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元高校教員が学習プリントだけで小テストを簡単に自動生成しました!


1. はじめに

教育現場では、教員の業務負担が増加している現状があります。その中でも、時間と手間がかかるのがテストの作成です。学習プリントや授業内容に基づいた小テストの作成は、生徒の理解度を測る上で非常に重要ですが、その作成には多くの労力が必要です。また、観点別評価を行う際には、特定の内容にフォーカスした小テストが必要であり、その重要性は増しています。
現在、教科書会社の小テスト作成ツールや教材が充実しており、教員はこれらを利用してテスト作成の効率化を図っています。しかし、一つの単元に大量の問題が準備されているわけではなく、新たに問題を作成する場合は、教員自らが作成する必要があります。
そこで本記事では、ChatGPTを活用して学習プリントをもとに小テストを簡単に自動生成する方法を紹介します。さらに、教員業務の効率化効果や実際に生成される問題の具体例、利用時の課題についても解説します。

2. 学習プリントをもとに小テストを作成する手順

学習プリントの準備

学習プリントの準備については、既存のプリントを使用するか、ChatGPTを活用して新たに作成する方法があります。既存のプリントを使用する場合は、そのままの内容を入力データとして利用します。一方、ChatGPTを利用して学習プリントを作成する場合は、特定の学習テーマや内容に基づいてプリントを生成します。
以前投稿した内容を引用すると、以下の手順で学習プリントを準備します。

  1. 既存の学習プリントを使用する: 教科書や他の教材に含まれている既存の学習プリントをそのまま利用します。

  2. ChatGPTを利用して新たに作成する: ChatGPTに特定のトピックや学習目標を入力し、学習プリントを生成します。例えば、「国会に関する学習プリントを作成して」と指示すると、ChatGPTが適切な内容を含むプリントを自動生成します。

ChatGPTの設定と導入方法

ChatGPTを利用して小テストを作成するための設定と導入方法は非常にシンプルです。

  1. 専用のGPTsを作成: 教育機関や教員が独自に使用するための専用のGPTsを作成します。

  2. 学習プリントを読み込ませる: 学習プリントの内容をChatGPTに読み込ませます。既存の学習プリントをPDFや画像データでアップロードし、ChatGPTが内容を理解できるようにします。

  3. 「プリントをもとに小テストを作成してください」と指示: ChatGPTに対して、「プリントをもとに小テストを作成してください」と指示を出します。ChatGPTは、読み込んだ学習プリントの内容に基づいて、自動的に小テストを生成します。この際、問題形式や難易度などの詳細な設定もカスタマイズ可能です。


3. 自動生成される小テストの具体例

ChatGPTを利用して学習プリントから自動生成される小テストの具体例を以下に示します。

問題の種類と形式

ChatGPTは、様々な形式の問題を生成することができます。以下のような種類の問題が生成できます。

  1. 選択肢問題

  2. 穴埋め問題

  3. 記述問題

今回使用した学習プリント

今回、以前紹介したChatGPT自動生成した学習プリントをもとに小テストを作成します。

今回利用したプリント

作成された問題例

ここでは、実際にChatGPTが生成した小テストの具体例を示します。具体的な小テスト例は、下記のとおりです。ご参照ください。



4. 教員業務の効率化効果と活用例

従来の手法との比較

従来は、教員は学習プリントや授業内容に基づいて手作業で小テストを作成する必要がありました。この作業は非常に時間がかかり、さらに一貫性のあるテストを作成することが難しい場合もあります。教科書会社の小テスト作成ツールや教材が充実しているものの、特定の内容にフォーカスしたテストを作成する際には、依然として手作業が必要でした。

ChatGPT導入によるメリット

ChatGPTを導入することで、以下のようなメリットがあります。

  1. 時間と労力の節約: ChatGPTは、自動的に小テストを生成するため、教員が手作業で問題を作成する時間と労力を大幅に削減できます。これにより、教員は他の重要な教育活動に集中することができます。

