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和歌・みどりの雨にため息

「卯の花を腐(くだ)す長雨(ながめ)の始水(みづはな)に寄る木屑(こつみ)なす寄らむ児もがも」 

万葉集巻19・4212 大伴家持


今年も初夏になり、
真っ白な卯の花が咲いた

その卯の花をしおらせ
腐らせるように降り続ける
この時期の長雨

可憐な卯の花は
終わりになってしまうかもしれないけれど、
これから成長する若い命は
この雨水をたっぷりと飲んで
生き生きと輝くことだろう

その長雨の水が流れ流れて
木のくずが寄り付くように
わたしのもとに寄り添ってくれる
愛しい恋人が欲しい

すべての命を潤す
美しいみどりの雨を眺めながら
そっとため息をつく

わたしも命がキラキラ輝くような
青くまっすぐな恋がしたい

*

明日からしばらく雨の予報です☔
みどりの雨を眺めながら、
こんなふうに想っていた人もいたのですね。
とてもピュアな歌です。

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