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【移住促進】コミュニティ「内子ヘイジュー!」はこうして生まれた!

 内子町には、全国に先駆けて内子ヘイジュー!という自治体公認のオンラインコミュニティがあります。オンラインコミュニティというと、著名人による有料の会員制コミュニティが思い浮かびますが、こちらは地域の人たちが内子情報を発信をしたり、町外・県外の人たちが内子町の人たちとチャットで交流できる、無料のオンラインコミュニティです。

 まだまだ全国的にも珍しい自治体公認のオンラインコミュニティですが、内子ヘイジュー!にはどんどん人が集まり、町内外の交流が生まれ、コミュニティを通じた移住者も増えています。
 
 メディアにも取り上げられ、今後ますます注目されるであろう内子ヘイジュー!の盛り上がりの影には、こんな人たちの、こんな思いと、こんなプロセスがありました。
 このnoteでは内子ヘイジュー!の誕生秘話と、内子町のこれからについて、ご紹介したいと想います。

内子ヘイジュー!生みの親は地域在住のデザイナー

 内子ヘイジュー!を運営しているのが、愛媛県喜多郡内子町に住むメルカドデザインの市毛友一郎さん(いちげ氏)。東京出身の市毛さんは、著名なアーティストのスタジオで非常に多忙な生活をしていましたが、自身の生き方を見直すにあたり仕事を辞め、奥様との約1年間の世界一周の旅を経て、愛媛県に移住しました。

 移住後は、フリーランスとして「メルカドデザイン」を立ち上げ、愛媛県の自治体や地元企業のパンフレットや各種デザインを制作しています。

写真提供 Mercado Design 
写真提供 Mercado Design 

 さらに、「いちげ♨温泉」という、初心者クリエイター向けオンラインコミュニティも運営(2022年9月で4周年)。「イラストやデザインを仕事としたい」という人のスタートアップのサポートや、クリエーターの育成なども行っています。

 「いちげ♨温泉」では、市毛さんがイラストやデザインの技術を教えたり、ビジネスにつながる専門的なアドバイスをするだけでなく、自分の好きなことを仕事にしている人たちがお互いに励まし合い、成長し合えるようなコンテンツがいくつも用意されていて、学びの場としてだけでなく、クリエーター同士のコミュニケーションの場としても賑わっています。

 この「いちげ♨温泉」の立ち上げから間もない2019年12月には、全国各地に住むコミュニティメンバーが内子町に集まって、展覧会を開催しました。展覧会にはクリエーターだけでなく、その家族も同行し、主催者側だけでも全国から約50人程の人が内子町を訪れました。

 「いちげ♨温泉」というオンラインでのつながりが、展覧会や観光にまで発展し、内子町の関係人口形成に一役買うことになり、市毛さんは「移住ツール」としてのオンラインコミュニティに強いポテンシャルを感じ始めました。

 そこで、いろいろな人に内子ヘイジュー!の構想を話し、企画書を作成して行政に提案。職員の協力のもと議会での承認を得て、内子町公認オンラインコミュニティ内子ヘイジュー!が立ち上がりました。

コミュニティ内で、オンライン散歩

 「作って終わり」ではないところが市毛さんのすごいところで、コンテンツの充実とコミュニティの活性化に、より一層の力を注ぎます。

 まずは、内子町への移住者でもある、どい書店岡山紘明さん、内子晴れの山内大輔さん、みそぎの里の水谷円香さんに、内子ヘイジュー!の移住相談員として協力を仰ぎました。内子ヘイジュー!ではこの方々に直接移住相談や質問ができます。

 ほかにも、コミュニティー内には50以上もの部屋があり、興味のある情報にアクセスしやすいのも特徴です。

 各部屋では、内子町の人たちから投稿される内子情報が日々溜まっていくので、もはや内子町のデータベースと化しています。

 さらに「自由で、気軽で、楽しくて、アットホーム」な雰囲気までデザインするかのように、市毛さんが誰よりもマメに楽しい情報を発信し、その情報に関連づけてメンションでお知らせしてくれるので、コミュニティ内をのぞきに行く機会も増え、どんどん”内子通”になっていきます。

 オンラインコミュニティがよくわからない、という人も多いかもしれませんが、入ってみるとそこは「オンラインを通したゆる~いご近所付き合い」といった感じです。好きな時に、気になるお部屋に行き「え~内子では今こんなことをやってるんだぁ」と情報をキャッチしながら、チャットで交流しつつ、またリアルな世界に戻ってくる、いわば「オンライン散歩」。

内子町アートフィールド構想

 そんなオンラインコミュニティ内子ヘイジュー!を立ち上げた市毛さんには、次なる内子構想がありました。それは内子町「五十崎アートフィールド構想」です。

 内子町は平安時代から作られていたとされる「大洲和紙」の生産地で、現在も五十崎地区には2軒の手漉き和紙工場があります。

 そのひとつ天神産紙工場で漉かれた和紙に、ギルディング(金属箔を使い紙や木材などの上にデザインを施す手法)を施して美しい製品を作られている五十崎社中の代表齋藤宏之さん。
 その齋藤さんと市毛さんは「手漉き和紙などの制作現場は、アーティストやコレクターにとって魅力的な場所となり得る」ことに着目し、アーティストが空き倉庫や空き家を利用してアトリエを構え、生産現場と行き来しながら作品作りができる環境を整えることで、内子町にクリエイティブな移住者を増やし、ミニマムなアートマーケットを形成しようとしています。

今も残る、内子町の美しい町並み

 内子町の八日市・護国地区には、伝統的な造りの町家や豪商の屋敷などの古い町並みが残っています。これらは自然に残ったものではなく、住民の意思によって残されました。

 高度経済成長の中で全国的に近代化が進み、歴史的な建物が急速に失われていく時代において、内子町もその波に呑まれようとしていました。しかし、当時公務員だった岡田文淑さんが、この地域の歴史的価値を地域住民に根気強く説得してまわり、昭和57年に八日市・護国地区が、四国で初めて重要伝統的建造物群保存地区に選定されることになりました。
 今ではこの町並みが県内屈指の観光地となっています。

 古いものを残し、新たな価値を見出す。40年前に岡田さんたちによって残された「町並み」は新しい価値を伴って、今でもたくさんの人を呼び寄せています。そして、このスピリットを継承するかのように市毛さんたちは内子町「五十崎アートフィールド構想」で「手漉き和紙」という伝統産業に新たな価値を見出そうとしています。 

 内子町には市毛さんのように、とにかく魅力的な人がたくさんいます。リアルではなかなか出会えないそんな人たちとオンラインで出会えるのも内子ヘイジュー!の魅力のひとつです。
 というか、むしろ「内子町」というツールを利用して、このような人たちと交流できることこそが、内子ヘイジュー!の最大の魅力かもしれません。

 交流をきかっけに、旅で内子を訪れてもいいし、思い切って移住してもいい。その入口となるのが内子ヘイジュー!

 内子町に興味のある人なら誰でも参加できる、オンラインコミュニティ内子ヘイジュー!へようこそ。


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