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小鳥書房のこと

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小鳥書房の本屋と出版社のことを、店主が綴っています。
運営しているクリエイター

#ひとり出版社

出版社の「インターン」からはじまる仲間との協創

出版社の「インターン」からはじまる仲間との協創

小鳥書房は、ひとり出版社であり、ひとり本屋。のはずだった。なのに気づけばひとりではなくなっていた。これは自然なことなのか奇跡だったのか、いまもわからずにいる。

客からスタッフへ。カウンターを越える本屋が開店して数日後、印象的なお客さんが店に来てくれた。笑顔が眩しく明るい女性で、「ここが開店するのを、商店街の買いものついでに毎日覗いて心待ちにしていたんです」と声をかけてくれた。うちのお客さんたちは

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3 「スナック萌」から小鳥書房へと引き継いだもの

3 「スナック萌」から小鳥書房へと引き継いだもの

前回まではこちら↓

これまで綴ったように、本と本屋と旅は私の人生に欠かせない。それらがつないでくれたいくつもの縁に気づかされたのは、「誰と生きたいのか」という問いだった。国立市谷保のダイヤ街商店街に本屋を構えたのは、私なりのその答えなのだろう。

「本を売る」という特別な仕事大学卒業後の2010年、私は童話作家を目指して地元の名古屋から上京した。最初に住んだアパートは、西武新宿線の花小金井駅から

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2 「本」で距離を越えていく

2 「本」で距離を越えていく

前回まではこちら↓ 

広島の「ばっちゃん」と少年たち2週間を過ごし、圧倒的存在感の独立書店さんに脳内をもみくちゃにされ、すっかり「ホーム感」の出てきた高松を発つ。愛媛県の松山、大洲、徳島県の神山町などを経由し、次なる目的地は広島県。非行にはしる少年たち400人以上に、40余年にわたってごはんをつくり続けてきた、広島のマザーテレサこと中本忠子さん(当時83歳)に会うためである。少年たちは中本さんを

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1 地域への恩返しで「まちの小さな本屋」を開くまで

1 地域への恩返しで「まちの小さな本屋」を開くまで

先月、1月26日。小鳥書房の本屋は2周年を迎えることができた。

「50年は続く店にしたい!」と口ぐせのように言っているので、実現させるにはあと48年…。途方もなく長い道程に感じるけれど、今日1日を積み重ねればかならず届くことを知っている。そして、48年後もこのまちにこの店が存在するであろうことを、笑うことなく信じてくれている人たちがいることも知っている。

これまで私(店主=落合加依子)は、小鳥

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