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人形のこと

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中川多理『白堊』について/展覧会が始まる前に思ったこと

中川多理『白堊』について/展覧会が始まる前に思ったこと

 鳥越神社のすぐそば、九楊ビルのパラボリカビスに、厳重に梱包された人形たちが運び込まれた。最近、いろいろなことが気にかかっていた。最近じゃないかもしれない。ずっと思いつづけていたのかもしれない。行動するには、今なのかもしれない。
 ビスクになっての本格スタートなので、もちろん出来も気にかからない分けでもなかったが、いつも、何かを変化させてもそれでトップレベルに到達するので、そこはまったく気にしてい

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中川多理『白堊——廃廟苑於』~『『廃鳥庭園 PartⅡ』〜Petit(プティ)』へ。

中川多理『白堊——廃廟苑於』~『『廃鳥庭園 PartⅡ』〜Petit(プティ)』へ。

中川多理・人形展『白亜 廃廟苑於』から数ヶ月たった。
パラボリカ・bisに小さな改造が施されて、その記念も含めて中川多理の展覧会を7月に開催する。

『廃鳥庭園 PartⅡ』 〜Petit(プティ)

『白亜 廃廟苑於』で展示されたPetit(プティ)たちを中心にした、『プティのパノラマ』展になる。
この展覧会には、
——ありあはせの布(きれ)をあつめてなんどでもつくつてほしいぼくのからだを(『人

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中川多理『白堊——廃廟苑於』ドキュメント③『鳥葬声宴』川野芽生短歌朗読会

中川多理『白堊——廃廟苑於』ドキュメント③『鳥葬声宴』川野芽生短歌朗読会

 川野芽生短歌朗読会『鳥葬声宴』が終わった後の会場の床には短歌が書かれた半紙が散華されていた。まさに傷をつけられてようやくのことレスタウロされたジャヤバルマン(三島由紀夫/癩王のテラス)やヘリオガバルス(アルトー)の人形に対する散華であった。

 ジャヤバルマンの傍の一枚をひろうと

  月に雲 骨に肉叢 月と骨ましるに惹きあへば  肉いたむ
                           

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中川多理展「白堊――廃廟苑於」⑥【抽選販売B】

中川多理展「白堊――廃廟苑於」⑥【抽選販売B】

【抽選販売B】中川多理展「白堊――廃廟苑於」中川多理展「白堊――廃廟苑於」 沢山の御来場ありがとうございました!
ただいま会期後のメールでの抽選販売のお申込を受付しています。2024/5/20[月]までに、 詳細を御覧になって下記ページよりお申し込みください。

抽選販売作品:修復した王たち
(三島由紀夫『癩王のテラス』より)会場での王たちの様子をお届けします。

抽選販売作品:修復した王たち

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中川多理展「白堊――廃廟苑於」⑤【抽選販売A】

中川多理展「白堊――廃廟苑於」⑤【抽選販売A】

【抽選販売A】中川多理展「白堊――廃廟苑於」中川多理展「白堊――廃廟苑於」 沢山の御来場ありがとうございました!
ただいま会期後のメールでの抽選販売のお申込を受付しています。2024/5/20[月]までに、 詳細を御覧になって下記ページよりお申し込みください。

抽選販売作品:【コトリ#3】【翡翠(カワセミ)#2】【骨の葩(はなびら)—prototype】会場撮影の様子をお届けします。

抽選販

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中川多理展『白堊——廃廟苑於』ドキュメント②

中川多理展『白堊——廃廟苑於』ドキュメント②

 人形たちが、元映画館に運び込まれて並びを待っているとき、まだ、はっきりした展示の方向はまだ見えていなかった。
 「このこたちが決めるよ…」
どうしようかと追いつめられていながら、少しだけ呑気に構えていた。
床に、白堊の[堊]の字が描かれていた。奇しくも堊は壁であると…。
全開の、展覧会で、ビスクを始めた中川多理の人形たちに、[白堊]をつけたことが、今回の展示のリードする引用線になっていたことに気

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 中川多理展 白堊—廃廟苑於/はくあはいびょうえんにおいて/ドキュメント①

中川多理展 白堊—廃廟苑於/はくあはいびょうえんにおいて/ドキュメント①

壁状納骨堂
 廃廟苑というタイトルは、壁状納骨堂、Colombarioからの連想から来ている。
Colombarioをはじめて見たのは、ヴェネチアの墓の島・サン・ミケーレ島だったか、シチリア・パレルモの傍の修道院だったか…フィレンツェのサン・ロレンツォ教会…だったか…よく覚えていないが、心に不可思議に刻まれている。
小さなアパートのような白い建物の様な壁に、骨が収められて墓になっている。
 元々

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中川多理展「白堊――廃廟苑於」④「人形歌集 骨ならびにボネ」川野芽生/中川多理

