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2024年6月の記事一覧
私を 想って 第二十話
「もう風邪大丈夫か?」
いつものようにキッチンで篤人が西瓜を食べている。
「一週間? もっとだっけ?」
寧々は丁寧に西瓜の種をスプーンでとっていた。
二人の顔を交互に見る。
「……なんかスッキリした」
西瓜を一口食べると口の中いっぱいに水分が広がっていく。
「わかる! 熱出るとさ毒素でたーって感じでスッキリするよね」
寧々の言葉に、だなっと篤人も頷いた。
「鞠毛に連絡しても全
私を 想って 第十九話
コップの表面についた水滴がテーブルに落ちる。
あれから数分が経ったけど、お父さんはなかなか話そうとしない。涼花さんが「うまく話そう、なんて思わなくていいのよ」とお父さんにアドバイスしてくれたが、父は難しい顔をして固まっている。
私から話そう。言いたくないけれど、言うしかない。小さく息を吐き、口から無理矢理言葉を出した。
「小さな頃、借家の大家さんにあの人……あの人はあんたの父親じゃないっ
私を 想って 第十八話
車が止まる音がした。時計を見ると、妙さんが帰ってから一時間も過ぎていた。お風呂の用意をしようと立ち上がり部屋から出る。ガラガラと玄関の戸が開く音が聞こえた。
すぐに戻るから、と涼花さんが言っていた言葉を思い出し玄関へ向かう。でもそこに涼花さんの姿はなく、代わりにずっと帰りを待ち望んでいた人が立っていた。
「……お父さん」
父を呼んだ声が震える。驚きのあまり、どうしたらいいのかわからなくて立
私を 想って 第十七話
家には誰もいなかった。
自分の部屋にいき窓を開ける。むっとした暑い空気が外へ抜けていく。
目の前の景色を眺めながら、白谷のおばばの言葉や篤人との会話を思い出す。
ずっと心に波をたてないように生きてきた。
自分に起こった出来事は、どこか自分じゃない人の、物語の中の出来事のように思っていた。この先もきっとそんな風に生きていくと思っていたのに。最近は心の中が騒がしい。
ここに来ていろんな人