『2020年7月11日の日記より』

僕の黄色いサンダルが
ぺたぺたとアンニュイな
音を立てていく

タバコが切れそうだから
夜明け前藍色の空を
近くのコンビニまで

環八通りとぶつかる
立体交差点で
最後のタバコに
火をつけた

国道20号線は
まだ雨で濡れていて
マンホール小さな水溜り
ノスタルジーに溺れてる

店内はがらんとしていて
すいませんでやっと
店員がやってきた

『151番』と告げる
570円を札受けに
ありがとうございました

信号機が赤く光る
立体交差点で
最初のタバコに
火をつけた

国道20号線は
まだ雨で濡れていて
懐かしい歌を鼻歌で
センチメンタルに犯された

僕の黄色いサンダルが
ぺたぺたとアンニュイな
音を立てていく

今日は雨が降りそうだ
藍色の空が灰色に
映えない色に変わってる

そしてドアの前で
ぺたぺたとアンニュイな
音が止まった


作詞:高橋冴太朗
お題:free(自選)
構成:A-B-C-A2-B2-C2-A3-D
コメント:タイトルのまんま。タバコ買いにいくだけのショートストリー。ちょうど、東京から20号をまっすぐ進むと故郷に帰れるのよね。詩のような、小説の始まりのような。
サイケ
2021.10.17

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