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【札幌・北海道でビジネスを始めよう!】スタートアップに最適な10の理由

こんにちは、マルゴト株式会社コンです。「札幌・北海道にはポテンシャルがあって伸び代が大きい」とこれまで散々言われ続けてきました。

ただ、実際のところはどうなのでしょうか?

すごそうだな、可能性大きそうだな、という「なんとなく」で語っている方が多いような気がします。

この記事では、「なんとなくすごそう」という考えの解像度をググッと上げる「札幌・北海道がアツい10の理由」を、客観的な事実(ファクト)と主観的判断(肌感覚)をミックスしてお届けしようと思います。この記事では大雑把かつ網羅的に書いてみます。

道産子の方々には「やっぱり自分達が住む札幌・北海道ってすごいじゃん!」と思っていただき、道外の方々には「こんなに札幌・北海道ってすごいのか、何かやってみようかな」と少し気になってもらえれば嬉しいです。この記事は合計13,000文字ほどになんとか魅力を詰め込みましたので、ぜひ札幌・北海道をビジネス面から知る入門書としてお楽しみください。

この記事はコンが構想していたアイディアを元に、現役小樽商科大の学生(休学中)の神門崇晶さんに下記すべてを執筆してもらいました。

それでは「札幌・北海道がスタートアップに最適な10の理由」、どうぞ!

その1 「チャレンジがしやすい」から

後述するフロンティア精神にもつながることですが、北海道はよく「チャレンジがしやすい」と言われます。

北海道にずっと住んでいると全く気づかないのですが、本州から移住してきた方々と話していると「みんな変なナワバリ意識がなくて、とてもオープンだから仕事がしやすい」とよくおっしゃっています。実際に北海道各地では様々なチャレンジが行われています。

大樹町 / インターステラテクノロジズ

通称ホリエモンロケットで有名な、日本のロケット産業の先陣を切る企業です。企業の前身となる組織は2005年に結成されており、2013年から本格的に事業を開始しました。「なぜ大樹町なのか、そもそもどこ?」と北海道民でも思ったのですが、複数の理由があります。1つは、東と南が海で囲まれており自転とロケット発射の相性が良いため。そして、1985年から一貫して「宇宙のまちづくり」を町が掲げ続けていることが大きいと考えられます。35年以上にわたる地道な活動が、今や日本の未来の産業を育成する場所となったのです。


ニセコ町 / ニセコミライ

今や、グローバル規模のスノーリゾート地となったニセコ町ですが、このニセコミライは官民連携まちづくり会社である「(株)ニセコまち」が手掛ける次世代型シティです。

2018年、ニセコ町は内閣府によるSDGs未来都市に選定されました。このまちは、持続可能な町として環境・経済・社会の課題にバランスよく対応する開発を目指します。ニセコ町は北海道でも珍しい人口増加(特に社会増加)自治体で、住宅不足が地域課題でした。

このような背景がをもつまちとして、自治体が抱える都市経営課題の解決と、未来のまちのモデルを提示する例となりそうです。

積丹町 / 岬の湯しゃこたん

人口2000人に満たない、北海道の西岸に位置する積丹町。

ここに「岬の湯しゃこたん」という長年愛されてきた温浴施設があります。元々は町営でしたが年間3000-4000万円の赤字を出し続けていたため、2021年限りで町が運営権を手放すことになり、存続の危機に陥りました。そこで、この施設を核としたまちづくりを行う企業ができました。それが「SHAKOTAN GO」です。

このSHAKOTAN GOは、施設に隣接する「積丹スピリット」というクラフトジンの製造会社と、SAPPORO Incubation Hub DRIVEの運営会社である「大人」のそれぞれの社長が手を取り合ってできました。

2023年2月には、「北洋SDGs推進2号ファンド」から追加支援をうけ、宿泊施設の開業や、ジン製造で使うハーブを活用したボタニカルサウナの運用を行っていく予定です。


旭川市 / 旭川はれて

元政治家で現在は投資家・コメンテーターなど様々な事業を行う杉村太蔵さんが、生まれ故郷である旭川市に「旭川にかつてないワクワクをつ」をコンセプトにOPENさせた商業施設が、「旭川はれて」です。杉村さんはこの施設の運営会社である「Coco Harete」の社長となり、商業による地域活性化にチャレンジされています。この施設には飲食店25店舗が出店されています。ナショナルチェーンの店舗はなく、全て地場資本による飲食店です。

