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和歌・秋の夜の逢い引き

「我が背子が挿頭(かざし)の萩(はぎ)に  
 置く露を清(さや)かに見よと
 月は照るらし」
 万葉集巻10・2225 よみ人知らず
(わたしの愛しい人が髪飾りにしている萩に置く露をはっきり見よと、月の光が照らしているらしい)

月が綺麗な秋の夜。

あなたがこっそりわたしに逢いに来た。

「ほら、綺麗だろう」

あなたが髪に差した萩を見せてくる。

萩の上には露が
月の光に冴えて
宝石のように輝いている。

まるでもっと見てと言わんばかりに。

あぁなんて美しい…

萩も、萩に置く露も、
そしてあなたの男ぶりも。

思わずあなたの首に手を回して
抱きついた。 

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