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短歌と和歌と

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中学生向けに和歌・短歌を語る練習をしています。短歌は初学者。和歌は大学で多少触れたレベル。
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2021年2月の記事一覧

2月28日 社会派短歌と伊勢の桜

2月28日 社会派短歌と伊勢の桜

 今日も練習です。ちょっと社会派に挑戦。

 チームから2人目の感染者でて笑顔の練習始めるチーフ

 この夏にマスクをつけて臨むべきかのっぺらぼうが会議を持った

 教科書が電子化されて電子化に興奮していた男子が消えた

☆ ☆ ☆

 古今和歌集の歌は「理知的」と評価されることが多いのですが、理知的ってどういうことなのでしょうか。

 それは例えば理屈っぽいということであり、別の言い方をす

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2月27日 色々な僕と凡河内躬恒の梅

 1日一首と決めると肩に力が入る。どうせ初心者の下手くそなのだから、推敲とか考えずに数を詠むことにした。戦いは数だよ兄貴。

 まあ、気力の許す限りだけど。

シイタケを栽培し始めるくらいの口調で猫の避妊を決める

子どもらがテレビを見る間に風呂入るすぐに来おった さては、君め

教室を統治するのに温もりは不要だ統治したくなんか無い

休日に雨降れどこにも出かけない堂々とした理由が欲しい

とっと

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2月26日

 昨晩は子どもを寝かしつけているうちに寝かしつけられた。  

 昨日、中学生による弁論大会。

むき出しの歯で口角に泡を付け舌ぶん回すマスクの裏で

 素顔で本音をぶつけ合う青春群像というものが嘘くさくなる時期がもうすぐ来そう。

2月25日 僕の寂しさと西行の悲しさ

 学生時代の先輩にお誘いいただき、読書指導のオンラインワークショップに参加した。

 良い時間だった。

 田舎に住んでいると、いつも会う人以外と会わない時間が何年も続く。その閉塞感を、オンラインワークショップは簡単に打破してくれる。

結婚を契約せし日に我ひとり画面で絵札の一枚となる

 今日は結婚記念日。

 実りあるワークショップに参加させてくれた妻に、心底感謝。

☆ ☆ ☆

 

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2月24日 場を得たバスケマンと頼政の桜

2月24日 場を得たバスケマンと頼政の桜

 今日はクラス対抗競技大会を実施することができた。中学全体で各種競技の勝敗を競う。

 年間を通して多くのイベントが中止に追い込まれた中、貴重な「生徒の教室外の顔」を見せてもらえる機会だ。

下を向き目逸らしふくれっ面をする君のシュートの軌跡美しく

 いじけた顔しか見ていなかった。しばらくぶりに、いい笑顔をみた。君はこんな風に綺麗に体を使う人だったね。

☆ ☆ ☆

今夜は『詞花和歌集』の春の

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2月23日 僕と娘の海と、実朝の恋

2月23日 僕と娘の海と、実朝の恋

 上旬に春を感じさせた陽気は、下旬になるともはや初夏と言った方が相応しいほどになった。ますます2月という存在が信じられなくなってゆく。

 その不信感はともかく、今週も海へ行った。駐車場から見える海がすでにエメラルドブルーで、気持ちが盛り上がる。

 海を見て走り出した兄2人を追いかけ、娘を抱っこして波打ち際を散歩した。すでに兄2人は波と追いかけっこを始めており、しかも若干追いつかれ気味だった。慌

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2月22日 僕の作戦と実定の春の夕日

2月22日 僕の作戦と実定の春の夕日

 春らしい気候が戻ってきた。

  暖かい日々が来ると、教室では眠気との闘いが始まる。

 問題演習や解説の後、肩を回したりあくびをこらえたりする生徒が目に入ってきたら、勝負の開始時期だ。

 生徒の眠気を払うために、僕は音読をさせたり話し合いをさせたり、書写などの作業を課したりする。

 眠気を払うための指示だ、と悟らせないことも工夫の一つ。それでも気が付いている生徒はいるのかもしれない。

 