日本で初めて歩行者天国が始まったとされる「旭川平和通買物公園」がJR旭川駅まで伸びており、かつては中心部が賑わっていたのですが、次第に空洞化していきました。旭川はれてはこの買物公園に隣接しており相乗効果が期待できます。
杉村さんの思いはこちらのインタビューから知ることができます。

砂川市 / みんなのすながわ

かつて、北海道で石炭が主要産業だった時代に発展した砂川市に工場をもち、日本国内だけでなくロンドンにも出店しているコスメティックブランドである「シロ」が中心となって進めているまちづくりプロジェクトです。

創業地である砂川市内に、新工場と付帯施設の複合体である「みんなの工場」を建設中で、2023年4月に完成予定のプロジェクトです。

「みんなの」という名の通り、市民自らがまちづくりに関われるように継続的かつ定期的にワークショップを開催しています。このプロジェクトの目的は「シロが100年続くブランドである」ということであり、地域の存在と企業ブランドを融合させている、とても魅力的な取り組みです。

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その2 「3つのビッグイベント」があるから

そんな各地でのチャレンジングな取り組みを後押ししそうな、3つのビッグイベントがこれから待ち受けています。

1つ目は、北海道新幹線の札幌延伸
2つ目は、札幌オリンピック
3つ目は、待ちに待ったボールパークの開業です。

北海道新幹線延伸(2030年)

1つ目は北海道新幹線の延伸です。

2012年から計画が始まり、2016年に新函館北斗駅が完成しました。元々は札幌延伸は2035年予定でしたが、おそらく2030年の札幌オリンピックに合わせる形で計画が5年前倒しされました。

あとは札幌延伸を残すのみというところですが、残土処理や工事費の増加など暗雲が立ち込めてきています。最も理想的なのは、2030年に新幹線開通と札幌オリンピック開催が同時になされることですが、現実的に難しくなってきていることは否めません。


札幌オリンピック開催(2030年)

2つ目は札幌の冬季オリンピックの開催です。

1972年に札幌オリンピックが開催された時は、地下鉄開通や地下街の整備、高速道路や市内の道路網の拡充、環境に配慮した地域熱供給施設の新設など、2023年現在においても活用されているまちの基盤整備が進みました。開催後、札幌市は政令市に指定されその後も大都市として成長が進んでいきました。

ただ、札幌市は人口が減少局面に突入しており、2030年の札幌オリンピックは前回開催とは全く異なった開催になることが考えられます。また、東京オリンピックの汚職事件が影響し、招致に慎重な声も出てきています。

ただ、2030年の候補地に手を挙げている、バンクーバー(カナダ)は財政上の理由から2022年秋に事実上撤退し、ソルトレークシティ(アメリカ)は28年夏にロスオリンピックが開催されるため、34年への変更を推す声が大きいです。今年に入り、スウェーデンが名乗りを上げましたが、現実的に考えて最も可能性が高いのは札幌市と見ることができます。

仮に、オリンピックが開催されたら、札幌市は都市として新たな姿を見せていくことができると思います。地球温暖化により降雪地域が減少している中で、200万人もの人口を抱えながらウィンタースポーツが盛んで中心部から30分でアクティビティを楽しめる都市は、世界的に見ても札幌市くらいしかないという大きなポテンシャルがあります。そういったことも踏まえても、札幌オリンピックのもつ価値は大きなものがあると思います。

ボールパーク開業(2023年)

最後は2023年3月にスタートするボールパークについてです。

ボールパーク、正式には「HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE」といい、札幌市の南に位置するベッドタウンとして急成長した北広島市に新設され、2023年3月から開業予定です。ボールパークという名前の通り、スタジアムを核として、周囲にはマンションやホテル、グランピング施設、認定こども園など、家族で来たら一日中楽しめることができます。

アメリカではこのボールパークビジネスは多くの球団が行っていることであり、日本のスポーツ産業においてもかなり先進的な取り組みです。HPで公開されている未来図です。

また、この「野球によるまちづくり」は地価という形で数字に早速表れ始めています。

2022年の公示地価上昇率の市町村ランキングを見ると、TOP5は北海道の札幌近郊5市であり、その中でも北広島市が+18.30%と圧倒的な地価上昇が起こっています。行政にとって、地価上昇は自主財源の増加を意味します。地価は固定資産税に直接的に影響するためです。地方自治体の自主財源は市民税と固定資産税がほとんどだからです。

