mika

マニライラストは従妹(あき)作です

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マニライラストは従妹(あき)作です

最近の記事

『メッセージ』(トーベヤンソンの文体を真似てみる)

彼は、ワシントンDCの語学学校に日本のどこか大企業から送られてきているようだった。常識はあるんだけどひらめきがない、というようなコンプレックスを隠さず、隠さないところに好感が持てたわ。自国の国歌を歌うパフォーマンス授業で、彼が私の後ろにいた。「君、君が代、うまいね」と言われて笑ってしまい、その後みんなでアイスクリーム屋に行ったんだけど、彼が私のプラム味を真似した。そしてさらにその後の立ち飲みバーで、本当は僕はプラム味なんか好きじゃないのだと言った。言わんとすることはもちろんわ

    • リスペクト

      最近でこそ加齢による物理的な自己評価下落に悩みもするが、私は私のことがわりとずっと好きである。なんとなく素晴らしいと思っている。が、そこに理由は全然なくて、なぜだろうと箇条書きしようとすると、いけないところが先に立ち、むしろ素晴らしいの逆になる。それなのに、自分の相手となる人に一定以上の質を求めることがある。『相応しい』の言葉にある通り、私が素晴らしいならあなたも素晴らしくなくては、と。もし、相手が素晴らしい行いができなかった場合、まさに「不当に扱われた」気持ちになるのである

      • ナイフ

        以下はマニラ在住時代エッセイの加筆です。 先日ビュッフェレストランでナイフが必要になり、通りかかったウェイターに言いつけると 「イエスマム☆」 と無駄にウィンクされました。何故ウィンクしたのか。 わからないまま時は過ぎ、そしてナイフは来ない。 やがて別テーブルでも、さっきの店員がまたウィンクしているのが見えました。 あきらめて(マニラでは常にあきらめることが大切です)今度はウェイトレスに声をかける。 ナイフと言ったら「ダイブ?」と返され心折れかかるも ねえ、このシチュエーシ

        • マンゴー

          (以下はマニラ時代のエッセイの加筆です。つまり中身は10年くらい前の私です) そんなにたくさんの国に行ったわけじゃないけど、その国独特のにおいは、空港から漂っている。日本は醤油くさいって言うし韓国はニンニク。アメリカはコーヒーの匂いがすると思う。 マニラ空港は、マンゴーのにおいがシマス!もしくはあれはドリアンなのかな。 マニラ空港に着くと「また戻って来てしまった。歯をくいしばって生きよう」と思うので(マジ)、私には「歯を食いしばる生活」がマンゴーの香りが象徴するもの。日本の

        『メッセージ』(トーベヤンソンの文体を真似てみる)

          コーヒーが飲みたい

          以下はマニラ時代のエッセイの加筆です) (仕方なく)遊園地に行きました(郊外)。 「壊れるんじゃないかと具体的に心配で」顔が引きつる絶叫マシンや「大きなネズミが横切るので」恐ろしいお化け屋敷「大きなネズミにうっかり触ってしまう」動物ふれあいコーナーなど想像以上に充実のラインナップです。 しかし入り口では厳しい荷物検査が行われる。厳し過ぎると言っていい。この遊園地はディズニーランドの真似をしているのか食べ物持ち込み禁止なのです。園内で買ってほしいからでしょう。ただし、お金の問

          コーヒーが飲みたい

          ホスピタリティー

          (以下はマニラ時代のエッセイの加筆です) (イラストは従妹が描いています。今回編集できなくてハミ出てる…誰かヤッテクダサイ) 海外在住時の日本食店ほどありがたいものはないのですが、店員は全て現地の人なのでホスピタリティーまで日本を期待することはできません。 「日本語を話すスタッフがいます」と言われても、そのほとんどは、音声をカタカナ表記したくなるような心のこもっていないあれです。 イラッシャイマセとドモアリガトゴザイマシタは、ほぼ全員が連発します。 店に入った途端 アリガ

