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私の周りのやさしい言葉つかいたち

 最近は書きたいことがいっぱいあるけど上手く記事にまとめられずどんどん中途半端に書いたのが下書きへと溜まっていっている。


 スッキリしない!

 とりあえず一番終わらせられそうな記事からどんどん片付けていこうと思う。


 まず、なぜ自分がnoteを始めたかというと、
「言葉」が好きで、思っていることをどう言葉にするかを考えるのが好きだから、というのが主な理由だ。

 本では言葉遣いによってその物語の世界観が出来上がったり、人との会話の中では些細な言い回しや表現の仕方から相手の性格を知れたり、言葉にはただの情報伝達以上の力があると思う。

 私はその中でも、その言葉が届いたときに優しさや温かみを感じれるような言葉遣いが好きだ。


 以前バイト先で上司が新しい机や椅子を組み立てていた時、一人のバイトの子(以下「S」と称する)が上司に「一緒にやってもいいですか〜?」とニコニコしながら言い、組み立てを手伝い始めたところを目撃したことがあった。

 なんか素敵だなぁ、とそれを見てポカポカした気持ちになった。

 もしここで S が「手伝いましょうか?」や「手伝いますよ!」と言っていたら上司の返事は「いいの?ありがとう!」もしくは「自分でできるから大丈夫だよ!」とかそんな感じだったと思うが、S が「一緒にやってもいいですか?」と聞いたところで上司の返事は「いいよー!」となった。

 みなさんはお気づきだろうか。

 「手伝いましょうか・手伝いますよ」への返事は、上司が「やってもらっている感」が出てしまうが、「一緒にやってもいいですか」に関しての返事は、上司が「やらせてあげてる感」が出るのだ。
 2つ目の方が上司に気を遣わせることなく、さりげない。

 よく「本当の優しさは相手に気を遣わせないことだ」みたいな言葉をよく耳にするが、その言葉の実写版をその場で見たような感じがし、感心した。


 この「相手に気を遣わせない優しさ」だが、やっぱ難しいな〜と思った出来事が最近あった。

 数日前、駅の階段で女性がスーツケース2つを一人で持って上ろうとしていたので、声をかけたのだが、私の口からは咄嗟に「持ちましょうか?」という言葉が出てしまっていた。

 やはり少し気を遣わせてしまったようで、最後に彼女は申し訳なさそうにお礼を言ってくださった。

 この場合私は何を言えば彼女に気を遣わせずに済んだのだろうと考えたが、なかなか答えが出てこなかった。

 先述したバイト先の机の事例では、机の組み立ては工作みたいで楽しいと感じる人がいるという事実が存在するような作業なため、「楽しそうだから僕もやってみたい!」というようなニュアンスで「一緒にやってもいいですか?」と聞いても大丈夫だったが、スーツケースを持って階段を上るのに「楽しそうだからやってみたい!」はなかなか珍しいし、本当か?と疑ってしまう。

 臨機応変かつ瞬発的に優しい言葉遣いができるのはやっぱ才能なのだと感じ、改めてSに感心した。


 相手に気を遣わせないやさしい言葉遣いも好きだが、言葉ひとつで文章全体にほんわかな雰囲気を作り出せる言葉も好きだ。

 私は読書が好きで、好きな作家さんはたくさんいるが、小川糸さんの小説の世界観が特に好きだ。

 小川糸さんの作品では、ささやかな日常が穏やかに、温かく描かれている。それを作り出す小川さんの言葉選びは、とても繊細で魅力的だ。

 初めて読んだ小川糸さんの作品、『ライオンのおやつ』では、「ほんのり好き」という言葉が使われていたことがものすごく印象に残っている。
 「少し好き」、「ちょっと好き」でもなく、「ほんのり好き」。
 その言葉はとても想像しやすくて、好きと言う感情に淡い暖色が何色かついたように見えた。
 言葉一つでこのように読者の心を温かくできるなんて言葉って素敵だなぁって思った瞬間だった。


 ここまで書いてふと思ったことがある。

 「優しさは何を言うかではなく何を言わないかだ」みたいな言葉もよく耳にするが、もしかしたら日本人の心には無意識的にこの言葉が刻み込まれているのではないか。

 英語では割とストレートに自分の意志を表現する文化があるが、日本語は「空気を読む」文化があるからなのか、雰囲気で伝える言葉が多いと感じる。私はこれを日本語ならではの美しさだと思う。
 伝達者のはっきりと言えない不器用さ(逆に器用さも必要かも)と、受け取る側の鋭さ(それが求められているものなのか否かは別として)がどうマッチするかが個人的に面白いと思う。

 もちろん、過剰に雰囲気で伝えすぎたり遠回しの言い方ばかりしていると「え?で?」と思われてしまうので、どこをはっきりと言ってどこを遠回しに伝えるかの塩梅が難しい。


 色々と思うこと、書きたいことはあるが、多分これに尽きるんだろうなって思うことがある。

 やっぱり私はやさしい言葉つかいになりたい。

 自分が発信する言葉で周りを温かい気持ちにさせたい。

 まだまだ道のりは長そうだが、周りのやさしい言葉つかいたちからその魔法を伝授してもらおう。


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