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介護劇場

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高齢者が主人公。振り回されるぼく。介護・介護現場ので起こる出来事をおかしく描写して感じたことを綴っています。
運営しているクリエイター

#仕事について話そう

嗅覚

嗅ぎ分けることには自信がある。 席を立ち上がった瞬間、立ちのぼる匂いですぐにわかる。 尿…

キャラが渋滞しています

志村けんさんの演じる「ひとみばあさん」。 「嘘つけよ。そんなばあさんいねーよ。」と思って…

ミニコント

一緒に散歩に出かけると、ぼくの前をスタスタスタスタ歩いて、どんどん距離を離そうとする。 …

ケアーズ・ハイ介護職員

介護職員はいつでも、フロア全体が見渡せるような立ち位置で見守りをしなければいけない。 死…

したことのない顔

「家では大変なことになってしまって。ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いします」 ご家族…

ここはアメリカ

デイサービスのトイレから出てきたその人は、 片手に両方の靴を持っている。 トイレの扉をで…

思春期の中学生がスクーターを乗り回すような暴走

靴の踵は踏んだまま。 紺で横に3本ラインの入ったジャージを履き、グレーの襟付きのトレーナー。胸ポケットには「赤LARKのロング」が入っている。黒のダウンジャケットを羽織り、黒褐色の顔には10センチはある顎髭を蓄えている。 鋭い眼光で切れ目。頭は禿げ上がっているが、貫禄を感じさせる顔面から薄毛の存在感はない。背中は盛り上がっていて恰幅もいい。 左手に持った杖を「ドンドンッ!」と叩き、地響きを鳴らしながら通路の中央を歩いていく。すれ違う利用者さんに睨みをきかしながら。 「どけ

ファンをつくる方法

ぼくと同じ歳くらいの息子と一緒に暮らしているらしい。 その人は、デイサービスに来た時に饒…

しろーく光が差しているだけ

その人は、玄関の方へ向かう。 壁にかけてある麦わら帽子を手に取り頭の上に乗せる。カバンの…

連続公演 「トイレのボタン」

「お手洗い終わったら、そこのオレンジのボタンを押して教えてくださいね」と言って、僕は個室…

高齢者組み手バトル

右手が飛んでくる。 ヒラリとかわし、左手をとりにいく。 相手は頭突きのモーションに入った。…

Mさんに見えている世界

「ぐうぅぅぅぅぅぅぅぅぅっと」 「36(さんじゅうろく)なんだよ」 「そうだよねぇ」 「ポン…