ボールパークは、札幌・北海道のみならず、日本や世界の中でも独自のプレゼンスを発揮していくことが期待されます。

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その3 「EO Hokkaido」ができたから

道内各地のチャレンジングな取り組みや、ビッグイベントは私たちの未来を作っていく重要なことです。

そして、私たちの未来を作るのは紛れもなくビジネスであり、理想とする世界や社会を実現すべく自らが奔走する起業家です。そんな起業家ネットワークが北海道にもあるのです。

現在61ヵ国、292チャプター、14,000名以上のメンバーによって構成されている、Entrepreneurs’ Organization(起業家機構、通称EO)という合計の年商が100万ドルを越える会社の若手起業家の世界的ネットワークがあります。その日本支部であるEO Japanが1995年にアジア初として創設され、2022年にEO Hokkaidoが新設されました。

「起業家の力を結集し、北海道の産業と暮らしの質をGlobal No.1 にする!」が理念であり、メンバーには北海道経済を牽引する経営者が名を連ねています。

経営者間における情報共有やメンタリング、月一回のミーティングが行われ、経営者ネットワークを活かした経済振興が行われています。また、「EO北海道インキュベーションプログラム」という、年商規模1億未満の起業家を対象にした起業家育成プログラムもあり、未来の北海道経済を担う人材育成にも力を入れています。

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その4 札幌内で「上場」できるから

ビジネスに金融は必要不可欠です。

銀行からの融資やVCからの出資などいろいろな資金調達方法がありますが、その一つに株式取引があります。日本には証券取引所が4つあります。東京、名古屋、福岡、そして札幌です。

札幌証券取引所(以下札証)は戦後間もない1949年に設立されました。2000年には、マザーズやジャスダック(現東証グロース)よりも上場基準が緩い、新興・成長企業市場アンビシャスを新設しました。札証には北海道に本社を置く企業が多く、58社(アンビシャス含む)が上場しており、そのうち単独上場銘柄は16社です。北海道のパン製造メーカーである「日糧製パン」や、北海道の陸上交通の雄である「北海道中央バス」、そしてあの「RIZAPグループ」も上場しています。

東証などとの重複上場も可能なため、道内ドラッグストア大手の「サツドラHD」や「北の達人コーポレーション」、「北海道電力」なども上場しています。ただし小規模上場のため、売買代金は2017年の約3000億円がピークで、2022年は約120億円となっています。

このように、札幌市・北海道には地場に根ざした金融システムという、ビジネスをしやすい土壌があります。

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その5 「DAO的経済コミュニティ」があるから

「日本のGDPは6割が地方」という事実をご存知でしょうか?

正確には三大都市(東京・大阪・名古屋)をもつ都府県以外のGDPを指しますが、日本経済は地方経済の方がウェイトが高いのです。これを裏付けるデータとして、三大都市の経済成長率は全国平均よりも大幅に小さいこともわかっています。この事実がわかる記事として、社会起業家であり今回ご紹介する経済コミュニティ「えぞ財団」発起人である木下斉さんと、神門が共同連載したものを紹介します。

つまり、「東京・大阪・名古屋が栄えて日本が栄える」という時代はすでにに終わっており、地方経済こそ日本経済浮上の大きなカギである、ということができます。そこで立ち上がったのが、北海道経済コミュニティである「えぞ財団」です。

えぞ財団は、時価総額100億円の道内ドラッグストアチェーンであるサツドラHD社長であり、EOHokkaido副理事でもある富山浩樹さんと木下斉さんが共同発起人として立ち上げ、人口5000人の厚真町という小さなまちで「ミーツ」という地域発MaaSとしてまちづくりを行う成田智哉さんが団長として、2020年にできました。

個人団員は月額1,000円を払うことで、えぞ財団noteの購読や、Facebookコミュニティなどへの参加が可能になります。法人会員は年額80,000円で「EZO OPEN SCHOOL」への優先参加&割引などの特典があります。

もし、北海道経済についてもっと詳しく知りたいという方には、神門の連載記事「北海道経済入門」をぜひ読んでくださると嬉しいです。

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その6 「フロンティア精神」があるから

次は、北海道の歴史・文化的な側面です。

北海道は明治時代になるまで蝦夷地と呼ばれ、江戸幕府の直轄領になったこともありましたが、未開の地でした。多くの人が来るようになったのは明治以降で、東北・北陸を中心に本州の様々な地域から開拓者としてやってきました。

