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『推し活』と『イミ消費』から考える、新しいお金の使い道

(4分で読めます)
今日のテーマは『推し活』と『イミ消費』です。

ここ数年で一気に『推し(おし)』『推し活(おしかつ)』という言葉が一般化してきたように思います。
推し活』は、去年の流行語大賞にもノミネートされました。

「推し活」とは、アイドルや声優、俳優、スポーツ選手やユーチューバーなどの人物、アニメのキャラクターなど、“好きな人=推し”を、応援する活動のこと。

先日はこんな話がニュースで取り上げられ、少し話題になりました。

小中学生の94%に推しがいるなんて…笑
でも「学校の先生」や「友達」を推しているという回答もありました。それが活力になるならすごく素敵なことですよね。

推し活は、お金をかけずに出来ることももちろんあります。テレビやSNSをチェックしたり、友達同士で話したり。

しかし、「グッズを買う」「推しに会いにライブや試合に行く」「投げ銭(動画配信でお金やアイテムを送ること)をする」「ストリーミングサービスで推しの音楽を聴く」など、お金が掛かることもたくさんあります。

上記のアンケートでは「自分でお金を稼げるようになったら、どんな推し活をしたい?」という質問もありました。

回答は、「推しのライブに行きまくる」「コミケ舞台などに積極的に参加します」「グッズを大人買いしたい、爆買いしたい!」「ファンクラブに入りたい」「スパチャ(ネット上の投げ銭)を投げまくりたい」など。

グッズなどの“モノ”にお金をつかう希望もあれば、舞台やライブなど“トキ”にお金をつかいたいと思っている人も。

今回はそんな「推し活」から、『お金の使い方の変化』に注目してみたいと思います。


今までの『モノ』消費と『コト』消費

戦後、人々の生活が豊かになるまでるまで、日本人のお金の使い道は『モノ消費』が中心でした。
モノ消費とは、その名の通り、モノの消費を中心とした消費スタイルのこと。

“テレビ・冷蔵庫・洗濯機”の「三種の神器」からはじまり、より便利な製品を所有することが消費の中心にありました。

そして高度経済成長やバブル景気を迎えた日本人は、高級品やブランド品など、ステータスや高級志向を満足させるモノの所有が消費の中心に変わっていきます。
当たり前に便利な時代になり、精神的なステータスをモノ消費に求めるようになりました。

また精神的な満足を得るために、次に求められたのが魅力的なサービスや空間設計などでデザインされた体験を消費する「コト消費」です。
グルメや旅行、リラクゼーションなどもコト消費の一つ。

2000年代以降のSNSの普及によって、コト消費は拍車が掛かりました。
InstagramやFacebookなどで、自分の体験を公開して閲覧者から「いいね」やコメントを得ることでの満足感がコト消費を後押しするようになったのです。

そんなコト消費の例の1つが、東京ディスニーリゾート。私たちは“非日常の体験”を求めて、ディズニーランド・シーにお金を払って行っています。

実際に、東京ディズニーリゾートの入園者数は1983年の990万人から右肩上がりに増加し、2019年にはその約3倍の2900万人になっています。
モノ消費の時代から大幅に増えており、国内のコト消費への移行を見て取ることができます。


ところが、SNSの発達と普及により、よりリアルに他人の体験を疑似体験できるようになりました。
その結果、他人の体験を疑似体験できた人は自ら体験することへの積極性を失い始めます。

またここ数年の感染症の流行などから「コト消費」自体が難しくなってきました。

では、イマ注目されている「お金の使い道」は何でしょうか?


「推し活」から考える「イミ消費」

イミ消費」は、主に1990年代後半〜2010年生まれの“Z世代”を中心に注目されている、新しい消費行動です。

Z世代の人達は、東日本大震災や、地球温暖化による異常気象とそれによって起こる自然災害など、自分の価値観を覆されるような出来事を幼少期に体験しています。
またソーシャルネイティブ・デジタルネイティブと呼ばれ、幼い頃から様々な情報や多様な人々に触れて育ち、学校でSDGsを学ぶ機会も増えています。

そのため、環境問題や社会問題に対して強い関心を持っている人が多いと言われています。

そんな中で生まれたのが「イミ消費」です。
イミ消費とは、消費を通じて社会や環境に貢献する行動のこと。
ただ「モノ」を買ったり、「コト」を経験するだけでなく、そこに社会的・文化的「イミ」を見出す消費スタイル。

そして、見方を変えると「推し活」も「イミ消費」の一つと考えます。

上記の電通のインタビューによると、推しのグッズが欲しいから買うのではなく、応援したいから購入するというような意見も。

アンケートでは「アイドルやアニメなどの『推し』のためなら応援の気持ちで買い物をしてしまうことはありますか?」という質問では、経験がある(よくある、ときどきある)と答えた人は72.3%だったそうです。

この背景には、感染症の拡大によって「推し」に会えなくなったことが理由の1つにあります。
直接イベントで会えなくても、推しのグッズを購入することで間接的に応援しようという人が増えました。

グッズを手に入れることではなく、グッズ購入を通して「推しにお金を使うこと」に「イミ」を見出しているのです。


「コスパ」と「イミ」にこだわる消費

現代の若者は、ITバブルの崩壊やリーマンショック、東日本大震災など、不況や不安な社会情勢を経験しています。
また働き方の変化を目の当たりにし、経済面では基本的に保守的で慎重だといわれています。

デジタルネイティブで情報収集にも長けているため、買い物をするときも事前に調べて、よりコストパフォーマンスが良いものを重視するのも特徴。

しかし、ただお金を使わないわけではなく、“推し活”のような自分が「イミを見出すもの」に関しては、ちゃんと『お金をつかう』のです。

そういった“イマドキのお金の使い方”の流行に乗ってみると、新しい発見があるかもしれません。


ちなみに私の最近の推しはコレ!
アプリがあれば一旦無料で読めるから!
推し活やろうぜ!!!!(モンハン風)


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