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陶芸家の職業病と腰痛の話

5月24日 晴れ

本日のBGM The Style Council (Tracy Thorn vocal) 


今日は父の代行で陶芸体験を担当していました。

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人に物事を教えるのは一番の学習方法だと言いますが、陶芸でもそんな感じのところがありまして、普段自分では無意識でやっていることも、ひとに言葉で説明しようとすれば、それらがどのような仕組みで動いているのか客観的に捉え直す事ができ、違う角度から物事の本質に迫る事ができると思います。


だからもし陶芸教室をやるんだったら、やる気のある人を2~3人 教える側に回して、自分は何もせずにペロペロっとそれっぽいこと言ってれば、お客さんがお客さんを教えてくれて、後は教える人と教えられる人が その人の技術のステージに応じて自主的に教えあってくれれば、マルチ商法みたいに自分はシンボルだけやってればいいので楽なんじゃないかなと思いました。


まあ庚申窯ではそんな感じの月謝制の陶芸教室はしておりませんで、予約した1組ごとの単発的な陶芸体験をやっております。その担当は主に父なのですが、その父がどうも腰をやっちまったみたいで今日は私が代理をいたしました。


陶芸家にはいくつか職業病があって、「お店で食事をした際にお皿の裏側を見ずにはいられない病」や「地層が見えてると土を確かめずにはいられない病」などがあるのですが、そのうちの一つが「腰痛」になります。


腰痛は陶芸家だけでなく伝統工芸従事者にめちゃくちゃ多いんですが、ほとんどの伝統工芸というのは「 座ったままで手元で作業を長時間♪」というのがお決まりになってますので、腰を悪くしやすいんですね。


腰というのは体の要(かなめ)と書きますように、体を動かす上で大変重要なところ。なので腰をやっちまうと もうどうしようもありません。これは野生動物だったらすぐ死ぬやつです。しかし腰痛というのは人類が立ち上がってしまったからできてしまった病気なので彼らはそもそも腰痛にならない。てことは腰痛は人類病と言ってもいいかもしれませんね。

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人間が立ち上がりさえしなければ腰を痛くすることもなかったのに。しかし立ち上がらねば伝統工芸は全て存在しなかったのでいやはやなんともかんとも。生きるための仕事で腰が悪くなるのは もうしょうがないということで、この腰をなるべく労ってうまく付き合っていかねばなりません。


もの作りには肉体も大事ですが精神も大事です。しかし私は、精神というのは肉体の落とす影のようなものだと思っていますので、体が良くないと いいコンディションで何かを作ることはできません。


まあこの精神と肉体によるパフォーマンスは ひねくれてるところもあるので、体がボロボロで精神が発狂しそうな時にどえらいもんを作り出してしまうこともあるのですが、そんなもんが長続きするわけもないので、やはり体が健康に越したことはありません。


そんな大切な体の要である腰は最重要器官でして、私も去年くらいにやられてそれ以来腰には気を付けているのですが、整体の先生に聞いたところ腰を健康に保つには、いい姿勢を心がけて腹筋背筋と太ももを鍛えて、しっかりストレッチや休息をするという、何一つ面白みのない対策を授けていただきました。


結局のところ運動すれば解決するということなのですが、私は世間と経済事情が許すならば毎日だらだらと寝ていたいタイプで、運動というのは本来苦痛なものだと思ってますから、

運動すると細胞が酸化して老けるとか、膝関節を痛めてしまうとか、日光を浴びるとさらに老けるとか、なるべく運動をしないための理論武装をしておりましたが、腰が痛いとほんと もうどうしようもないので渋々考えを改めております。


ということで私の腰対策としては、夜中に庭で体操した後、マットを引いてストレッチするっていうのと、 あ、まあ、そのくらいですね。後はやるといいんだろうなーと思っているだけでやっていないというやつです。ええ、私は大体そのパターンです。


やるといいであろう筋トレを できないことの大きな原因は、休日を制定し忘れたという事があります。休日が明確にあると その日は仕事を一切せず体を動かそうとかなるかもしれませんが、割と毎日働いてしまってるので 腹筋やら背筋やらをやる気分になれないのです。もうエネルギーは全部使っちゃってる感じ。


そして筋肉が衰えていくからさらにエネルギーの総量は減少して、さらに運動に回すエネルギーは減るというデフレスパイラルみたいなことになっております。


だからそれはいかん!と今年の頭に思い立ち、福智町にある1時間100円という大変コストパフォーマンスの良いジムに行こうと決めた矢先、コロナウイルスによる騒動でそのジムは病院併設ということもあって閉められてしまい、「やっとこさ運動する気になったのにお前(ジム)がさせねーのかよ!なんだよもう!」とふてくされて今に至ります。


ただ夜中のストレッチだけでもかなり改善されたので、私と同じく運動嫌いな方はストレッチだけでもいいのかもしれません。まあでも私は成人男性の平均よりは体が柔らかい方なのでストレッチとか瞑想しながら楽にやれるので、体がかたい人はあまり向いてないかもですね。そんな人は金で解決してください。


おれ

高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目

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