開拓者にもさまざまな種類があります。例えば、明治初期は開拓使が中心となって札幌から開拓を行なっていきましたが、それだけでは人が全く足りなかったので、屯田兵と呼ばれる開拓者が入ってくるようになります。約30年間北海道の開拓に尽力しました。

過去には民間企業による開拓もなされました。その筆頭は十勝開拓の雄である「晩成社」です。リーダーの依田勉三は静岡で会社を作り、当時の北海道の中でも未開中の未開であった十勝で開拓を始めました。今では、十勝における主要産業は酪農や畑作(豆類)ですが、その栽培を始めたのがこの晩成社であり、農業だけでなくバター工場や缶詰工場を作るなど、農業と製造業をスタートさせました。彼らがいなければ、今の北海道産業はまた異なった形を見せていたかもしれません。

このように、北海道は開拓という変わった歴史的背景をもっており、道外出身者との関わりの中で経済的に成長してきました。それは現代でも言えることです。

例えばロケット産業を担う「インターステラテクノロジズ」を創業されたホリエモンこと堀江貴文さんや、上場企業の「北の達人コーポレーション」の木下勝寿さんなど、北海道経済を牽引する方々には道外出身者も多くいらっしゃいます。

北海道はいつまでもフロンティア、「試される大地」なのです!

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その7 「スタートアップ支援」が充実しているから

スタートアップ都市として有名なのは福岡市ですが、札幌・北海道も負けていません。

札幌市では、2019年度から「STARTUP CITY SAPPORO」と銘打ってスタートアップ支援に力を入れ始めました。スキームは以下の図のようになっており、札幌市・一般財団法人さっぽろ産業振興財団・株式会社D2Garageが主体となって取り組んでいます。

「札幌・北海道から世界を変えるスタートアップの事業成長を支援」という目的を掲げており、スタートアップ向け無料相談窓口である「SCS cafe」や、学生向け起業家育成プログラム「SCS Startup School」、社会人向け起業家育成講座「SCS STARS INCUBATE PROGRAM」など様々なプログラムを行っています。

また、連携事業として、札幌市・経済産業省北海道経済産業局・さっぽろ産業振興財団の共同で、「J-Startup HOKKAIDO」という事業も行っており、これからの北海道経済を牽引していくであろう合計40社がJ-Startup HOKKAIDO認定スタートアップとして認定されています。

例を挙げると、ホリエモンロケットで有名な「インターステラテクノロジズ」や、気球で宇宙へ行くことを目指している「岩谷技研」といった宇宙産業の企業や、アグリテック企業の「ファームノート」、AI映像解析サービスの「AWL」、企業の採用代行とバックオフィス代行を行うマルゴト(当社です!byコン)など、実に多種多様な企業が見られます。

スタートアップ都市は、福岡市だけではないのです!

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その8 多種多様な「コワーキングスペース」があるから

札幌には多種多様なコワーキングスペースが充実しています。今回は、その中でも厳選した7つのコワーキングスペースをご紹介します。

SAPPORO Incubation Hub DRIVE

北海道新聞社ビル2Fに位置しており地下鉄大通駅から徒歩3分、JR札幌駅から徒歩10分という好立地。

2020年の営業開始から、今までの累計来館者数は2万人を超えており、札幌の中でもトップレベルのコワーキングスペースといえます。また、「SCS cafe」というスタートアップ立ち上げ時に抱える相談事や悩み事を直接専門家に聞くこともできます。

実は、神門が学生スタッフとして勤めているので、札幌にお越しの際はぜひお立ち寄りいただけると嬉しいです!

