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読書感想文&映画鑑賞文【第三の男】グレアムグリーン

noteの更新が止まっていましたが
シレッと再開します

今年最初の読書感想文は
私が愛してやまないイギリスの巨匠
グレアムグリーンの【第三の男】
グレアムグリーンが大好きなので
何度も同じ小説を読みます

まずは小説【第三の男】から

作家のロロ・マーティンズは、友人のハリー・ライムに招かれて、第二次世界大戦直後のウィーンにやってきた。だが、彼が到着したその日に、ハリーの葬儀が行われていた。交通事故で死亡したというのだ。ハリーは悪辣な闇商人で、警察が追っていたという話も聞かされた。納得のいかないマーティンズは、独自に調査を開始するが、やがて驚くべき事実が浮かび上がる。20世紀文学の巨匠が人間の暗部を描く名作映画の原作。

小説【第三の男】の冒頭は
作者グレアムグリーンの序文から始まる
この小説を書く至った経緯だ

『第三の男』は読んでもらうためにではなく、見てもらうために書いたものだ

小説の映画化ではなく
映画のための小説化なのである

グリーンは脚本家ではなく小説家なので
映画のために脚本を書くということができず
結局、小説を書くことになったのだ

ある日、映画監督のキャロルリードから
脚本を頼まれたグリーンは
封筒の折り返しにメモしてあった文章を思い出した

「1週間前に、私はハリーに最後の別れを告げた。それは彼の棺が凍った二月の地中に収められた時だった。だから、彼がストランドの人混みの中を、知らぬ顔をして通り過ぎていくのを見て、私は信じられなかった」

グリーンがキャロルリードに提供できる文章は
この短い一節しかなく
ここから物語を作るしかなかった

私も思いついた情景や人物描写の文章を
スマホのメモにつどつど書き残している
どこでどう物語に繋がるかわからないからだ

そしてグリーンはつぎのように書いている

事実、この映画は物語よりも良くなっている。それはこの場合、映画は物語の決定版であるからだ

個人的な体験のなかで
原作の感動を映画が超えたことのなかった私は
興味津々だった

いかんせん、1949年の白黒映画をみるには
なかなか腰が重く
何度も小説を読むだけに終わっていた
そして時代は進み
なんと!アマゾンプライムで
映画【第三の男】が見られるではないか!
ということで
初めて観てみました

キャロルリード監督【第三の男】

画像1

するとすごい発見があったのだ!!!

映画【第三の男】の中に挿入されている曲
「ハリーライムのテーマ」
これ、日本人なら全員知っている曲なのだ!
多くの人はビールのCMソングだと気づくはずなのだが
奥田民生率いるユニコーンファンの私は
今までずっとユニコーンの曲だと思っていたのだ!
ユニコーンの曲をビール会社がCMで使っていると思っていた!
が、なんと【第三の男】の曲だったという発見(笑)

知らなかったわー
そして改めて
ユニコーンの歌詞カードを再確認すると。。。

画像2

「命は果てるまで〜第三の男〜命果てるまで」

なんとー!!!!
ちゃんとクレジットに「第三の男」って書いてあるじゃないか!
当時小学生だった私は
流行りの曲を聞くだけの子供だったので
わからないものを
掘り探ったりするような意識は無しだった
(検索が今のように簡単な時代でもなかった)

こうして大人になってから
大好きなグレアムグリーンとの出会いが
実は小学生の時だったという驚愕の事実と
奥田民生が映画【第三の男】を挿入曲で使うという
センスの良さを知ったのだ

こうして話が鬼のようにズレたが
第二次世界大戦後の4大国占領下のウィーンで
暗く悲しい物語であるにも関わらず
終始流れるこのポップな曲と
白黒フィルムが相まって
悲壮感をほぼ感じず
むしろチャップリンのようなコミカルさを
感じながら見ることができた

原作と映画での大きな違いは
ラストのシーンだ
ここはキャロルリードのアイデアで変更された
これ本当にどちらも最高なの
小説のラストシーンも
映画のラストシーンも
本当に甲乙つけがたく選べない
ラストがこんなに違うのに
どちらも良いだなんて素晴らしすぎる!

ぜひともグレアムグリーンの【第三の男】は
小説と映画セットで楽しんでもらいたい



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