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声の魔法!🪄vol.7 声がうわずる・震えるときの対処法

呼吸を制する者は声を制す、再び

前回投稿はこちら。

声がうわずる・震える原因

かすれ声と同じく舞い込みやすいお悩みが「声がうわずる」「声が震える」というもの。そうした症状を引き起こす原因について、ほとんどの方が思い当たる節があるようです。

それが「緊張」。

普段は平気なのに、人前や会議の場など、緊張する場面になると声がうわずったり震えたりするという方は、少なくありません。

この症状の原因は、確かに「緊張しているから」と説明できるでしょう。では、なぜ緊張すると声がうわずったり震えたりするのか、それは解剖学や生理学の観点から説明できます。

声がうわずる・震えるときに声帯で起きていること

声がうわずったり震えたりする原因は「緊張」だと言いました。では緊張しているときにいったい何が起きているのか。

ここで声帯のおさらいをしてみましょう。声帯は普段は開きっぱなしですが、発声時には閉じぎみになります。

発声時は声帯がぎみになり、粘膜部分が震えて音が出る

完全に閉じるわけではなく、粘膜に覆われた白い部分がぴたっとくっつくイメージです。この粘膜部分は肺から上がってきた息の力で震えます。この声帯粘膜が震える際に、声の源となる喉頭原音と呼ばれる音が生まれます。

前回のかすれ声の章で、声帯に何か異常があると声帯がぴったりと閉じきらず、そこから空気が漏れてかすれ声になると言いました。声帯が左右対称に綺麗に動かないと、綺麗な喉頭原音が生まれないのです。

声がうわずったり震えたりすることを、専門用語では「声の翻転(ほんてん)」と言います。この翻転が起きているとき、声帯の動きは不均衡になっています。

普段はうわずることも震えることもないというなら、声帯に何か異常があるわけではありません。つまり声がうわずったり震えたりするのは、緊張したときだけ声帯の動きが誤作動を起こしていると考えることができます。誤作動を起こす原因が緊張なのです。


声がうわずる・震えるときに、身体で起きていること

緊張するときに起きやすい身体症状について考えてみます。まずは心臓がどきどきして脈拍があがります。発汗して熱っぽくなることもあるでしょう。呼吸も乱れがちになり早くなります。このとき、人間の身体では自律神経のうち交感神経が全力で働いています。自律神経については、声の魔法!閑話休題・ピラティスとヨガの呼吸の関係で述べていますのでご確認ください。

自律神経はアクティブに動いているときに働く神経です。そのときの呼吸は胸式呼吸。早く浅い呼吸が繰り返されます。全力で運動しているとき、人間の呼吸は乱れがちになり、声がかすれたり途切れたりして綺麗に話すことが難しいですよね。それと同じことが緊張時の声帯には起きていることになります。つまり、声のうわずりや震えの原因は、呼吸の乱れからきていると言い換えることができます。

声がうわずる・震えるのを改善するために

結局のところ呼吸を整えることが解決につながります。すべての道は呼吸に通ず、ではなく、すべての道は呼吸から始まるというのが正しいところ。スポーツ選手の中にも呼吸法を大事にしている方がたくさんいらっしゃいます。ただでさえ交感神経優位の中でパフォーマンスを発揮しなければならない彼らは、呼吸を整えることの大切さを理解しているのでしょう。

声がうわずったり震えたりするときの呼吸は、胸式呼吸よりも腹式呼吸、ピラティスよりもヨガのイメージです。

声の翻転の際の感覚の話

緊張する場面ではまず深呼吸です。話す内容が決まっているなら、何度も練習しておくと練習効果が期待できます。慣れの精神ですね。声は少し低めにした方がうわずるのをごまかしてくれます。ゆっくり話すことを心がけましょう。

声の翻転の際の理論の話

交感神経よりも副交感神経が優位になった方が、緊張度は圧倒的にさがります。深呼吸は胸式でなく腹式で。1回だけでなく数回繰り返し、話している最中でも腹式呼吸を意識します。なお、急いで呼吸するのでなく、吸うときは一気に、吐くときだけ少しずつゆっくり吐くのが基本です。息の量が増えるため、話すときに息が足りなくなって早口になってしまうのを防いでくれます。

いつもいつも呼吸の話になってしまい恐縮ですが、呼吸と発声は切り離せないもの。よりよい声のために、呼吸を極めていきましょう。


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