営業時間は平日9:00-21:00、休日9:00-18:00で、ドロップイン利用の場合は2h¥1100、1day¥2200からご利用できます。

Espresso&Work poool

こちらもJR札幌駅・地下鉄大通駅からそれぞれ徒歩5分圏内という好立地。

2021年8月にできたばかりのコワーキングスペースですが、開店早々から人気爆発の場所です。ここを手掛けたのは、国内や海外でコワーキングスペースなどを展開する会社「CO&CO」で、本やアートに囲まれながら仕事をすることができるという、新スタイルのワーキングカフェです。

店名にもあるようにコーヒーに力を入れており、スペシャルティコーヒーのシングルオリジンも用意されています。フードも充実しており、時間単位の利用料ではなくドリンクなどの料金を払って、お仕事ができる空間です。営業時間は平日9:00-22:00です。

EZOHUB SAPPORO

JR札幌駅東口から徒歩11分と少し遠いですが、こちらは一風変わったコワーキングスペースとして独自の立ち位置を築いています。

ここは、「サツドラ」という北海道の地場経済に根ざしたドラッグストアチェーン企業の本社の中にあるのです。コワーキングスペースの横には、大規模なイベントもできる開放的な空間が広がり、ビジネス、リージョナル、アートなど多種多様な約3,500冊の本が置いてあり、会員になると自由に読むことができます。また、他にもイベントスペースがあるため、さまざまな使い方ができます。サツドラHDの社長である富山浩樹さんも普通に歩いていることがあるので、運が良ければお会いすることができるかもしれません。

基本的にドロップイン利用はできず、月額¥16,500を払って会員にならなければいけません。

BYYARD

2023年1月にOPENしたばかりのビル一棟丸ごとコワーキングスペースです。アクセスは、JR札幌駅から徒歩10分、地下鉄西11丁目駅(東西線)から徒歩10分です。

ここは、「FULLCOMMISSION」という札幌に本社を置く、ゲストハウス事業・不動産事業を行う企業がプロデュースしました。1Fから6Fまでワーキングスペースやシェアオフィスやミーティングルームがあります。

西11丁目近辺は中心部から近いにも関わらず、市電が走っていたり喫茶店が多くあるなど、札幌市の中でも昔の札幌の面影がある場所です。また北大植物園もあり、自然や札幌らしさを感じる場所でもあります。

このように、札幌市には様々な性格をもつコワーキングスペースがあるので出張の際も困ることはあまりありません。そして、何よりコワーキングスペースではそれぞれの場所にネットワークやコミュニティができます。このような存在が、地域経済やビジネスの成長に寄与しているのです。


es Village

こちらは、すすきのに佇む一風変わったコワーキングスペースです。

コワーキングスペースではあるのですが、ドロップイン利用はできません。ここを利用するには「村民」になる必要があります。

Village PROJECT とは?
Village PROJECTは、飲食店をベースとした月額制コミュニティスペースサービスです。

村民になる事で、「村」として登録されている飲食店を「働ける」「学べる」「遊べる」「繋がる」 場所(コミュニティスペース)として、使える「滞在型飲食店」プロジェクトです。

Villageという名のとおり、ここはまさに札幌の繁華街ど真ん中にある、1つの村です。

きっかけはコロナでした。コロナ渦になる2020年以前は飲食店のみの営業でしたが、コロナによって売上が8,9割減少したことに対する施策として、既存の飲食店を架空の「村」に見立てて、「村民」としてワーキングスペースを利用する、という今までにないスタイルの飲食店となりました。

今では「すすきの村」以外にも旭川に2つ村があります。そして、とうとう「ノボリコタン」という実際の村を北海道余市町に開村するとのことです。
es Villageは、飲食店やコワーキングスペースという概念の枠を飛び越えた、オリジナルな空間です。

bokashi

2022年にOPENした、大通とすすきのの中間に位置するコワーキングスペースです。両駅から徒歩5分と好立地です。

ここは、食・農を入り口に意志ある循環社会の形成を目指す複合スペースです。1Fは産直マルシェとダイニング、2Fはごはんつきのコワーキングスペースとレンタルスペースがある、という個性的なコワーキングスペースです。

¥550/h でドロップイン利用ができ、イベントスペースとしても利用できます。


IKEUCHI LAB

2022年10月にOPENし、大通駅・すすきの駅から徒歩5分と好立地です。bokashiのすぐそばに位置します。

このコワーキングスペースが入るIKEUCHI GATEは、かつて札幌市民から愛された「丸ヨ池内」という百貨店が源流です。現在でも池内グループとして百貨店協会に加盟していますが、いわゆる百貨店という雰囲気はほとんどなく、テナントビル形態をとっている珍しい百貨店です。

