しさ。分かりやすく元気が出た。

気分が良く、景色もとても綺麗なので写真を撮るのが楽しい。写真を楽しく続けるには、「撮りたくなるような心動くシーンにどれだけ出会うか」が大事なんだなあと思う。

気軽な山なので、履き慣れたスニーカーで登る。虫刺され予防のため、タイツを履いて足元はきっちり守る。そしてショーツに涼しいTシャツ。この服装をすると、フジロックや登山の記憶が蘇って少し気分が上がる。アクティブモードになれる服装。

電波塔と木々。登山しているとたまに見かけるこの景色、なんだか好きなんだよな。いつも一緒に山を登っている友達のことを思い出すからだろうか、今度は遠くの山にでも登りに行きたいなあなんてことを思う。

基本木々に覆われた道なので、空が見えると嬉しくなる


基本的には自然の音を楽しんでいたけど、少しの時間、片耳にイヤホンをして高木正勝さんのアルバム「おむすひ」を聴く。彼の音楽とともに、自然の景色がまた鮮やかさを増して身体に入ってくる。
この時は特に「Kaze Kogi 」が印象的だった。民族的なメロディと、今の気持ちを表現してみたら、このような言葉が自然に出てしまった、というような人々の声。聴いていたら少し涙が出てきた。

少し疲れてきたけど、まだまだ快調。どんどん進んで頂上に向かっていけることに、体力が戻ってきたことを実感する。今年が始まる頃までは、ずっとベットの上で過ごしていたのに、ここまで元気になったんだな。ジムに行ったり、意識的に動いたりしてきた過去が、今日の自分をつくっている。最近は悪い部分に目が向きがちだったけれど、その過去の自分を素直に褒めることが出来た。

それにしても、足を動かせば、ちゃんと頂上に近づく。なんと頼もしいことなんだろう。

頂上!晴れ渡っていて気持ちが良い。実はこの山は車で頂上近くまで登ってこれるので、年に数回はこの場所に来ている。それでも時間をかけて登ってきた分か、いつもよりも綺麗に見えた。

帰り道は急な階段なので、写真も撮らずに注意して歩いて帰る。怪我もせず、無事に下山することが出来ました。

帰りは近くの銭湯でゆっくりお風呂に入って、家に帰ってビールを飲む。色々書いてきたけれど、この時間のために山に登ってきたと言っても過言ではないかもしれない。心地よい疲れ、今日はよく眠れそう。


映画館に映画を観に行くことが好きな理由のひとつに、上映中は他のことが出来ないということがある。出来ることといえば、目の前の映画を楽しむことくらい。その不自由さが心地よい。

今、これからの時間の使い方をなんでも選べる。それはそれで楽しいのだけれど、選択肢が多すぎると、何かをしていても次はどこへいこうとか、何をしようかと考えているだけで疲れてしまう時がある。

山を歩いていて、登山にも映画と同じような要素があると思った。一度登り始めてしまったら、しばらくは山を登る以外に出来ることがない。それが自分を安心させ、今に集中出来る。
自然の音をあんなにゆっくり聴いたのも、葉っぱを、足元をよくみたのも、久しぶりだったなあと思う。たまにはこういう時間をつくれるといいな。


今度は涼しくなった頃に、もっと高い山を登ろう。


▼歩いたコース

▼おすすめのアルバム。高木正勝さんを教えてくれた大学の恩師に先日数年ぶりに再会した。その時に先生がこのアルバムの話をされていたことから、最近またよく聴いている。


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