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DOG

中華料理屋さんでの事です。

最近美味しい小籠包を食べて、その魅力に取り憑かれた、ことり隊長はこの日も
小籠包は皮が命ですな
固すぎてもあかん。柔らかすぎてもダメなんや。
ジュワッ溢れでる肉汁はビッグバンやで。

などとひとりごちながら、小籠包を頬張っておりました。

すると食事を終え、我々のテーブルの横を通り過ぎる母子の姿が。

そのままお会計に向かうお母さんから離れて、少年がこちらに戻ってきました。

少年はこちらを指差して言いました
「犬!」

犬!

少年の瞳は大発見を誇るようにキラキラと輝いています。

BOY。。。
見たもの、感じたことをストレートにシャウトするその感性。あたいは嫌いじゃないぜ。

だがな、BOY。

あたいは犬やない。犬みたいなヘアースタイルのお兄さんや。

あえて言うなら犬人間や。

でもYOUのその感性、大切にしてほしい。

YOUの目には犬人間が小籠包を頬張ってるように見えたんやな。

その感性を心の宝箱に大切にしまって、立派な大人になってほしい。

恥ずべきは、小籠包に夢中で、咄嗟に面白いリアクション取れなかったあたいの弱さ。。。
犬人間完敗や。。。


などと犬人間反省しつつ、再び小籠包を頬張っていると、

少年が、お母さんを連れて戻ってきました。
そして再び、こちらを指差して言いました。

「犬!」

また犬!

少年の瞳は再びキラキラと輝き、どこか誇らしげな表情です。


BOY。。。
わかるよ。
YOUのその気持ち。


お母さんにYOUの大発見を教えてあげたかったんだよな。
すごいねぇ。プードルみたいだねぇ。って褒めてもらいたかったんだよな。


男だもんな。若さだもんな。
心の炎が眩しいもんな。。。

惜しむべくは、油断して面白いリアクションを取れなかった、あたいの慢心や。
二度もチャンスを与えられたのに挽回出来なかったリアクション芸人としての、至らなさや。。。

お母さんは
「こ、こらっ!汗 ダメでしょっ!」
と言って、そそくさと少年を連れて行ってしまいました。

少年よ。
わかってほしい。
いつの日か君が少し大きくなった時に、今日のこの日を思い出すことがあったなら。

大人はうそつきではないのです。 

間違いをするだけなのです。

そしてまた君に会うことがあったなら、

あたいも胸を張って、

「犬人間だワン!」

ってリアクションが取れるよう頑張るよ。


少年よ。

旅立つのなら、晴れた日に胸を張って。

Hit the beat!  Keep your beat!

心が震える場所探して

Hit the beat!  Keep your beat!

誰にも出来ないこと見つけ出せ

それが君の響き


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