このIKEUCHI LABはそのような歴史をもちながらも、「欧州各都市のイノベーションエコシステムと北海道とを繋ぐハブ」という独自の存在価値を持っています。

フィンランド、デンマーク、エストニア、フランスなどのスタートアップ支援機関とのネットワークをもちつつも、IKEUCHI LABが独自に11の地域再生プロジェクトを立ち上げ、オープンイノベーションに向けた場と機会を用意する、というグローバルとローカル双方の視点を併せもっています。

北欧はスタートアップが盛んであり、北海道とも気候などの類似点も多いので、北海道と北欧が経済的につながっていくきっかけになることが期待されます。

¥750/h でドロップイン利用もできるので、ぜひご利用してみてください。

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その9 「Web3 city Sapporo」 という萌芽があるから

1970-80年にかけて札幌市は日本の中でのIT先進地域でした。後にその時代のことをシリコンバレーにちなんで、「サッポロバレー」と呼ばれました。有名な例としては、桃鉄やボンバーマンの生みの親である「ハドソン」は札幌で生まれ、初期のソフトバンクを支援したことでも有名です。この支援があったおかげでソフトバンクは企業として大きく成長しました。この秘話はとても面白いです。

そんな歴史をもつ札幌市ですが、「Web3 city Sapporo」と謳い、IT先進地域の再興を狙う企業が、ふるさと納税NFT・観光NFT事業を行う「(株)あるやうむ」です。神門自身、あるやうむの創業者である弱冠25歳の畠中さん(通称29おじさん)と親しいのでよく話すのですが、学生時代から地方創生を専門とし、NFTというWeb3テクノロジーによって地域経済に寄与したいという強い思いを込めて、事業をされています。

サッポロバレーの時代には、JR札幌駅を中心に30-40社ほどIT企業が集積していました。「Web3 city Sapporo」はその時代の再起を図っています。そして、2023年3月現在、Web3スタートアップはあるやうむを含めて現在3社存在します。2社目の「Zenesis」はVRNFTアート制作アプリやVRトレーディングカードゲーム事業を行っています。3社目は、Yokai BreedersというNFTゲームの制作会社である「Seretan」です。両社はともに29おじさんからの様々なサポートを受けて資金調達を行い、サービスリリースにまで至っています。

未来を作る産業の芽が、札幌市から生まれてきています。

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その10 「生活環境」が優れているから

さて、最後の理由は、すべての事柄に関係してくる生活環境です。

生活環境の中で重要なものは衣食住です。今回は「食と住」に絞ります。

はじめに「食」についてです。 北海道の食が文句なしに美味しいこと関してはもう周知の事実なので、違った角度から北海道の「食」について切り込んでみたいと思います。それは、北海道の食料自給率産業的特徴です。

自給率が高いことと食が美味しいことには関係性があるのではないかと考えています。なぜなら、自給率が高いことは生産地と消費地が近い、ということであるとも考えられるからです。2019年度の北海道の食料自給率を見ると、カロリーベースでは217%で全国1位でした。

次に産業構造を見ていきましょう。第一次産業の構成比が全国1.0%なのに対し北海道は3.9%と全国平均の4倍の規模を誇ります。その中でも、水産業と農業のウェイトが高いです。

水産業ではホタテの生産量が年々増加しています。特筆すべき市町村として、北海道の北に位置する猿払村が挙げられます。この村は人口2600人の小さな村にも関わらず、ホタテの養殖が稼げる産業として確立されており、2017年の1人あたり年間所得ランキングでは港区→千代田区に次ぐ全国3位の平均年収813万円になるほどです。

また、農業においてはNHK朝ドラ「なつぞら」でも扱われたような畜産業も主要な稼げる産業です。特に、なつぞらの舞台でもあった十勝地方では機械を使ったアメリカ式の大規模農業が行われているため、農産物の販売規模が全国平均500万円、北海道3000万円に比べて、十勝は5600万円と裕福な経営体が突出して多いことが特徴です。

次は「住」です。

まずは最もわかりやすい指標として5大政令市(札幌・東京・名古屋・大阪・福岡)の家賃を比較してみると、札幌市が圧倒的に家賃が低いことがわかります。よく比較対象として挙げられる福岡市よりも1-2万円安いですね。都心部に当たる中央区・北区でも3.6万円前後なので、金額的にとても住みやすいと思われます。

また、札幌市は都心部からアウトドアアクティビティなどへのアクセスが抜群に良いことも特徴です。例えば、スキー場に関して、良質な雪条件で滑ることのできる「札幌藻岩山スキー場」や「さっぽろばんけいスキー場」までは中心部(JR札幌駅)から車でたったの30分で行くことができます。

