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Kei
2021年10月25日 23:50
敷島や高円山の雲間より光さしそふ弓張の月(秋歌上・383・堀河院) 光芒。 薄明光線。 天使の梯子。 この現象に多くの呼び方があることは、それだけ人々に愛されてきたことを物語ります。雲間から地上にするりと繋がる光。 加えてそれが夜だったらどうでしょう。闇に沈む地上に差し下ろす清らかな月光。まるで夜空から地上を照らし出すサーチライトのよう。光を操り地上をのぞく誰かがいるのかな。
2021年10月24日 21:59
いつまでか涙曇らで月は見し秋待ちえても秋ぞ恋しき (秋歌上・379・慈円) 月はまぼろしをまといます。遠くの友人、親兄弟、そして恋人。 しばしば自らの憂愁も投影されます。 だから『新古今和歌集』にもこんなやりとりが載せられました。 月を見てつかはしける 見る人の袖をぞしぼる秋の夜は月にいかなるかげかそふらん (409 藤原範永朝臣) 返し身にそへ
2021年10月13日 08:09
花すすきまた露深しほに出でてながめじと思ふ秋のさかりを (秋歌上・349・式子内親王) すすきがしとどに濡れています。それでもすすきは茎が強いから、倒れ伏すこと無くゆらり、ゆらり。秋の盛りを迎えた野原にはそんなすすきがたくさん。 式子はすすきを見つめたくなかったんです。いえ、見つめることを否定しているんじゃないですね。「ほに出でて」見つめることをするまいよ、と思っていたのです。