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2月21日 桜の花の満開の下

2月21日 桜の花の満開の下

 数日前のみぞれなど忘れたように、今日は20度オーバーの春らしい1日。公園には親子連れが溢れている。

爛漫の春ぞ来たると雲雀飛ぶダンリュウザクラ今盛りなり

見渡せば笑顔にあらぬ顔は無しダンリュウザクラ今盛りなり

佐保姫が袖を振るひてありくらんダンリュウザクラ今盛りなり

 満開の桜の圧倒的な「そこにある」という感じには、「なり」と断じるのが似合う。

☆ ☆ ☆

 満開の桜にある種のふてぶ

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2月20日 宇宙の広さと梅の香り

2月20日 宇宙の広さと梅の香り

 子どもたちは数字が好きだ。その延長線上で、今、「無限」という言葉にはまっている。多分その最強感に酔っているんだと思う。

「無限+1は?」「無限」
「無限+10000は?」「無限」
「無限より1少ない数は?」

 無限より1少ない数は、無限に届いてない数ってことなんだろうか。

 有限と無限の境目を問われた。

無限より1だけ少ない数は何?おそらく宇宙みたいな何かだ

 無限に拡大していく有限の

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2月19日 上手くいかない短歌と和歌と

2月19日 上手くいかない短歌と和歌と

 採点の祭典という言葉を知った。

 期間が限定される点では言い得ている。しかし祭典というほど熱中、集中してやっているだろうか?

 盛り上がらない祭典は、どうやら明日で終わる。

前回の復習をせずに暗記だけ演習足りない君は50点

 努力は3ヶ月後に結果に出ます。頑張りましょう。

☆ ☆ ☆

 努力が報われない人は、歌を詠む。その歌は「述懐」と呼ばれるジャンルに区分される。
 述懐歌

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2月18日

 今日は残業の日。

残業後風呂から上がりたくなくて朝会う君は何て言うかな

2月17日 僕のICTと仲実の挑戦

2月17日 僕のICTと仲実の挑戦

 授業にプロジェクターを持っていくことが増えた。電源を繋いでスクリーンを広げて設置するまで、3分もかからない。

 生徒が珍しがって寄ってくることも無くなった。

 珍しさが消えたら、間抜けさしか残らないんじゃないか、という恐れが少しある。

黒板にスクリーン貼る僕の背よ窓拭き職人の確かさをもて

☆ ☆ ☆

 和歌も進化した。歌人達は先例を学びながら、新しい表現の方法を模索した。

 も

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2月16日 息子の息と好忠の春

2月16日 息子の息と好忠の春

 4歳の息子が僕の膝の上でハーハーしている。
 犬のマネはやめなさいと、運転している妻が言う。

 犬じゃないよ、白いの。
 白いの?
 白いのが出ない。なんでかなあ。

 先に笑ったのは妻だった。僕は出遅れた。

 いーくん、白いのは出ないよ、今日は寒くないから。
 出ないの?
 うん、出ない。

吐く息の白さを2月がエラーしたアウグストゥスも黙っちゃいまい

 ユリウス歴→音数がはまらない→息

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2月15日 春の日射しと中学生、そして良経

2月15日 春の日射しと中学生、そして良経

 今日も暖かな春の日射しだ。教室では段々と上着を脱ぐ生徒が増えてきた。体育の授業前のテンションが格段に上がっている。

椅子の背に脱げや学ラン冬籠り今は春べと脱げや学ラン

☆ ☆ ☆

 春の日射しを歌う和歌は、多くは無いと思う。春の代表的な歌材は霞であり鶯であり梅であり桜だ。

 日射しを歌う歌を探して『六家抄』内の「秋篠月清抄」(藤原良経)を開いた。「集」の方が見たいけど、持ってない

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