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いのちの日

7月9日が「いのちの日」になって
もう24年も経ってしまった。

忘れもしない。
その日は金曜日だった。
一週間の仕事を終えて自室で寛いでいたところに
突如血相を変えて飛び込んで来た母の姿を今でもはっきり覚えている。

わずか24歳という若さで
自ら人生の幕を降ろしてしまったという事実を目の前にして
「彼の人生って、いったい何だったんだろう」という無念な気持ちを
私は長年引きずっていた。

その後月日が経ち
私もいろいろあって心理学と出逢うこととなり
心理カウンセラーの道に進んだ。

そしてそこで
同じような苦しみを持った方からの経験として
学ばせていただいた言葉の中に
「残された人がその意味を作る」とあった。

残された側の一人として私が見た景色。

泣きじゃくる彼の妹の姿。
呆然とし、追いかけようと荒れ狂う彼の彼女の姿。
そして
もはやどう表現していいかわからない、残された彼の両親の姿。

「まさか息子のために自分が先に墓を立てるとは思わなかった」
という言葉が忘れられない。

私は彼から
「どんな辛いことがあっても
自分の両親には同じ思いをさせないように」
というメッセージを受け取った。

彼のおかげで
その後の人生で辛かった時期も
彼と同じ道を選択することだけは辞めようと思えたのかもしれない。


もしも今、時を巻き戻すことができたとしたら
彼に寄り添って
彼の話を何時間でも聴きたい。

そんな選択をしてしまうほどに
彼を苦しめていたのはいったい何だったのか
それをじっくり聴かせてもらいたかった。


人は理屈ではなく感情で生きている。
どんな感情であれ、
自分が感じたことを否定するのではなく
「そう感じた自分」をしっかり受け止めてあげることがまず大切だと
私は思っている。

でも、いつも自己完結できるわけではない。
むしろ、自分で冷静にネガティブな感情を受け止めることは難しい。

難しいからこそ、
「周りの人の存在」が大切なんだと思っている。

自分を取り囲んでくれている
全ての方々に感謝を。

そして、命を懸けて
大切なメッセージを教えてくれた彼にも
改めて心からの感謝を。

「いつも見守っていてくれてありがとう」

今日はそんな「いのちの日」


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