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今だから知っておきたい、金利と債券の関係-金利が上がると債券の価値が下がる?-

(5分で読めます)
【債券】
って聞いたことはありますか?
債券を簡単に言うと、『私はこの人にお金貸したよ!プラスの利息つけてこの日までに返してね!』という借金の証のこと。株式などと同じ、有価証券(=財産的価値のある権利を表す証券や証書のこと)です。

債券を買うと利息を受け取ることができ、満期が来ると元金が戻ってきます。ただ、お金を貸す相手は国・地方大きい会社など。私たちが債券を買うと、国(国債)や会社(社債)にお金を貸すことになります。また、自分が国や会社から買った債券を市場で売ったり買ったりすることもできます。

詳しくは、前に記事にしていました↓

ここ数年、債券市場の状況は大きく変わりました。
アメリカのインフレと利上げなどの影響により、世界的に急激な金利上昇がありました。日本でもマイナス金利が解除され、国債(国にお金を貸す債券)の金利も上がっています。金利(利息・利子)のある世界に変わりはじめている。

そこで気になるのが、金利と市場で取引されている債券価格(既発債券)の関係です。
基本的に金利と債券価格は逆の動きをします。金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がる。

言葉にするのは簡単ですが、実際に数字で見ると「なんでそうなるの?」となりやすいポイントです。プロでも理解が難しかったりします。

そこで今回は!
◎そもそも金利とは?
◎金利と債券価格ってどんな関係?
この2点を確認していきます。
大丈夫、分かりやすくするから!

生活のいろんなところで出てくる「金利」の話、ぜひ確認してみて!


◎そもそも金利とは?

・ローンと金利

私たちが生活していると、「金利」は色々なところで登場します。
分かりやすい例が、住宅や車などのローンです。
今まで、何かを買うときにローンを組んだことはありますか?
私たちが銀行などの金融機関からお金を借りると必ず発生するのは「利子」です。ローンを組んでお金を借りると、借りたお金に利子をプラスして返します。

この「利子」がいくらになるか、元本(=借りたお金)に対して何%になるか、を決めるのが「金利」です。

ではここで質問!
あなたがローンを組んで車を買うとします。どちらの金利がお得にお金を借りられますか?(期間や借りる金額は同じものとします。)

①金利5%の銀行(100万円に対し利子5万円)
②金利1%の銀行(100万円に対し利子1万円)

ジンのアニキの車はポルシェ356Aだからね!
ドイツのアマガエルも偉くなったもんだぜ!

おそらくを選ぶ人が多いと思います。
お金を借りるときは「金利が低い」ほうが、支払うお金が少なくなります。では「お金を貸す」ときはどうなるでしょうか?


・預金と金利

「お金を貸す」例として分かりやすいのが「預金」です。
これを読んでくださっている方のほとんどは、銀行などに口座をもっていると思います。口座にお金を預けると、定期的に「利息」がつきませんか?
実は銀行預金は「私たちが銀行にお金を貸す」仕組みになっています。
銀行にお金を貸しているので、銀行が私たちに「利息」を支払ってくれています。この預金の「利息」を決めるのも「金利」です。

ではここで質問②!
あなたが100万円を1年間預けるとします。利益を増やすなら、どちらの銀行に預けたいですか?

①金利5%の銀行(100万円に対し利息5万円がつく)
②金利1%の銀行(100万円に対し利息1万円がつく)


次はを選ぶ人が多いのではないでしょうか?
お金を貸すときは「金利が高いほう」が、もらえるお金が高くなります。

このように、「金利」とはお金を貸し借りするときに支払われる対価のことをいい、割合(パーセント・%)で表します。お金を借りるときは金利の低い方が、お金を貸すときは金利の高い方が条件がいいとされます。

そのため「金利」は、お金を借りる人・貸す人の割合を調節し、景気を左右する1つの要素になります。

詳しくは以前の記事に↓

ではここからが本題!
『金利と債券価格の関係』について、みていきます!

◎金利と債券価格

・実際の金利を見てみる

記事の冒頭で、「基本的に金利と債券価格は逆の動きをします。金利が上がると市場の債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がる。」と書きました。今回は米国債券(アメリカの国にお金を貸す債券)の例を見ながら、「なぜ逆の動きをするのか?」について、考えてみたいと思います。

ここ数年、米国債券の金利は大きく上がっています。基準となる米国債券10年の利回りをみてみるとこんな感じ。

ivesting.comより

2020年の7月ごろは0.528%だった利回りが、現在4.282%になっています。インフレなどの影響から、4年で急激に金利が上がっていきました。
為替を考えなければ、100万円の債券を買うと、毎年4万円くらいの利息がもらえる計算です。単純に考えると10年で40万、、アメリカが財政破綻しなければもらえる、、強すぎる。

普通に考えると、債券は私達が『お金を貸す』のと同じ。「金利が高い」ほうが、利益が増えて条件がよくなります。では、金利が高くなる前に買った債券を今売りたい場合、どうなるでしょうか?

例えば!
あなたがこれから当分(10年以上)使う予定のない100万円を、米国債券に投資するとします。市場で取引される2つの債券から選ぶことになりました。利益を優先する場合、どちらの債券を選びますか?

①2020年7月に買った金利0.5%の債券(6年後に換金できる)
②2024年7月に買った金利4%の債券(10年後に換金できる)


②のほうが多く利益を得られそうですよね!

では逆にあなたが債券を売る側の人で「2020年7月に買った金利0.5%の債券(6年後に換金できる)」を、今売らないといけなくなったら

①そのままの条件で売る
②少し割引きして、今の債券と同じような条件で売る

この選択肢だと、少し割引をして同じ条件で売ったほうが、早く売れると思いませんか?実はこれが金利と債券の関係になっていきます。

・金利と債券価格

自分が債券を買ったときより金利があがっていると、今すでに持っている債券は買う人にとって条件が悪い。だから、割引しないと売れない
そのため金利上昇時は、これまでに発行され取引されている市場の債券価格はさがります

逆に、自分が債券を買ったときより金利が下がっていると、持っている債券はいわばプラチナチケット。ちょっと上乗せしても売ることができます。そのため金利下降時は、一般的に債券価格はあがります。これが、金利と債券価格のしくみです。

◎金利が影響を与えるもの

今回は金利と債券の関係について書きましたが、金利が影響を与えるものは、身近にもたくさんあります。

例として見た『10年もの国債』の利回りは、長期金利の指標(経済のものさし)になっています。そのため、日本の10年国債の金利は住宅ローン定期預金生命保険などに影響します。
また、金利は景気にも影響を与えますし、アメリカと日本の金利差は、為替にも関係してきます。

投資という見方だけでなく、私達の生活に関わるものとして、金利や債券のしくみを理解しておくと、ふとしたときに役立つかもしれません。

今日はここまで〜!!
ちなみに以前の記事で為替も金利も触れてるからね!

為替と金利の話↓

景気と金利の話↓


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