川鍋健人

広島大学総合科学部学部3年生 話題の時事や社会問題について色々調べて考察しています。…

川鍋健人

広島大学総合科学部学部3年生 話題の時事や社会問題について色々調べて考察しています。 毎年夏に1~2本の頻度で更新します。 広島大学(2021~) 未来自治体2023春 全国大会ベスト4 (広島第2地区代表メンバー)

最近の記事

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報道の委縮とフェイクニュース(1)

 ※この記事は、広島大学の講義レポートとして作成したものを、一部を加筆・修正して載せております。講義の担当教員には許可をいただいております。 先日NHKの東京五輪に関するドキュメンタリー報道が、BPOにより重大な放送倫理違反とみなされるようになった。「東京五輪に反対するデモの参加者を、金銭で動員された」、という字幕を付けて報道したのだ。NHKは五輪を推進する自民党政府とのつながりが強く当局の影響を受けたのでは、あるいは、NHK内部のデモや社会運動への関心の薄さが指摘されて

    • 「きかんしゃトーマス」シリーズのメインキャラクターの変遷からみる作品内ダイバーシティの取り組みと課題概論

      始めに  私がこのテーマを取り上げたいと考えたのは、作品とともに育ったことに加えて、この国際的な未就学児向けの長寿番組が近年様々な影響を受けて変わってきたことについて、マイノリティへの配慮と、作品によって作られるマイノリティについて取り上げる必要が大いにあると感じたからである。数少ない作品への考察の1つは、テレビアニメの原作児童文学「汽車の絵本」の作者ウィルバートの生涯に軸を置き、イギリスの鉄道と蒸気機関車をはじめとする鉄道遺産の保護と作品の関わりを議論した秋山の「機関車

      • 報道の委縮とフェイクニュース(5)

        ※この記事は、広島大学の講義レポートとして作成したものを、一部を加筆・修正して載せております。講義の担当教員には許可をいただいております。 〇課題点 現在の日本国憲法や放送法では、政治家や政治報道に関しては、偏向報道を認めない放送法の規定やプライバシー権と衝突しない限りは、自由な報道が保障されている。しかし、娯楽中心だったテレビがジャーナルとしての担い手を持ったのが、メディアとしては40年前ほどで、放送法の政治報道に関する基準がまだ明確でなく、そうした報道を作る過程や細かい

        • 報道の委縮とフェイクニュース(4)

          ※この記事は、広島大学の講義レポートとして作成したものを、一部を加筆・修正して載せております。講義の担当教員には許可をいただいております。 〇新聞にみる政治報道の過去の例から考える   政治家による報道へのクレームは、ここ最近に始まったことではない。戦後からジャーナリズムを担ってきた新聞各社は、クレームの電話が編集長やデスクに行っても大抵はそこから記者に広がることはなかった(1)。また、記事の検証も、現場の取材班と連携を取りながら、デスクが監督していたと思われる。報道制作

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        報道の委縮とフェイクニュース(1)

          報道の委縮とフェイクニュース(3)

          ※この記事は、広島大学の講義レポートとして作成したものを、一部を加筆・修正して載せております。講義の担当教員には許可をいただいております。 〇法とテレビ報道の現状 まずテレビ報道の法による規定を考えたい。国民が権力への制限をする機能を持つ最高法規である日本国憲法の第21条(1)を引用する。 第21条 1. 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。 2. 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。 この条文から、政

          報道の委縮とフェイクニュース(3)

          報道の委縮とフェイクニュース(2)

          ※この記事は、広島大学の講義レポートとして作成したものを、一部を加筆・修正して載せております。講義の担当教員には許可をいただいております。 〇フェイクニュースの定義とその事例  総務省に掲載された、令和元年度情報通信白書は、フェイクニュースを色んな機関における定義を参照している。それらをまとめると、 「偽の情報、あるいは真の情報に加工や変更を加えたりして、センセーショナル性を持ってインターネットなどで不特定多数に広がり、その結果社会の混乱や広告収入、特定の人物や企業の信

          報道の委縮とフェイクニュース(2)

          大崎下島

           ご無沙汰しています。  今回は、以前訪問した大崎下島について、興味深い話があったので、お話したいと思います。    古代の製塩後の遺跡や、柑橘類の生産で有名な大崎下島。  以前授業で伺う機会があり、訪問したのですが、柑橘類の生産量が減った、と地元の方々の話を聞きました。  1年の2タームの授業で、気候変動と農産物の生産量の低下(例えば農産品生産地の温度や降水量変化で収量が減る)を聞いたので、気候変動の影響が出てるのでは?  こう思い、聞いたのですが、どうやら人口

          「ウルフウォーカー」の物語が映し出す現代社会の構図と解決策

          広島大学総合科学部の、桑島秀樹先生の英語の授業で取り上げられた「ウルフウォーカー」。監督のトム・ムーア―、ロス・ステューアート両監督曰くここ近年の現代社会の内包する問題を抱えている。先生のこの講義に刺激を受けて、中世のアイルランドを題材にしたこのアニメ映画を改めて視聴することにした。 ※執筆・掲載にあたり、事前に先生に許可をいただきました。映画のネタバレが含まれていますが、記事閲覧前後の映画の視聴を推奨します。 〇目次 ・映画の基本情報 ・記事で監督の言っていたところと作品

