ライター泣かせの「削ってくださ〜い」
紙媒体の原稿を書いていると、たびたびデザイナーから「1行削ってください」と言われる。
文字数はラフの時点で、決まっている。ざくっと書いた文章量が多かったりすると、彫刻のようにあちこち削ったり言い換えたりして指定の文字数にぴったり合わせる。でも改行が多かったりして計算が狂うとレイアウト上で文字があふれ、あがってきたゲラに「●文字削って。」とメモがあるのだ。(うまいこと調整してくれるデザイナーもいるにはいる)
アナログの組版の時代は、もっと厳密に文字数を合わせなければならなかったわけで、しかも原稿用紙に手書きだった。信じられない……。くちゃくちゃっとまるめた原稿用紙で書斎の床が埋まるのは、リアルな光景だったんだろうな。紙がもったいないから、原稿用紙を埋める前に頭の中で相当整理していたんだろう。アナログ時代のライターや編集者は本当にすごい。
私の感覚では、プロ以外のほとんどの人は、文字数に無頓着だ。寄稿を依頼して、文字数を守ってくれないことなんて日常茶飯事。こちらで編集していい場合は容赦なくリライトするが、文字数を削っても伝えたいことはちゃんと伝わる。しかし、寄稿者が企業のエライ人だったりすると、そのまま載せてくださいということになって、デザイナーに苦しんでもらう。文章はダイエットすればするほど、引き締まって読みやすいのだけどね。
最近は、Webの原稿が増えてきたので、文字数をぴったり合わせる必要がなくなり、楽になった。制約が減ると紙媒体ほど文章に緊張感がなくなってしまうので要注意だ。 レスポンシブで1行の幅が変わるので、見出しが変なところで改行されないように気をつけるとか、Webならではの配慮は必要になる。
今以上にWeb媒体が増えていくと、一般に溢れる文章の雰囲気も変わっていくのではないか。手書きからワープロに変わったときもそうだったのかも。他の人のnoteを読んでいても、百人百様ではあるけれど「noteっぽい文体」というのも一定数存在する。文体が媒体に影響を受けるということもあるのかな。
縦書きで書いたり、手書きで書いたりしながら、マンネリにならないように気をつけようと思う。
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