マガジンのカバー画像

エッセイ・コラム・日記

18
実際に考えていることとかあったこととか
運営しているクリエイター

#サボテン

祖母の家

祖母の家

赤いほおづき
祖父の好きだった青い祖母の杖
艶のある黒い仏壇
鈍い金のお鈴

薄暗い家屋の中で
ぼんやりと白い光を放つサボテンの花が
生を終えるのを黙って待っている

止まった記憶の中で
食パンみたいな色の柴犬だけが
毛並をふわふわとさせて
鼻をしっとりと濡らして
かちゃかちゃと音を立てながら
忙しなく板の間を歩いている

今はもう取り壊された祖母の家

花開くサボテン

花開くサボテン

花びらの一枚一枚が重なり会う中で、肉が薄く光で透けているところ。
日の光が差すと花びら一枚一枚の姿が露わになるところ。また、恥じるように閉じていくところ。
丸々と純朴な身体、それとは若干似合わない艶があって肉厚で毛の生えたどこか艶めかしい茎、花の大輪で華美だけどどこか儚げな雰囲気、尖った棘の反抗心。
しっくりと鉢に収まった親株と、乱れ生えた子株達。
全てを晒した後、昼には首を垂れて貞淑な姿。
一夜

もっとみる