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#12 好きが感謝に昇華した話①【邂逅】

「好きって極めると感謝になるんだ」

今年の3月、1年の足踏みを経て大学に合格したとき、私はそう思った







chapter0 空白の1年


秋になってもまだ感じることがあります

広い広い大学の敷地に入ると

「この大学の地面をずっと踏みしめられるんだ」

受験の一度きりじゃない、これからも

「本当に、頑張ってよかった」、と


春の頃なら誰しも感じたであろう
温かい誇らしさ

でも私は年がら年中感じてしまうだろう

それが時に自分の支えとなることもあるくらいそれは強い力を持っている
私が一浪しているから人より思いが強いのかもしれない

まだ半年しか経っていないというのに、様々な人と出会い、色鮮やかな体験をさせてもらっている

それはまるで「空白の1年」を塗り替えてしまうようだ


私が再受験に成功したのは”すごく感謝してる人”のおかげだ

今でも、たぶんこれからもずっと

そんな”大切な人”との出会いと私の空白の1年との関わりを綴っていこうと思う

これは
誰かを想う気持ちが本当に力となって人生を大きく変えてみせた話




chapter1 はじまりの初恋


2020.6
高校の休業期間が終わり、始業式のない高校3年生がやっとスタートした

正直学校にはいきたくなかった

6月まではずっとオンラインの課題をこなし人と接してこなかったのに、ほとんど知らない人とクラスを一緒にされたからだ

初日なんて憂鬱で足取りはとても重かった

教室に入ってもすでに出来上がってるグループで騒いでるだけ

知らない人に四方八方囲まれた教室の中央で完全に私は孤立していた

間がもたない、というのはこういうことを言うのだろうと心底思った

私は1人で行動するほうが落ち着くタイプであった。もちろん、友達付き合いを拒絶するわけではないが、日本の学校は1人で行動する人を生きづらくさせる環境が根付いている

そんなことを考えていると、前からプリントが送られてきた。さっと受け取り後ろに回す。多いなぁと感じながら

(というか、前の奴背高いな)

猫背で背の高いその男がまさか今でも繋がりのある友達になるなんて、そのときは全く感じていなかった

休憩時間になると彼は話しかけてきた

目つきが悪い、がそれはしょうがないのだろうか

お互いのことを知らない時のあの独特な空気感の中、最初は事務的な話しかしなかったが、3ヶ月くらい経つと、ようやく気が置けない友達になった

やっと自分の居場所を見つけた気がした



彼と自然に話せるようになるまでの間、私は自分のことを知ってもらおうと1つ頑張ったことがある

それは、うちのクラスにある日誌だ

時間割や欠席、早退、遅刻の人を記述する欄の裏側には、自由記述欄があった

1週目のテーマは自己紹介である

元々文章を書くことは嫌いではなかったので、夢中で他の誰よりも1枚の紙一杯に文字を詰め込んだ

そのおかげで数人のクラスメイトと話せるようになったし"運命の人"を見つけることができた

"その人"を初めて認識したのは、日誌の内容を先生が紹介していたとき

あれなかなかに恥ずかしいからこちらとしてはやめて欲しかったんだけどね(笑)

でも、今日紹介された日誌は妙に頭に残った

「47都道府県制覇した」
 
そのワードのせいだろう

私は今でも旅レポをあげる程旅行が大好きだ。だから、そのテーマの話は食いついてしまう。しかも、全制覇はすごいことだ

いつか自分も全国を巡りたいなんて思ってた

すごく興味が沸いた

今まで"ただのクラスメイト"だった人に


(話しかけてみたいなぁ)
(オススメの観光地とか知りたいし)

でも全く面識はなかったし、異性だったってのもあってずーっと直接話しかけに行くことをためらった

授業によっては後ろにいたのにもかかわらず

もしもタイムマシンがあるのなら

その時の自分を突き飛ばしてでも"あの人"の席へ向かわせます

何かきっかけがあれば…
当時は弱気だった  

少女マンガのように席が隣になるなんてこともなく、静かに時が過ぎていく

"話しかけたい人"の仲のいい人とは話すことができたのに

しかしその仲のいい人がまさかおよそ2年後に重要な役割を果たしてくれるなんて当時の私は思いもしなかった



知りたい、話を聞きたい

私の意識は次第に"話をしたくてしょうがない人"へ傾くようになった

変に話せなくて期間が空いたせいでさらに話しかけづらくなった

目で追うことが増えた

はたからみたら変態である

しかし、話したくて機会を窺ううちに

("あの子"とっても幸せそう)

私は勝手に幸せオーラを感じ取っていた

いわゆるクラスの中心にいるタイプの子ではなかった。かといってずっと静かなわけではなく、休み時間は友達と楽しそうに話す人だった

("あの子"いつも楽しそうに笑ってる)

その屈託のない笑みは周りの人までも幸せにしているように感じられた

「食べて寝ることが幸せ」

そんなことを言いそうな
そして実際に後にそう言った

"気になる人"は徐々に"好きな人"へと変化していった

人よりあらゆる成長速度が3年程遅い私は恋に目覚めるのも遅かった

小中高特有の「好きなんでしょ〜」からかいは適当に流していた

まだ幼かったのだろうか

しかし、18にしてやっと気づいたことがある

「好きの根源は相手への興味だ」


同じ旅行が好きという繋がりから興味をもち、今を楽しみ幸せに生きている彼女に私は惹かれてしまった___


chapter2「進路と迫る共通テスト」につづく…


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