          「ウルフウォーカー」の物語が映し出す現代社会の構図と解決策

          特集・東京五輪 ~オリンピックの政治利用とIOCのメリット~

           間が空いたが、前回東京五輪が、東京の経済や政治的な再集権化のために必要だと軽く触れた。  今回に限ったことではないが、五輪はほとんどにおいて、政治的なアピールの場として使われてきた。  また、五輪が形だけの平和の祭典で、IOCそのものに倫理的な問題があることが垣間見える。  その問題について話したい。 ※一橋大学名誉教授鵜飼哲先生の広島大学における特別講義の内容を一部取り扱っております。掲載に辺り本人の許可をいただきました。 目次 〇五輪と政治利

          特集・東京五輪 ~オリンピックの政治利用とIOCのメリット~

          特集 東京五輪 ~プロローグ~

           今、東京五輪の実施の是非を巡り、世論が反対の声をあげている。  IOCや日本政府は何が何でも、このオリンピックを「人類がウィルスに打ち勝った証」として実施する気だ。  しかし、この言葉にはかなり強い違和感を感じる。  そもそも、このオリンピックは「東日本大震災からの復興の象徴」としてなされるはずだった。  また、招致の段階で賄賂のやり取りがあり、不正でかつ、先行における東京への支持をより集めやすい方法がとられたことが窺える。  なぜ、ここまで「東京でのオリンピック

          特集 東京五輪 ~プロローグ~

          特集 東京五輪 ~復興五輪の正体~

           お待たせしました。  今回は、東京五輪の"復興五輪とは何か"についてお話します。  この記事は、5月12日に広島大学文化サークル連合の、広島大学新歓講演会実行委員会によって開催された、「鵜飼哲さん 講演会 オリンピックと大学」での取材に加え、自らのリサーチを加えました。掲載にあたり、講演の言及を一部分に求める、という条件で、ご本人のご了承を事前にいただきました。 〇なぜ東京で五輪をやるのか 一橋大学名誉教授である、鵜飼先生の講演によると、そもそも東京で五輪を開きたい、

          特集 東京五輪 ~復興五輪の正体~

          コロナウィルスの中和抗体の製造技術を広島大学などが開発していると聞いて

          在学中の広島大学等の大学が、新型コロナウィルスを無力化する中和抗体の製造技術を開発したそうです。抗体の97%が、イギリス変異株にも有効だとかかれています。  大学のある広島も緊急事態宣言の対象地域になり、コロナの重傷者もじわじわ確かに増えている傾向があり、早くこうした技術が実際の臨床に使われることを願うばかりです。 今までの報道の限りではウィルスの変異が早いように思えるので。 #広島大学 #ええね広大 #ええねHIRODAI #新型コロナウィルス 引用 ・広島テレビ放送

          コロナウィルスの中和抗体の製造技術を広島大学などが開発していると聞いて

          森喜朗氏の女性差別発言が何故問題なのか。

           こんにちは。  本日は、少し前に大問題となった森喜朗氏の「わきまえない女性」発言を取り扱っていきます。 ・何故森氏はあのような発言を?  本題に入る前に、まず森氏が辞任する事になった発言を要約する。 ・女性は競争意識が激しい。それ故に1人が発言しようとすれば全員が発言しようと動くので、時間が掛かって困る。 ・しかし、文科省がうるさく言うから(しぶしぶ)女性を会議に参加させている。 ・女性の組織での役員数を増やす為には、役員の発言の時間の制限が必要だ。 ・組織委員

          森喜朗氏の女性差別発言が何故問題なのか。

          "コロナ感染"の今。

          皆さんこんにちは。 本日は、パンデミックについて説明して行きたいと思います。 1.感染はどうなっているのか? 2.何故、コロナが怖いのか。 1.感染はどうなっているのか? 厚生労働省が出しているグラフをみてみると、1月の第3週から、PCR検査陽性者数の推移が減少していることが見えます。 しかし、肝心の検査数はどうか。 検査数のグラフも、その辺りから減少しています。 自分がコロナにかかっているか、それは現段階ではPCR検査を受けないと分からないのが現状です。

          "コロナ感染"の今。

          個人の権利の制限は本当に、今コロナの対策に有効なのか。

          先日、世論調査の数字に、いや、これが一部の集計なのは承知なのだが、感染症対策のため人の移動や経済活動の制限など個人の自由を制限することが許されるかどうか、という問いに多くの人が許される、と86%以上の人が答えたことに衝撃を受けた。 さらに、強制力を伴う法改正が必要かどうか、という問いにも、42%が必要だと答えた。 コロナの押さえ込みに失敗し、感染拡大が再発し、緊急事態宣言が有名無実となり終息の見込みがなくなっていることで、感染を止めるために、強力な手段を求める必要がある、

          個人の権利の制限は本当に、今コロナの対策に有効なのか。