見出し画像

和歌・命短し花美しく

「花さそふ嵐の庭の雪ならで 
 ふりゆくものは我が身なりけり」
『新勅撰集』藤原公経(きんつね)
(桜の花を舞い散らせようと嵐がふく庭。
まるで春の雪が降るようだが、ふるのは春の雪ではなく、我が身であったなぁ。)
※「ふりゆく」は、掛詞。
春の雨が「降りゆく」と、
歳を「古(ふ)りゆく」をかけた。

今年も春が来て、
わたしはまたひとつ歳をとった。

桜の花は春の嵐にさそわれて、
ひらひらはらはらと舞い散ってゆく。
桜の花ももう、終わりが近いのだ。

まるで春の雪が降るようだ。
桜の命はなんて儚いのだろう。

しかし
ふるのは桜の花ではなく、
わたしの歳だった。

桜の花の命を儚いと眺めている
わたしのほうこそ、
実に歳を重ねたものだ。

いつの間にかに、こんな歳になっていた。

以前私が桜を眺めていたときに、
とあるマダムが言っていた言葉が
なぜだか印象的で忘れられない。  

「あなたみたいに若い人は満開の桜を綺麗だと思うのかもしれないけれど、
わたしみたいに歳になると満開を過ぎて散ってゆく桜に惹かれるのよ」

私も歳を重ねたら、
この歌の意味が沁み入るようになるのかな。
その時まで忘れないでいたい一首。

あなたはこの歌をどう感じますか?
もしよろしければ、聞かせてくださいな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?