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記憶の図書館

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読んだ本の記録。
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#本

今という瞬間に集中して -ライオンのおやつ-

今という瞬間に集中して -ライオンのおやつ-

ライオンの家では毎週日曜日の午後3時にお茶会が開かれます。ゲストからの「もう一度食べたい思い出のおやつ」を毎週ひとつ忠実に再現するのです。

小川糸さんの『ライオンのおやつ』を読みました。

ここで言うゲストとはすなわちホスピスの入居者。
ライオンの家は瀬戸内にあるホスピスのこと。

主人公の雫は若くして余命宣告を受け、ライオンの家にやって来ます。

余命宣告。ホスピス。
その言葉を見れば悲しい物

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デザイナーだけがデザインする訳じゃない

デザイナーだけがデザインする訳じゃない

「良い?どんな仕事もデザインを気にすることはできるんだよ。デザイナーだけがデザインする訳じゃないんだから」

新卒で入社した会社で直属の先輩から言われた言葉。
この言葉を仕事中はいつも大事にしています。

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「マルちゃん製麺」のパッケージデザインや「ほぼ日刊イトイ新聞」のおさるのキャラクターデザイン等を手掛ける秋山具義さんの『世界はデザインでできている』を読みました。

自分

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大人と子供、好きと疎ましいの狭間で

大人と子供、好きと疎ましいの狭間で

肉子ちゃんは本名では無い。
そして『漁港の肉子ちゃん』の主人公でも無い。

主人公は、肉子ちゃんの小学5年生の娘、喜久子。
そして肉子ちゃんの本名も菊子。

漁港の焼肉屋の裏に住むキクコ親子の物語。
それが西加奈子さんの『漁港の肉子ちゃん』です。

肉子ちゃんには疑いの心がありません。
誰の言うことも無条件に信じてしまう。だからこそ人から好かれ信頼もされているけれど、同時に騙される回数も少なく無い

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