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上司レビューを経た資料は本当に良くなって行くのか?

本日は、私がJTC(Japanese Traditional Company = 伝統的な日本の大企業)に入って感じたことについてお話ししたいと思います。(前回に引き続き、2回目です)
※ JTCとは、Twitterなどでよく見かける、日本の伝統的な大企業を指すネットスラングですw

私の自己紹介についてはこちらの記事にまとめているのでここでは詳しくは書きませんが、大雑把な経歴は、日本に生まれイタリアで育ち(計17年イタリアで過ごし)、就職を機にまた日本に戻り、現在はアメリカで暮らしている、といったところです。


前回のまとめ

前回、ChatGPTに「日系メーカーに入って感じたカルチャーショック」とプロンプトに入れてみたら、いくつかカルチャーショックと感じ得るポイントが返ってきました。そのうちの1つが「厳格な階層構造とフォーマルなコミュニケーション」でした。

前回は、果たして私が経験した会社は、厳格でフォーマルなコミュニケーションを図っていたのか?という観点で投稿しました。結論から言うと、入社前に思い込んでいたよりかは厳格ではなかったと思います。

ただし、ある程度フランクなコミュニケーションができたのも、①失礼とフランクの違いを見極め、そして②仕事上の階層構造を守る、というこの2点をしっかり意識していたからだと思います。

確認を仰ぐことで上司に敬意を払う文化

仕事上の階層構造を守るとは、どう言うことか。それはつまり、「上司に確認を仰ぐことで、敬意を払う」行為です。

例えば、ある企画を実行するにあたり、GOサインを出すのはA部長だとします。ペーペー社員はそのA部長にいきなりプレゼンのアポを取ることが通常できません。その前にB課長の承認、その前にはC主任の確認、そのさらに前には・・・(以下省略)のようなことが多かったです。(毎回ではないですが)

確かに、大きなプロジェクト・大きな予算がかけられているものなどは、一発承認と言うわけにもいかないのはわかります。ただ、その複数人の確認・承認を経るごとに、「プレゼン資料がさまざまな人の意見によって結果ぐっちゃぐちゃになる」ということに大きな違和感を感じていました。

だって、当たり前です。人の数ほど考え方や解釈は異なるわけで、確認する人が違うと良いと思うポイントも、違うと思うポイントも異なるわけです。

例えば、主任に見てもらって、修正して、その後は課長に持って行きます。また、課長の指示で別の箇所を修正します。最終的に部長に持って行ったときに、主任と課長に指摘され修正したところが指摘されたりします。

なぜこういうことが起きるのか?私は、以下のような原因があるのではないかと思います。

  • 企画の意図・目的が明確でないため、各人の解釈の幅が大きい。
    「〇〇に関する企画を考えて〜」と部長が課長に、課長が主任に、主任がペーペーに伝える。企画の依頼主である部長の意図がすり合わせできないまま、下層に伝える。その伝える過程で各々の解釈が入っている。

  • 目線が合っていない。
    主任は主任、課長は課長、部長は部長で違うところを見ているので、同じ資料でも見るポイントが違う。

いくら個々としては良い指摘でも、複数合わさった時には矛盾しあうこともあるのです。(食べ物でも、うまいもの全部乗っけたらうまいだろ!と思って「全部乗せ」を作っても、完成したものは案外まずかったりw)

全ての確認フェーズで全ての修正を真面目に入れていたら、プレゼンの整合性・論理が通らなくなります。その結果、最終承認をするラスボスにプレゼンしたときには、また大量の指摘が入って、このサイクルを永遠に続けることになるのです。

思いかえせば、1年目は上記のようなサイクルを繰り返すことで辟易としていました。また、面倒になって主任や課長の承認をすっ飛ばして部長に持っていくと、部長は怒りませんでしたが、その間の主任と課長に怒られたこともありますw

私が学んだこと

ここで私が学んだことは、以下のポイントです。

  • JTCの文化上、然るべき確認ポイントをすっ飛ばしてはいけない(当たり前)

    • ただし、企画スタート後、直接企画の依頼主(例:部長)に細かい意図のヒアリングなどは行う。そうでないと、求めているものと違うものが仕上がってしまう。

  • 各人の意見は、上司や先輩からのものであっても、全て反映しないといけないわけではない。

    • 自分自身が企画の担当者として責任を持ち、頂戴した意見を精査する。

      • 頂戴した意見の意図を確認する。脳死で反映はしない。

    • 不要だと感じた意見は反映しない。

      • ただし、その場合は、丁重にその反映しない理由を相手にフィードバックする(ここで案外、人は怒らない)

書いてみると当たり前に見えますが、これ、案外社会人20年やってても出来ていない人は多いと思います。

一番重要な気づきとしては、丁寧にフィードバックすれば、人って案外自分の意見が採用されなくても怒らないんだ、ということ。先輩が言ってるから、上司が言ってるから、なんとなくいただいた意見は採用しないと失礼な気がすると思うんです。

でも実際、自分が先輩や上司の立場になった時を想像してみてください。後輩がしっかり考えた上で、「〜の理由から、XXはYYにすることにしました。貴重なご意見ありがとうございました!」と言われたら、怒りますか?怒る人もいるかもしれないけどw でも、大半はそこまで腹は立たないのでは?

結局、仕事する上で何が大切なのか?

結局、自分が担当者として任された企画に、責任を持つことによって良い仕事ができると思うのです。「〇〇さんが言っていたからXXにしました」ではなくて、「〇〇さんはXXと言ってたな。確かに、AAAの理由からそうかもな。じゃあ採用しよう!」と思考することで、結果的により(自分なりの)論理の通った案が出来上がると思います。

もちろん、こういう思考を経ても出来上がったものが、必ずしも部長がOKというかどうかはわかりません。確認・修正・思考のサイクルを繰り返していくことは、どの仕事においても必要だと思います。ただ、人の意見に依存しないやり方の方が、このサイクルを実行するにあたって、迷宮入りループに入りづらいのではないかなと思います。

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