温暖化の影響で世界的に降雪地帯が減少しているという背景があるためスノーアクティビティができるだけで希少性が高まっていることに加え、200万人という大都市であるにも関わらず、自然との距離が近いというのは都市としてかなりの魅力です。海外に向けて「スノーリゾートシティサッポロ」というコンセプトもスタートしています。

また、いまやブームで止まらない勢いのサウナもアツいです。

札幌ではサウナシュラン2018・2019に2年連続ノミネートされたされたニコーリフレが有名です。また、サウナシュラン2020にノミネートされた帯広市の北海道ホテルは、「十勝サウナ協和国プロジェクト」の中心的な立ち位置です。十勝はエリア全体で温泉施設やホテルが連携してサウナに力を入れており、本場フィンランドのAVANTOを体験できる湯宿くったり温泉レイクインが最近では注目されています。

凍った湖を切り抜いて作る、0℃の天然水風呂に入るコンさん @十勝くったり湖

それだけではなく、かつての産炭地であった岩見沢市のメープルロッジや、世界自然遺産知床半島にありサウナシュラン2021・2022にノミネートされた北こぶし知床 ホテル&リゾートなど、北海道は旅にも最適です。さらに、サウナーであれば知らない人はいないであろうTTNEの「ととのえ親方」は実は札幌在住の方なのです。

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まとめ 

これらが札幌・北海道がスタートアップに最適な10の理由でした!

1 「チャレンジがしやすい」から
2 「3つのビッグイベント」があるから
3 「EO Hokkaido」ができたから
4  札幌内で「上場」できるから
5 「DAO的経済コミュニティ」があるから
6 「フロンティア精神」があるから
7 「スタートアップ支援」が充実しているから
8  多種多様な「コワーキングスペース」があるから
9 「Web3 city Sapporo」 という萌芽があるから
10 「生活環境」が優れているから

以上です。お読みいただきありがとうございました!

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筆者コメント

「やはり北海道は、試される大地だ」 / 神門 崇晶

2000年から約15年間、「試される大地 北海道」というキャッチフレーズが北海道の代名詞でした。今では変わってしまったのですが、僕はこのキャッチフレーズが好きでした。特に、開拓といったような、北海道独自の歴史を見ると常に試されてきたなと強く感じます。

そして、これから北海道は今までと比較しても、より一層試されていきます。北海道の人口減少は20年前から始まっており、少子高齢化も止まることを知りません。そして、人口の札幌一極集中など、北海道には様々な課題が山積しています。しかし、そのような課題を解決するのはビジネスだと強く信じていますし、今回の記事を書かせていただいて、よりその気持ちは強くなりました。

今回、札幌・北海道のビジネスにまつわる様々なことを、1万字超という大ボリュームでまとめることができてとても楽しかったです。これまで、えぞ財団の「北海道経済入門」などで北海道経済に関するデータやファクトに関しては触れてきましたが、実例を踏まえることで解像度がググッと上がったと思います。

この記事を読んでくださった方々には、ぜひ北海道のいろいろなところに足を運んでいただき好きになってもらい、ゆくゆくは札幌・北海道に移住していただき、一緒にもっとアツい場所にしていけたらいいなと思います。


「地方都市が持つ、ポテンシャルの大きさ」 / 今 啓亮

僕自身は大学卒業まで北海道で育ち、そこから12年間ほど福岡・東京・東南アジアに住みながらビジネス経験を積みました。改めて1年前に札幌にUターンしてきたことで、外からの視点で札幌・北海道の可能性の大きさを感じることができました。

まだ活用されていない広い土地もあり、まだ知られていない食や観光の魅力もある中で、新幹線開通・ボールパーク設立・EO Hokkaido開始などの新たな波が起きる変化も起き始めています。

東京でしかできないこともあるように、地方都市でしかできないこともあります。ポテンシャルの大きさに対して、自分がどこまでできるかまだ未知数です。昨年に東京本社から札幌本社に移した当社としても、なにか挑戦ができないかと模索中です。

もし道外にお住まいの方で、札幌に出張や旅行などに来る機会があればぜひお声がけください!ランチやお茶でもしましょう!

コンTwitter:https://twitter.com/konkeisuke
マルゴト社:https://marugotoinc.co.jp/

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