中川多理展「白堊――廃廟苑於」④「人形歌集 骨ならびにボネ」川野芽生/中川多理

【新刊】「人形歌集 骨ならびにボネ」新刊、第二歌集『人形歌集 骨ならびにボネ』川野芽生/中川多理 書店発売の前に会場で先行して販売中です! ひっそりサイン本を作成してきました。数量限定なので会場でぜひお求めください。

この第二歌集は、昨年12月〜今年頭に行われた展示(中川多理展「廃鳥庭園〜Le Jardin abandonné」)から60首弱の歌を、展示していた全ての人形に向けて作るという、空恐

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中川多理展「白堊――廃廟苑於」③(はいびょうえんにおいて)

中川多理展「白堊――廃廟苑於」③(はいびょうえんにおいて)

「白堊の肖像」シリーズ
丸窓から覗く少女達のBOX入り肖像。
作品集『薔薇色の脚』特装版としてシリーズで制作しています。
(前回初お披露目時のnoteはこちら↓)

今会場では、2階から人形達を見下ろすと、白堊の「堊」の文字が浮かび上がります。ぜひ階上のスイートスポットからも御覧ください。

そこに結界のように
肖像のBOXをインスタレーションしていきました。

今回の函は会場に合わせてグレー基調

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中川多理展「白堊――廃廟苑於」②(はいびょうえんにおいて)

中川多理展「白堊――廃廟苑於」②(はいびょうえんにおいて)


オールビスク・少女今回新作として、初の全身オールビスクの少女を発表しました。
これまで胴体までのオブジェ・ドールや、肥大した下半身と乾涸びた半身の「薔薇色の脚」は制作していましたが、手足先まで揃ったオールビスクの子は初めてでした。

「全身作るのは大変だろうなあ」というのは想像してはいましたが、いや…本当に大変でした。ビスクオンリーの作家さんよく心折れずにやっているなあ、と。あまり苦労ばかりを言

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中川多理展「白堊――廃廟苑於」①(はいびょうえんにおいて)

中川多理展「白堊――廃廟苑於」①(はいびょうえんにおいて)


中川多理展「白堊――廃廟苑於」
個展「白堊――廃廟苑於(はいびょうえんにおいて)」が5月10日よりオープンいたしました!会場は東日暮里の【元映画館】。名前の通り元映画館を改装したスペースでの展示です。

二階席からの眺望も面白く、スクリーンには2018年に京都・春秋山荘で撮影した『癩王のテラス』の観月台ステージでの様子を上映しています。

特別展示「癩王のテラス」今展示では、2018年に制作し、

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中川多理・人形展・元映画館於『白堊 廃廟苑於』/川野芽生短歌朗読会『鳥葬声宴』+『人形歌集Ⅱ 骨ならびにボネ』/日々是徒然  [~について思う断章]

中川多理・人形展・元映画館於『白堊 廃廟苑於』/川野芽生短歌朗読会『鳥葬声宴』+『人形歌集Ⅱ 骨ならびにボネ』/日々是徒然  [~について思う断章]

 できあがる瞬間に化学変位が起きて予想もしなかった形になることがある。その形が時代を作ることもあるし、創造のラウンドをすっと1段階上げたりもする。もちろん創作全部に起きるわけではない。寧ろ稀にしか起きないことだ。
その稀に起きることに結構な回数立ち会ってきた。たぶんそこに吸い寄せられて来たからだろう。だけれどもその瞬間のことを言葉にするのは難しい。自分の能力と立場ではできなかった。多分、今もこれか

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中川多理展「廃鳥庭園〜Le Jardin abandonné」③

中川多理展「廃鳥庭園〜Le Jardin abandonné」③

中川多理展「廃鳥庭園〜Le Jardin abandonné

最後の小鳥たち

山尾悠子さんの掌編『小鳥たち』より生まれた連作、小鳥と少女の形態を使い分けるよう厳しく躾けられた編み上げ靴の侍女たち。沢山の侍女が羽ばたいていきましたが、この度最後の3体を送り出す事となりました。

シリーズ連作の作品は、大きさやクオリティを揃えるために型を使用して制作しています。また、より強固な素材に変換する為の作

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中川多理展「廃鳥庭園〜Le Jardin abandonné」②

中川多理展「廃鳥庭園〜Le Jardin abandonné」②

中川多理展「廃鳥庭園〜Le Jardin abandonné」

Petit(プティ)-bisque ver.

パラボリカ・ビスの企画「Little creatures展」で生まれた10センチサイズの革ボディのシリーズです。こちらもビスクで焼いたらどうなるかな?という好奇心のもと制作してみました。

かなり縮むだろうし、人形にするの難しいかな?と思ったけれど、ボディのサイズや手足の大きさでバラン

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