          ホスピタリティー

          トカゲ

          (以下はマニラ時代のエッセイの加筆です) アニエスベーが好きなのでトカゲも好きです。好きって言ったって食べるわけじゃありません、飼うわけでもない。結局、単にモチーフとして好きなんだけど今日 うちの テレビの中にトカゲ(ヤモリ)が入ってしまい 何故か 画面とそのカバー(としか言いようがない)のすき間に入ってしまい トカゲ(ヤモリ)が影絵のように映ってる!状態になってしまいました(死)。 まさに!モチーフ! しかもレンズ効果なのか、多少デカイ。生きてるからめっちゃ動く。NHKニ

          トカゲ

          スタンダード

          フィリピンにはお手伝いさんがいるので、子どもをまかせっきりにする人もいます。 おもちゃのピアノを買ってやったところ、子どもが鍵盤にドレミを(メイドさんに)書いてもらっていいか聞くので、おもちゃだしいいよと放っておいたら後日 ドレミファソラシドドレミファソラシドドレミファドドレ と見事に「ドが重複」した形で、ローマ字で、しかも油性ペンで書かれている! ということに気付いた友人がいます。 フィリピンに来て間もない頃、携帯もなくてスーパーで時間を尋ねたことがあります。彼は腕時計を

          スタンダード

          ゴキブリと扇風機と私

          マニラ時代のエッセイの加筆です) 軽く手を開いていただいて だいたい親指から人差し指までの距離 そんな長さの 触角をもつゴキブリに遭いました(死) ここに来て早十年、フィリピンの害虫は怖くないとの結論に達しています。だって超☆遅いから~マジウケル~。日本のゴキブリは国民に似ていかにもやり手で異常に素速く狡猾で油断なりませんがフィリピンのゴキブリは国民に似て 何年か前に自宅で(思い出したくもない)7センチくらいの巨大なやつを見て以来、二匹目の南国巨大バージョンです。前回を

          ゴキブリと扇風機と私

          タクシー

          先日一時帰国の際日本でタクシーに乗ったんです。スーツケースを持っていたので運転手さんが、(海外は)どちらから?と聞いてきて、いつもそう聞かれてフィリピンて言うと、やんわりがっかりされるパターンに慣れているのでテンション低めに答えたら 「すげえ懐かしい…」 とか、遠くを見る涙目でつぶやかれて度肝を抜かれました。 聞けば「昔の彼女がマニラ」だとかで(よくある)しかも「本気の恋だった」って。(ある?)「マニラには何回も訪ねて行って…いやあ…楽しかったなあ…(薄笑い)」って。 私「

          タクシー

          パッキャオに会った

          私は2001年から2015年までフィリピンマニラに住んでいたのですが、日々の理不尽や不都合を笑いに変えようと書いたエッセイがあり加筆訂正してみました。 第一回目はやはり、「パッキャオに会った!」(本当に会いました) マニラやパッキャオをよくご存知ない方には「は?」という内容です(笑) 以下 やはり書いておかねばならないと思います パッキャオに会った!! 今、パッキャオって誰 と思ったあなたは、娯楽と、様々なスーパースター、またはお手本となる人たちに恵まれた大変ラッ

          パッキャオに会った

          遠藤周作の本

          絵が上手い人は手指の技術が優れているというより目が良いのだと聞いたことがある。凡人の目には見えぬ鼻の影が見えるから、描いて高低差が出せるのだし、細かい線の濃淡まで見えるから、まるで触れたかのような材質感が伝わるのだそうだ。確かに。遠藤周作だけではないのだが、作家としてこの人は、凡人にはない「目」を持っていて、見たまま、微に入り細に穿ち細い絵筆を震わせるようにして著すことができる。洞察力と言ってしまうとつまらないのだけれど。 ただし、目を通して書くべきことは蓄えられたまま、長い

          遠藤周作の本

          ゆめこ

          いろいろ省くけど、要は警察に保護されている迷い文鳥を、引き取りたかったのです。鳥はすでにたくさん飼っている。もっと欲しいわけじゃない。でも、聞いてしまったからにはもう、鳥を知らない人の世話加減と劣悪な環境が心配で仕方ない。聞いた時点でそれは私の鳥になってしまった。 また少し省くけど、うちの鳥が飛んだ、って警察にウソをついて引き取る以外に方法がないようだった。連休を挟んで、娘たちが電話したがラチがあかず、最後に私が今朝、受話器を取った。 結局、私は、話が進まないので、飛んだなん

          ゆめこ