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#14 生まれて初めての「内観」。自分で自分を癒したからこそ見えた魂の望む夢

この連載は、長年生きづらさを抱えていた私(KOTOBUKI)が、セラピストのKANNA(かんな)さんとの出会いをきっかけに、初めて自己の内面と深く向き合い、本来の魂の道を生き始めるまでの完全実話の手記――。

毎朝、起きるたびにうんざりしてした私……。サイキック能力のあるKANNAさんによると、この“うんざりな気持ち”は、過去から抱えているもので、体の中にエネルギーとして残っているそう。そこで、生まれて初めて自分の内側にある「負の感情」と向き合い始めたのが前回のお話↓↓

KANNAさんによれば、この“うんざりな気持ち”は、私のみぞおちのあたりにあって、「黒い小石が散らばっているように視えます」とのこと。私は、意を決して、その「黒い小石たち」と向き合ってみることにした――。



思考が邪魔して心の声が聞こえない


「黒い小石ちゃんたちは、なんて言っていますか? 自分の内側に聞いてみてください」

KANNAさんから、そう促され、どうしたものかと困惑してしまった。

ん? 黒い小石ちゃんですって?   小石がしゃべり出したら、もうファンタジーじゃないかとか、頭の中がごちゃごちゃと騒ぎ出して、ぜんぜん集中できないのだ。

KANNAさんは、優しい笑みを浮かべながら、私が内側の声に耳を傾けるのを見守っている。

一方の私は、「ああ、帰ったら原稿書かなきゃなぁ」とか、「明日締切だよ」とか、思考の横やりばかり入ってきて、まだ内側に目を向けられないでいる。

私はどれだけ思考の声に振り回されているのか?  心の声から遠ざかっているのか?  このとき、まざまざと実感した。

私って敏感体質で、勝手に「HSP(Highly Sensitive Person)」だと思っていたけれど、それは外側の世界に敏感なだけで、自分の内側には一切敏感じゃなかったんだとわかった。自分のこととなると無感覚になってしまう。

KANNAさんは、そんな心の声が聞こえない私に対して、何のジャッジもしていないように見えた。

誘導することも、焦らせることもない。何も言わずに、何分も、何分も待ってくれている。いや、待たれているというプレッシャーもなく、ただそこに居て、ふんわりと見守られている感覚。

どこまでも、どこまでも私の心に寄り添ってくれるんだと気づいたとき、私の中で「何か言わなきゃ」という焦りがなくなった。

これは、ほかでもなく「私のための時間」なんだ。自分のために、自由に使っていいんだ。そう思ったら、心の波立ちがスーッと静かになった。

私の中にある、うんざりな、黒い小石たちの気持ち。
目を閉じて、じっくりと耳を澄ませると、小さな声が聞こえてきた。

「私は何をやってもダメだ」
「やっても、やってもうまくいかない」
「どうせ私は何をやっても変われないんだ」

「そんな風に言っている気がします」とKANNAさんに伝えると、「うんうん、いいですね」と、あたたかく包み込んでくれた。

「あ、言っていいんだ」と思えたら、言葉が次々と湧いて出てきた。

「私は何をやったって失敗する」
「もう、立ち上がれない。無理だ」
「生きるのに疲れた」
「もう、嫌だ。いいかげんにしてくれ……」

そうした言葉たちを口に出しながら、いつの間にか、涙を流していたようだ。

KANNAさんが、ティッシュの箱をサッと出してくれて、私は泣いてたんだと気づいた。

ティッシュを一枚とって涙をぬぐうと、過去の自分が脳裏によみがえった。そんなに遠くない過去の自分だ。


うんざりな、「黒い小石たち」の正体


30代半ば……母の遠距離介護をしていたころ。そのころ、病気を抱えていた姉の具合もどんどん悪化していって、私は母の介護に加え、姉の心身のケアや、姉の娘たちのサポートまで引き受けるようになった。

父はすでに亡くなっていて、もうこの世に居ない。自分が頑張らなきゃ、この家はつぶれてしまう。この家を自分がなんとかしなくちゃいけない。私は、何を思ったか、家族みんなの人生を背負おうとしてしまった。

そんなのできるわけがないのに、家のことをやらずには居られない。とうとう無理がたたって、私の心身までおかしくなった。朝は起きられなくなり、体は一日中重だるい。首や肩はバキバキで、激痛が襲ってくる。頭がふわふわと浮いているような「めまい」がして、真っ直ぐ歩くこともできなくなった。