  2. 一貫性の確保: ChatGPTは、同一の基準で問題を生成するため、一貫性のあるテストを作成することが可能です。これにより、生徒間で公平な評価を行うことができます。

  3. 迅速なフィードバック: 自動生成された小テストを使用することで、生徒の理解度を迅速に評価し、必要に応じて即座にフィードバックを提供することができます。

ChatGPT小テストツールの活用例

実際の教育現場での活用例として、以下のようなケースが考えられます。

  • 日常的な授業の補助: 毎日の授業で学習した内容に基づいて、定期的に小テストを実施することで、生徒の理解度をチェックし、授業の進行を調整することができます。

  • 試験前の復習: 期末試験や中間試験前の復習用として、小テストを自動生成し、生徒に提供することで、効率的な復習が可能となります。

  • 個別指導のサポート: 生徒一人ひとりの学習進度や理解度に応じた小テストを作成し、個別指導の質を向上させることができます。

5. ChatGPT利用の課題と解決策

ChatGPTを利用して小テストを自動生成することには多くのメリットがありますが、いくつかの課題も存在します。

精度と信頼性の課題

ChatGPTが生成する問題の精度や信頼性には、まだ改善の余地があります。実際、今回検証した小テスト問題についても、問題内容や精度が学習プリントに忠実であるかという部分では検討の余地があります。また、複雑な問題や高度な理解が必要な内容では、生成される問題が正確であるかどうかを教員が確認する必要があります。

解決策:

  • 生成された問題を教員が確認し、必要に応じて修正するプロセスを設ける。

プライバシーとデータ管理の課題

利用する際は、学習データの扱いに注意が必要です。特に教科書会社のデータを無断で扱っていた場合、著作権法に抵触する可能性があります。データを適切に管理することが重要です。

解決策:

  • データの保存や管理に関して、適切なセキュリティ対策を講じる。

デジタル化と自動化の課題

現在、小テストも紙ベースからデジタル化が進んでおり、タブレットを利用した小テストが増えています。しかし、ChatGPTで問題を作成した後、それをGoogleフォームなどに自動化することが難しいという課題があります。GAS(Google Apps Script)などを使用すれば自動化は可能ですが、多くの教員が利用できる汎用性のあるツールとしてはまだ課題があります。

解決策:

  • 教育機関向けの使いやすい自動化ツールの開発を進める。

  • 教員向けのGASや他の自動化ツールに関する研修やサポートを提供する。

  • ChatGPTを利用した小テスト作成からGoogleフォームへの移行を簡便にするためのテンプレートやプラグインを開発する。

6. まとめと今後の展望

本記事では、ChatGPTを活用して学習プリントをもとに小テストを自動生成する方法について紹介しました。ChatGPTの利用により、教員は時間と労力を節約し、一貫性のある高品質なテストを効率的に作成することが可能になります。具体的な手順や生成された問題の例を通じて、その有用性を明らかにしました。
しかし、ChatGPTを活用する際にはいくつかの課題も存在します。問題の精度や信頼性の向上、データのプライバシー管理、そしてデジタル化と自動化の実現など、多くの課題に対して適切な対策を講じる必要があります。これらの課題に対処することで、ChatGPTの活用がさらに効果的となり、教育現場での業務効率化が進むでしょう。
今後の展望としては、教育機関向けの自動化ツールの開発や、教員向けの研修とサポートの充実が期待されます。また、AI技術の進化に伴い、より高度で信頼性の高い問題生成が可能になるとともに、デジタルツールとの統合が進むことで、より便利で効果的な教育支援が実現されるでしょう。
ChatGPTは、教育の未来を支える強力なツールとなり得ます。教員の業務負担を軽減し、生徒一人ひとりの学習ニーズに応じた柔軟な教育を提供するための一助として、今後の活用がますます期待されます。

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