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私の本棚② 「世界史は化学でできている」
「絶対に面白い化学入門」っていうサブタイトルなんだけど、「絶対に面白い」とか「誰にでもわかる」とかはダメ本伝説あった気がして、買う時一瞬躊躇。でも読んでみると予想外に面白かったのだ。さてはこのサブタイトル、裏をかく戦略だったのか?
科学好きの文系を称する身だけれど、化学は苦手だった。高校では生物を取ったので化学は「捨て駒」だった。今は決して嫌いじゃないけれど、苦手意識は健在だ。でも、例のごとく本屋で物色中に出会ったこの本は、装丁が可愛らしい感じで惹かれた。それに「世界史は化学でできている」と断言されたら買うしかない。
読み始めてすぐ楽しくなった。まずは目次だ。「世界で最も恐ろしい化学物質」とか「カレーライスから見る食物の歴史」とか。中には「もののけ姫とタタラ製鉄」とか「江戸幕府のキセル狩り」なんていうものもある。これは結構ハードルが下がる。
読み進めると、本当に世界の歴史に深く化学物質が関わってきたことに驚かされた。身近なたくさんの「普通の」物質たちを、新鮮な気持ちで考えた。例えばガラス。その長い歴史はメソポタミア文明辺りから今に至る。最初は皿や入れ物などから窓ガラスになり、実験用具になり、ガラス工芸が生まれシャンデリアなど繊細なものが可能になった。そしてレンズが生まれ、今は光ファイバーで私たちの生活を支えている。
人間が発見し、また作り出した化学物質は数限りない。それが私たちのこの便利で清潔で安全な生活を支えている。しかし様々な問題も同時に生み出してきたことも事実だ。だからこそその歴史を正しく知ることはとても意義深いと感じた。
「世界史は化学でできている」
左巻健男著
ダイヤモンド社
2021年2月
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