ライティングの仕事も頼まれるたびに、つらいな、やめたいなと思っていたけれど、新たな道を探す気力も体力もなかった。

私の人生ってなんなんだろう……私が生まれてきた意味ってなんなんだろう……。そう思って、救いを求めたのが、心理学やスピリチュアルだった。

病院や有名な整体院をあちこちはしごしながら、いろんな心理カウンセリングやスピリチュアルセッションにも通ったけれど、その場しのぎで根本解決には至らない。

一瞬、気分が上がって希望が見えても、現実に戻ると不安が襲ってくる。朝起きると、うんざりするようになったのは、ちょうどそのころだ。

何をやってもダメだ。やってもやってもダメだという感情は、30代半ばから今の49歳に至るまでに積み重ねたものだとわかった。

みぞおちのあたりに散らばっている、「黒い小石たち」は、うんざりな感情が一つ一つ生まれるたびに形づくられ、それがあちこちに点在していったものなのだろう。

過去の苦しかった自分、良くなろうと頑張っても、変われなかった自分。そのときの自分の顔がいくつもいくつも思い出されて、涙があふれる。それこそが、黒い小石たちだ。

「つらかったですね。ずっと、ずっと我慢してきたんですね」

そう声をかけてくれたKANNAさんの、泣きそうな顔を見たら、また涙があふれた。

「KOTOさん、その黒い小石ちゃんたちになんて言ってあげたいですか?」

「そうですね……。『つらかったね。苦しかったね。よく頑張って生きてきたね』って伝えたいです」

「うんうん、いいですね。そしたら、黒い小石ちゃんたちにそう伝えてあげてください」

これを伝えることでどうなるのか、わからないけれど、私は過去の苦しかった自分を、つくり上げてしまった黒い小石たちを、胸の中で抱きしめてあげながら、言葉を伝えた。

「つらかったね。本当に苦しかったよね」
「よく耐えてきたね……」
「ここまでよく頑張って生きてこられたよ」

ひとこと、ひとこと、内側に居る、泣いている小石たちに伝えていった。

「なんだか伝えられた気がします」と言うと、「わぁ、すごい、すごい!」と、KANNAさんは手を叩いて喜んだ。私はお母さんから褒められた小さな子どもみたいに、ちょっとにんまりしてしまった。

自分で自分を癒せたことの自信が湧いた


「KOTOさん、今、どんな感じがしますか?」

「なんか、うんざりな、重たい気持ちが少し減った気がします」

「確かに黒い小石の色が薄くなっていますね! まだ消えずに残っているのは、『自分の状況を変えられなかったことへの、自分自身を責める気持ち、否定する気持ち』があるからみたいですね」

そ、そうなんだ。責める気持ちが自分の中にあったなんて、まったく気づかなかった。変えられなくて苦しくてもがいているのに、さらに変えられない自分を責めているなんて、どんだけいじわるなんだ。傷口に塩を塗る行為ではないかと思った。

「KOTOさんは何とか状況を変えようとして、そのときにできる精一杯のことをしてきましたからね。『そのときの自分には、それが精一杯だった。よくやってきたね』って、残りの黒い小石ちゃんたちに言ってあげてください」

KANNAさんはそう伝えてくれた。

そうか、あのときの私は、そうするしかなかったんだよな。
家族が壊れていくのが見ていられなくて、ついつい家族のために頑張ってしまったんだよな。

いろんな心理カウンセリングやスピリチュアルセッションに通ったけど、根本的には何も変われなかった。だけど、そのときの自分にはそれが「救い」だった。それがあったから、自分は死なずに生きてこられたんだ。

そう思ったら、過去のあちこち奔走していた自分を、ちょっとずつ、ちょっとずつ許していい気持ちになった。

「私、今過去を振り返りながら、『そのときはそうするしかなかったんだね。精一杯のことをしたよね』って伝えられました。なんだか気持ちがふっと楽になった気がします」

「わぁ、自分で自分を許すことができたんですね。黒い小石がだいぶ消えていますよ。完全に消えるには、もう少し内観を進めて、自分自身を癒していく必要がありますけど、ここまでできたことがすごいです!」

と、KANNAさんは目を輝かせて喜んだ。その姿に、私の心の中もさらに明るくなった。

正直、自分を見つめる作業は骨が折れるけれど、自分で自分の内側を見られるんだ、癒すことができるんだと、“できたこと”への自信が湧いた。そして、どんよりと立ち込めていた雲が晴れて、初めて未来への希望(本来の魂が望む夢)が見えた気がした。

「少し前に、KANNAさんに、『KOTOさんは、講演会とか、大勢の人の前で話すことが向いている』と言われて、すごーくうれしかったんですけど、『今の自分には無理だ。そんな明るい未来はまったく描けない』って思ってたんですよね。でも、今は、ちょっとそういう未来もあるような気がしてきました(笑)」

「ホントですか! 黒い小石がだいぶ消えたからこそ、見えた夢ですね! KOTOさんは自分と向き合う作業をしたのが今日が初めてなので、もしかしたら、このあと別の感情が新たに浮上して、気持ちが不安定になることがあるかもしれません。

もし、おうちに帰って不安とか、恐怖とか、戸惑うようなことがあったりしたら、メールしていただいていいですよ! 次回のセッションまでの間に、臨時でセッションを入れることもできますからね」

と、やけに慎重に見えるKANNAさん。当の私は、「いやいや、大丈夫ですよ(笑)」と、すでに気分はルンルンと舞い上がっていた。

そんな自分の身に思わぬ異変が起きたのは、帰宅して1時間後のことだった――。


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